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【NHL】NHL選手がオリンピックに参加できない!! その影響は?

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
NHL選手が参加した2014年ソチオリンピック(写真:ロイター/アフロ)(写真:ロイター/アフロ)

今月21日に筆者の当サイトで、「北京オリンピックで、NHL選手が見られないかもしれない!」との現状を紹介しましたが、その翌日に、NHLとNHL選手会(NHLPA)は、「北京オリンピックには、現役NHL選手を派遣しない」と正式に発表。

NHLPA側の主な主張は、以下の声明どおりです。

「NHLの選手たちは、冬季オリンピックに再び参加することを大いに楽しみにしていました。しかし、新型コロナウィルスの感染拡大により、今月だけで多くの試合の延期を余儀なくされました。そのため、オリンピックの中断期間を利用して、延期となった試合のスケジュールを変更する必要があります」

「選手たちとホッケーファンは、かなり落胆しています。しかし、今年は82試合のフルシーズンを開催することが重要です。NHLの選手は2026年にオリンピックに復帰することを楽しみにしています」

現地のメディアによると、当初はクリスマス休暇明けの12月27日から、レギュラーシーズンの再開を予定していたものの、新型コロナの影響が収まらず、27日に予定されていた14試合を延期すると発表。

26日には、感染者が多いチームを中心に、さらに3試合の延期を発表。

既に延期となった試合は、「67試合」にも及びます。

▼落胆する得点王

スタンレーカップを2度獲得し、2011-2012シーズンには最多得点王となった、タンパベイ・ライトニングのキャプテン、スティーブン・スタムコス(カナダ国籍)。2014年のソチオリンピックではカナダ代表チームに選ばれましたが、11月の試合で足を骨折。オリンピック出場は叶いませんでした。

スタンレーカップを掲げるスタンコス(写真:ロイター/アフロ)
スタンレーカップを掲げるスタンコス(写真:ロイター/アフロ)写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

それだけに、次のオリンピックに視線を向けたいところですが、イタリアで開催される次回のミラノオリンピックの時は、36歳となるスタムコス。

「スタンレーカップと金メダルを夢見て育ってきたけれど、おそらく私にはもうチャンスがないだろう。残念だよ」

と無念さを隠しきれない様子でした。

一方、スタンレーカップを3度獲得し、2010年バンクーバー、2014年ソチと2大会続けてオリンピックでアメリカ代表となった、シカゴ・ブラックホークスのパトリック・ケイン(アメリカ国籍)。

シカゴ・ブラックホークスのパトリック・ケイン(写真:ロイター/アフロ)
シカゴ・ブラックホークスのパトリック・ケイン(写真:ロイター/アフロ)写真:ロイター/アフロ

トロントメープルリーフスの若きスター、オーストン・マトュース(24歳)とは、連絡を取り合う仲で、彼のプレーを高く評価。

「彼は、NHLで最高の選手の一人。彼とともにプレーすることを楽しみにしていたので、とても残念だ。アメリカ代表チームは、金メダルを狙えるチームを構成できたと思う。アメリカの将来を担う選手たちとともに、オリンピックで戦うことが出来たら、どんなに楽しかっただろう・・・。」

後輩を気づかうケインは、ミラノオリンピックには37歳になります。

▼出場国の選手構成は不透明

出場各国は、NHL選手が不参加であった前回の平昌(ピョンチャン)オリンピックと同様に、NCAAなどのアマチュア選手や、NHLのマイナーチームやヨーロッパリーグのプロ選手で、チームを構成する模様です。

しかし、4年前とは異なる点があります。

前回の平昌オリンピックでは、NHLが前年の4月にオリンピックへの不参加を発表したため、多くのヨーロッパのリーグは、スケジュールにオリンピック中断期間を加えていました。そのため、選手がオリンピックに参加することをあらかじめ予想し対応することが出来たのです。

しかし、今回は、ヨーロッパのリーグはすでにシーズンが開始しており、オリンピックの中断期間を設けていない可能性があります。

リーグ戦を欠場させてまで、各国の選手派遣要請に応じるのかどうかは不透明です。

ロシアを中心としたプロリーグであるKHLは、オリンピック期間中に試合を開催せずに、選手を派遣します。ロシア出身選手が多くプレーしているKHLが中断期間を設けていることで、ロシア(ROC=ロシア・オリンピック委員会)が、北京オリンピックの優勝候補の最有力となりそうです。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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