Yahoo!ニュース

参議院選挙当日、全国比例区は1/162名の戦い!

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

2013年参議院選挙投票日も、あと数時間だ。

黄色い投票用紙の選挙区には、「候補者名」を記入。

白い投票用紙の比例区には、「候補者名」もしくは「政党名」、「政党名の略称」を書くことができる。

黄色い用紙の選挙区は、住民票届けのある場所や投票所にもポスターが掲載されているので、主要な候補者の顔や政党、政策キャッチフレーズなどはわかりやすい。しかも立候補している人数も掌握しやすい。

しかし、白い用紙の比例区は本当に候補の選択に困ってしまう。

支持政党が決まっている人は、「政党名」を書けばいいとされる。ただ、支持する政党が決まっていない人にとっては、比例区の代表の選び方はさらに難しい。

しかも、参議院は、非拘束名簿方式を採用しており、「政党名」を記載すると、党の決めたリスト順に決まるのではなく、党の中で記載された名前の多い順に当選されていくことになる。これは2001年から参議院は、政党が勝手に届け出たリストで、当選者を選ぶのではなく有権者が個別に議員を選択できるようにしたからである。故に白い用紙には、非拘束名簿方式のメリットを活かし「候補者名」を書くべきだと思う。

…とはいいいつも、政党の中から、誰を選ぶのかは本当に大変な作業だ。

2013年参議院選挙、比例代表は162名もいる。

つまり、有権者は、1/162名の戦いなのである。

ネット選挙解禁前は、これらの候補の政策を知るためには、新聞やポストへ投函される「選挙公報」という選挙の候補者を知らせるための新聞からしか知ることができなかった。

しかし、今回からはネットで候補者たちの情報を集めることができるようになった…と思われた…がそうではなかった。

選挙管理委員会は、候補者名をPDFでダウンロード配布するのみ。しかも読みやすさなどの配慮は全くない。

さらに、候補者のウェブサイトのURLが記載されていないところがほとんどだ。

また、URLがあったとしても全角英数文字で、リンクもない。

非常に使いにくい情報掲示のされかたばかりであった。

そしてもっと残念ながら、ネット選挙解禁に対応できていないのが各新聞社の選挙特集のサイトだった。

各候補者の情報は掲載されているが、候補者の政策を知ろうとした時のウェブサイトのURLやtwitter、facebookなどのソーシャルメディアへのリンクがないのだ。

これでは、いくら候補者側がネット選挙解禁で活動をはじめたとしても、候補者が誰なのかを知らしめる入り口が絶たれてた状況ともいえる。

その中でも大手新聞2紙だけは、URLおよびソーシャルメディアへの誘導をおこなっていた。

朝日新聞デジタル2013参院選

http://www.asahi.com/senkyo/senkyo2013/

msn産経ニュース 参院選2013特集

http://sankei.jp.msn.com/politics/newslist/election2013.htm

選挙投票残る時間は、数時間だが、投票に行く前に、比例区の政党名だけではなく、誰に入れるのか検討してみるのはどうだろうか?

政党からたどっていくだけでも、自分が票を託したいと思える候補と出会えるかもしれない。もしくは、政党を変えたいと心変わりするかも知れない。

ネット選挙解禁は、候補者のためではなく、有権者のためにあるのだ。ぜひ、活用していただきたい。

今後は、選挙管理委員会がネット選挙解禁に対して、もっと慎重に意識し、真摯に対応するべきであろう。なぜ、URLの周知を徹底できなかったのだろうか? その、すべての任命責任は、総務省にあるだろう。

法律で認められた権利である「ネット選挙解禁」の阻害要因を生んでしまった関係省庁は真摯に反省すべきだと思う。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

神田敏晶の最近の記事