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#錦織 決勝 13:05からの録画放送を宣伝しない #NHK のコスト意識のなさ

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

KNNポール神田です。 NHK事業予算が6,479億円(2014年平成26年度)もありながら、本日の歴史的な決勝戦をまったく自社で宣伝できていないので日本国民の一人として勝手広報に協力している。

NHKのサイトで、なぜもっとPRしないのか?
NHKのサイトで、なぜもっとPRしないのか?

錦織圭選手のUSオープンでのベスト4入りが、日本人としては約100年ぶりであり、グランドスラム大会決勝戦となると、日本テニス史上初の歴史的なゲームが、いよいよあと数時間で開催されようとしている。

独占放送を行っているWOWOWでは、

錦織選手のベスト8進出ごろから増え、準決勝が行われた2014年9月7日(現地時間6日)には報道の盛り上がりや週末ということもあり申し込みが殺到。フリーダイヤルは一時パンク状態となったという。

出典:錦織効果でWOWOW申し込み殺到 回線は一時パンク状態に

そして、WOWOWに加盟していないユーザーはこの試合をダイジェストのスポーツニュースでしか視聴できないと思っていた矢先に朗報が飛び込んできた!

天下の日本放送協会(NHK)さんが、録画放送を行うというのだ!

NHKは2014年9月8日、テニスの錦織圭選手が出場する9日午前6時開始(現地時間8日午後5時)の全米オープン決勝戦を、総合テレビで9日午後1時5分から試合終了まで録画中継することを発表した。同大会は、日本では有料BS放送のWOWOWが独占生中継しており、当初は地上波での放送予定はなかった。

しかし、視聴者からの要望が殺到したことから、この日までにNHKがWOWOWから録画放送の権利(サブライセンス)を獲得(購入)。地上波での放送が実現した。

放送を決めた経緯について、NHKは9日、錦織選手が日本人として初めてテニス四大大会シングルス決勝に進出した快挙に加え、視聴者から「ぜひ決勝を見たい」との要望が多く寄せられたことを挙げ、「視聴者の関心も多く、総合的に判断した」と説明した。

また9日夜には、決勝戦のハイライト(時間未定)も放送する。

出典:錦織決勝 NHKが放送緊急決定

この、視聴者の関心を総合的に判断し、急遽、録画放送を獲得したことはまさに大英断でもありこちらも快挙だ!

しかし、たまたまニュースを見ている人ならば気がつくだろうが、NHKを見ていても、まったくこの件についてPRが流れない。しかも[www.nhk.or.jp www.nhk.or.jp ]を見ても、このページくらいしか見当たらない!

http://www1.nhk.or.jp/sports2/tennis/index.html

しかも、トップページは拡散しにくいので、ニュースページのNEWS WEBを見ても、

錦織選手が日本選手として初めて四大大会シングルスの制覇に挑む男子シングルスの決勝は、日本時間の9日午前6時から始まります。

出典:錦織 全米優勝懸け 9日にチリッチと対戦

WOWOWの放送時間が記されているだけで、13:05からの放送は全く告知されていない。

試合直前でもニュースを伝えるだけで、本放送の告知は、まったくなし。セクショナリズムが分かれすぎているせいか?。ジャーナリズムでは、一切番組との連動は報じないのか? 真のお客様視点で立った時に、NHKという組織がいかに採算を考えずに、予算を消化し、自分の領域だけを粛々と死守している構図が見え隠れしていないか?

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140909/k10014451851000.html

予算消化型組織NHKの弊害

冒頭でも触れたが、NHKは予算6,479億円10,482人もの大組織だ。日本テレビの3,417億円の3,471人の1.8倍の予算だ人員は3倍だ。テレビ東京だと、1,206億円1422人なので、5.4倍の予算で人員は7.3倍だ。

NHKは民間企業とは違い、総務省管轄の特殊法人である。

民放のポートフォリオとはケタ違いの利益を生み出さない予算消化型組織の弊害
民放のポートフォリオとはケタ違いの利益を生み出さない予算消化型組織の弊害

受信料という一方的な法整備の中で、売上目標もなければ、予算節減目標もない予算消化型で運営されている組織体であることはあきらかだ。

制作費も高額で大河ドラマ1本(44分)で6000万円と破格だ。

4000億円以上の金融資産まで保有し、東京・渋谷にある放送センターの立て替え(予定)につぎ込まれる予算は3400億円という。もちろん、これら予算の多くは国民から徴収した受信料が原資である。

平均給与は2012年度で1185万円、さらに住宅や転勤、保険など手厚い手当が付き、それらを含めると平均年収は1780万円まで跳ね上がるという。「NHK職員は、定年後の収入も安定している。本人が望めば、関連会社に再雇用され、年齢制限なく働くことができる。実際に、70歳になっても週に数回働きに来ているOBがいる」といい、民間企業では考えられないほどずさんなお金の使い方を明かす。「ほかにも、タクシーチケットが各部署に配られているが、職場の飲み会の後などは、みんなチケットを使ってタクシーで帰る。以前はチケットを使い放題で、毎日使っている人もいた。でも今は、一応上司にタクシーを使うことを報告するようになったので、利用は減っている。経理部にいた人に聞いたところでは、上司への報告を義務付けただけで、年間のタクシー利用料が10億円ぐらい減ったらしい」

職員だけではなく、NHK経営委員会委員も羽振りの良いNHKの恩恵を受けている。経営委員会は放送法により、その設置および権限、組織、任免、報酬が規定されており、NHKの経営方針や業務の運営に関する重要な事項を決定する役割を担う。任期は3年あり、報酬は、委員長は年間約3192万円(非常勤の場合は約633万円)、委員は約2256万円(非常勤は約506万円)。使用が認められている役員交際費は年間上限2500万円(12人合計)で、会食費、土産代、慶弔費などに使用される。

出典:NHK、ずさんな金満体質と受信料値上げ検討に批判殺到 職員は高給で多額経費使い放題

これを読む限りでは、普通の経営感覚であれば、NHKタクシーという別会社を作り、受信料の削減に努力すべき事象だと考えられる。12人いる役員一人あたりの交際費が年間208万円というのも異常すぎるだろう。

特殊法人日本放送協会に求められる姿勢とは?

これらの一般データは、今回の錦織選手のテニスには何も関係ないハナシだ。しかし、なぜ、錦織選手のUSオープンの録画放送の権利を短期間で買取り、日本国民が地上波で見られる歴史的な瞬間をもっとアピールしないのか?

これだけの予算があれば、民放のテレビCMスポットを買ってでも、国民に見るに値すべきゲームとPRすべきだと思う。

特殊法人日本放送協会だからこそできるテレビ放送というものがある。

ジャニーズや吉本興行のタレントを使わなくても、明朗快活な職員アナウンサーによる「素人いじり」だけでも情報番組は成り立つだろう。

テレビ東京などは、低予算で「テレビチャンピオン」「なんでも鑑定団」「Youは何しに日本へ」などと素人いじり番組でゴールデンで視聴率を稼いでいる。NHKでタレントを使用しないで、職員だけで制作させるだけで、もっと受信料は有効に使えるはずだ。いや、NHKでのタレント登用は、むしろ民業圧迫に近いかもしれない。むしろ、民放でできないようなコストのあわない「報道番組」「マイナースポーツ番組」「英語放送番組」「歌番組」に専念すべきだと思う。

5分でまとめられる番組を45分かけておこなっている「ためしてガッテン」などの情報ドキュメンタリーに15.6%の経営資源(517億円)をかけているハナシを、民放各局では、池上彰さんや林修さんらに、何でも解説を3時間スペシャルとかで、1番組あたりの制作費で制作していることと比較すると贅沢すぎる話だ。

せめて、錦織選手の決勝戦くらい、従来のNHKらしからぬ、国民サービス目線でおこなった英断を視聴率を上げるためにはどうすればいいのか?をもっと普通に真摯に考えて欲しいものだ。

むしろ、一番大変なのは、お昼すぎまで、この試合結果を、見ざる聞かざる言わざるで、録画放送の時間まで待てるのかという問題なのかもしれない。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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