売り手市場の日本と逆に就職戦線の冷え込む韓国の学生に対し、日本企業が熱い視線を向けているとの報道が相次いでいます。

【参考リンク】日本就職博覧会に2500人集まる…日産や楽天など112社が現場面接=韓国

政治的には冷え込む日韓両国ですが、就活戦線は海を越えて広がっているようです。なぜ今、国境を越えた就活が必要とされているのでしょうか。

なぜ韓国の就職事情はこれほど悪化したのか

まず、韓国側の就職状況はなぜこれほど悪化したのでしょうか。実は、戦後に国家の後押しで急速に工業化した韓国では、国家支援を受けた財閥系企業が強固に根付く一方で、中小企業の層が薄く、賃金などの格差も企業規模によって非常に大きいという構造的な事情があります。

そうした中、文政権による急激な最低賃金引上げは体力のない中小企業にとって大きな負担となり、雇用者数の引き締めという結果をもたらしています。

【参考リンク】韓国経済失速、裏目に出た文政権の低所得者層優先政策

もともと大きいとは言えない中小企業という受け皿が減ったことで、相対的に日本の求人が魅力を増したということです。

なぜ日本企業は韓国人を採用したがるのか

一方の日本企業ですが、実は以前から日本企業では韓国出身者に対して一種独特の高評価が存在しました。「一種独特の」というのは、彼らの中に「日本人以上に日本企業に馴染む人材」が少なくないためです。

理由は2点あります。一つは、儒教精神の根付いた韓国出身者は、年功序列という日本企業の慣習を肌感覚で理解してくれる点です。

「新人は初任給という一番安い給料からスタートする」「仕事していないように見える20年選手が自分の2倍貰っている」という事実を他国出身者はなかなか納得しませんが、韓国人は特に抵抗なくその事実を受け入れてくれます。

そして2点目は、韓国人が残業や滅私奉公といった日本型雇用慣習に強い免疫があるという点です。

これはおそらく韓国の賃金体系が実体として日本の職能資格給に比較的近い運用がされており、業務範囲を明確にせず集団として業務に取り組むという点で一致しているためと考えられます。

「残業することで周囲にアピールする」「有給休暇を勝手に取得しない」といった実に日本的な働き方を、彼らは自然と受け入れてくれるのです。

それが本当に勤勉かどうかは議論の分かれるところですが、日本企業の採用担当者が「韓国の若者は勤勉だ」と感心する背景にはそうした事情があります。

なお、筆者自身は韓国の若者が日本企業で活躍することは、両国の経済のためにも、相互理解のためにも素晴らしいことだと考えています。