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AppleWATCHは何台売れるのだろうか?

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

KNNポール神田です!

アップルの公式サポートサイトは、タトゥーが心拍モニターの作動を妨げる可能性について言及している。「一部のタトゥーなど、皮膚に永続的または一時的な変化があった場合、心拍センサーの機能に影響を及ぼすことがある」

出典:アップルウオッチ、入れ墨あれば一部機能に影響か

まさか、手首のタトゥーがAppleWATCHに影響するとは誰も思わなかっただろう。今後のウェアラブル情報端末を考えた場合、趣味のタトゥーが測定に影響する可能性も少なくない。生身の人体に改変があった場合にセンサーが異常を感知しているということがわかる。

AppleWATCHは、iPhoneとのBluetoothの通信により機能するiPhoneのウェアラブルなミニミニ・ブラウザであり、センサーであると考えたほうが良い。生体に反応するヘルスケア・アプリで健康管理としての可能性は広がるが、今後のウェアラブル時代を考えた場合、タトゥーを入れる場所は一考したほうが良いのかもしれない。

今は興味がないAppleWATCHも、台数と次世代モデル(アップデート含む)が出る頃には、今とまったく別次元の市場が生まれているかもしれないからだ。

AppleWATCHは何台売れるのだろうか?

予約受け付けで6月末まで6時間で売り切れ

http://readwrite.jp/archives/22330

2010年、Appleは、iPadを初年度に1,479万台を出荷した。当時のiPhoneユーザーの20%に値する。iPadとiPhoneは機能面ではかぶるものの、iPad単独で使用でき、使用用途が大きく変わったからだ。一方、AppleWATCHは母艦としてのiPhoneが存在して初めて機能するウェアラブルデバイスだ。2015年、AppleWATCHはiPhoneの5%の出荷が予測され、2200万台販売されるとアナリストは予測する。また、200万円オーバーのEditionもあるので、カンタンに次世代機の登場はないだろう。

世界のスマートフォンシェア
世界のスマートフォンシェア

2年でスマホが置き換えられると考えると、2014+2013の合計で、iPhoneの 3億4,221万台 とも考えられる。その中の5%が欲しいと考えたとすると、1,711万台。アナリスト平均の2,200万台よりも低い。

初代AppleWATCHは、初代iPodの成長曲線を歩む

AppleWATCHはiPad(2010年)という自立したデバイスではなく、あくまでもiPhoneがあって成立するセンサー&ブラウザである。これは、初代iPod(2001年)の登場シーンを想定すればわかりやすい市場だ。MP3プレイヤーは各社から多数販売されていたが、Appleは、Macintoshと「iTunes」を中継することで音楽を管理できるUX(ユーザー経験)を提供した。当初のiPodのモデルは約5万円と、AppleWATCHとも価格帯が非常に似ている。

ウェアラブルデバイスもたくさんあるが、iPhoneと連携できるのはAppleWATCHだけである。Androidと違い、ハードウェアがAppleだけに限られているから汎用性の優位性がAppleにはある。

iPodは2008年がピーク
iPodは2008年がピーク

http://av.watch.impress.co.jp/docs/topic/20140811_660320.html

2001年に登場したMacintosh専用のiPodは翌年、Windows対応となり、さらにiTunes Music Storeも登場し音楽を一曲づつ買える市場も形成していった。販売台数のピークは2008年の5,483万台で、2009、2010年は5,000万台を維持。そして、それらのユーザー資産はiPhone(2007年)にその機能を継承していった。

成長ポートフォリオを鈍化させないためのファッション戦略
成長ポートフォリオを鈍化させないためのファッション戦略

初代AppleWATCHは、そう考えると、まずは初代iPodと同じく、まずはアーリーアダプターを取り込むことプラス、ファッションアイテムとして取り入れることでウェアラブルの概念を変えようとしている。とかくウェアラブルとなると、SFチックなものが多い中、AppleWATCHはファッションアイテムとしても機能することを目標としている。今やiOS機器は累計で10億台を突破した。5割が仮にアクティブだとしても5億台分の市場がある。そこにファッションブランドとしての展開はまだ誰も先駆者がいないのだ。

2年経っても陳腐化しない戦略は、ベルトのバリエーションと中身ごとのハードウェアアップデート

それと同時にこのモデルを一年ごとの新製品ではなく、純正ベルトの新色発売などで2〜3年はバリエーションや、ソフトウェア上での変化で対応すると筆者は予測する。そしてベルトとケースを元に、中身のパーツをアップグレードしていくという販売戦略をとることだろう。そうすることによってPCの2年経てば陳腐化する現象は防げる。モチロン、バッテリーの寿命も伸びるだろう。AppleWATCHは、新素材や新色ベルトが増え、単独でも機能するソフト&ハードウェアアップデートで長く使えるというブランドを築こうとしているのではないだろうか?

このあたりのお話を明日2015年5月6日のMXテレビの「モーニングクロス」でもお話してみたい。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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