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東京都知事選663万4,000票のゆくえ…15〜22.6%の獲得票率で都知事が誕生?

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
家入一真候補の渋谷選挙演説シーン 若者の投票行動が気になる。twitter経由
家入一真候補の渋谷選挙演説シーン 若者の投票行動が気になる。twitter経由

朝日RDD方式の東京都知事選挙調査では、舛添要一候補がリード、細川護煕候補、宇都宮健児候補、田母神俊雄候補らが追うカタチだ。中松義郎候補、家入かずま候補らは苦戦と報じている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140126-00000028-asahi-pol

朝日RDD方式とは…  ランダムに固定電話にかける方法。選挙に関しては、固定電話を現在も利用し、調査に協力してくれる年代層がメインとなるが、実際に、投票所へ向かう確率が高いために有効とされている。せっかくならば、固定電話保持と投票行動との関連性も調査してほしいものだ。おそらく固定電話世帯では、80%以上もの投票世帯層がでてくるから電話アンケートは重要なのだろう。しかし、今回はネット選挙を駆使する家入かずま候補などの未知数の票数が加わる。

そこで、投票日一週間前の現状で、東京都知事選挙の当確ポイントを予測してみたいと思う。

東京都民は1,300万人、実質の有権者数は1,070万人。投票率は62%(前回都知事選)とすれば、663万4,000票が有効票の総数と考えられる。

前回の猪瀬知事を選んだ2012年都知事選挙では、今回候補の宇都宮健児候補が出馬しており、968,960票(14.58%)獲得で次席。猪瀬元都知事は、4,338,936票(65.27%)の獲得だった。3位は松沢成文候補で621,728票(9.35%)だった。過去の投票を見てみると、獲得票での当確ラインが予想できる。

2012年 猪瀬直樹元知事4,338,936票(65.27%)宇都宮健児候補968,960票(14.58%)松沢成文候補621,728票(9.35%)

2011年 石原慎太郎元都知事261万票(43.4%)東国原英夫候補169万票(28.06%)、渡邉美樹候補101万票(16.81%)

2007年 石原慎太郎元都知事281万票(51.06%)浅野史郎候補169万票(30.75%)、吉田万三候補62万票(11.43%)

2003年 石原慎太郎元都知事308万票(70.21%)樋口候補81万票(18.58%)、若林候補36万票(8.28%)

1999年 石原慎太郎元都知事166万票(30.47%) 鳩山邦夫候補85万票(15.58%)、舛添要一候補83万票(15.30%)

1995年 青島幸男元都知事 170万票(36.6%)石原信雄候補123万(26.59%)、岩国哲人82万票(17.74%)

1991年 鈴木俊一元都知事 229万票(49.94%)磯村尚徳候補143万票(31%)、畑田重夫候補42万票(31.31%)

今回は、主要4候補といわれているだけに、1999年の166万票(30.47%) から2011年の261万票(43.4%)の激戦状況が予測される。

ライバルが多くなればなるほど、当確ライン票数が下がり激戦状況となる。

1999年での都知事選で、舛添要一候補は83万票(15.30%)だった。2012年での宇都宮候補は96万票(14.58%)。それらがさらに増え、そこに、細川候補、田母神候補と票の奪い合いが想定される。

単純に663万票を4候補で分配しても、最高、165万票(24.88%)となる。そこに、浮動票をネットで動かすとされる家入かずま候補らが入ることにより、当確は最高でも、150万票(22.6%)くらいの選挙戦となるのではないだろう。

実際には、100〜150万票(15.00〜22.6%)の史上最低クラスの当確ラインが登場してもおかしくない状況だ。

ちなみにドクター中松候補は毎回都知事選では、8〜10万票(0.8%-1.83%)を獲得している。マック赤坂候補も最高3.8万票(0.58%)獲得している。彼らの固定票を除くと、663万票は、649万票に、4候補では、1人あたり162万票となる。

前回の都知事選挙では、選挙期間に入る前に約30%程度の人が投票先をすでに決め、約50%の人が選挙期間中に投票先を決め、15〜20%の人が投票日当日に投票する候補者を決めている。

http://www.huffingtonpost.jp/katsuseijika/1020_b_4700508.html

つまり、70%は、まだ決めかねていると考えることもできる。また、若者の投票率もわずかづつだが、増えつつある。直近では20代の投票率は42%にまで上昇している。

2003年より20代の都知事選挙の投票率は右肩上がり
2003年より20代の都知事選挙の投票率は右肩上がり

泣いても、笑っても、あと一週間後には、年間予算12兆円、日本のGDPの2割を占める世界第5位の都市の長が、ほっておいても勝手に決まる。しかし、自分が動いて投票した知事が選ばれたら、東京の当事者になれた気にはなるだろう。今回の選挙こそ一票の格差でなく重みがある都知事選はない。誰が都知事になってもおかしくない。今まで投票に行かなかった都民400万人のほんの数%が、動けば確実に都知事は変わり、都政は変わる。東京が変われば国への影響力を及ぼす。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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