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【NHL】スタンレーカップファイナル最終戦!クライマックス直前にコミッショナーがルール変更を発表!!

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
NHLのゲーリー・ベットマンコミッショナー(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 NHLのチャンピオンを決める「スタンレーカップ ファイナル(SCF)」は、先月27日(現地時間)に開幕しました!

▼3勝3敗で最終戦へ!

 ボストン ブルーインズ(イースタン)vs セントルイス ブルース(ウエスタン)の顔合わせとなった今季のSCFは、レギュラーシーズンのポイント(勝点)が上回るボストンのTDガーデンから始まり、9日にセントルイスで行われた第6戦を終えて、3勝3敗。

 戦いの舞台は三度(みたび)ボストンへ戻って、今夜の最終戦を迎えます!

▼最終決戦を前にコミッショナーが会見

 世界中のホッケーファンが注目する最終決戦を前にして、NHLのゲーリー・ベッドマン コミッショナーが記者会見を開きました。

 「来季からのルール変更」です。

▼NHLと選手会の話し合い

 クライマックスを迎えるこの時期に限らず、NHL(リーグ運営側)と選手会との話し合いは、シーズン中も含めて毎年定期的に開催されています。

 今回の両者の話し合いで議論された主な内容は、下記のとおりです。

<1>

現行のルールでは、得点に至ったプレーに関して、オフサイドや相手GKに対するインターフェアランスがあった否かを確認していた「コーチズチャレンジ」の対象になるプレーの拡大。

<2>

センターラインの向こうから相手選手が放ったパックを、GKが抑えたまま離さずホイッスルが吹かれた際は、当該GKのチ-ムに対しプレーヤーの交代を認めない。

<3>

上記<2>のケースでホイッスルが吹かれた際に、アタッキングゾーンのフェイスオフに臨むチームや、パワープレーとなってフェイスオフを迎えるチームは、アタッキングゾーンでのフェイスオフスポットを(右側or左側)選択できる。

<4>

プレー中にヘルメットが外れてしまった選手は、プレーを続行することができない。

▼見落とされてしまったプレー

 上記の中で、最も大きな話題となったのが、下記の項目でしょう。

<1>現行のルールでは、得点に至ったプレーに関して、オフサイドや相手GKに対するインターフェアランスがあった否かを確認していた「コーチズチャレンジ」の対象になるプレーの拡大。

 この変更に至った最大の理由は、今季のプレーオフで起こった↓このシーン。

 サンノゼのティモ・マイヤー(白#28)が叩き落としたパックを、同じく白いユニフォームを着たサンノゼの選手が触って、逆サイドへつないでシュート! これが決勝点とジャッジされました。

 しかし、アイスホッケーのルールでは、手で叩き落としたパックを同じチームの選手が触ると「ハンドパス」

 ぺナルティにはなりませんが、レフェリーがホイッスルを吹いて、試合を止めなければならないのです。

 ところが、リンク上に二人ずついるレフェリー、ラインズマンとも、ホイッスルを吹かずプレーが続き、延長戦まで及んだ激闘にピリオドを打つ決勝点となってしまったのです。

 このようなことが再び起こってしまった時の対応策として、「コーチズチャレンジ」の対象になるプレーの拡大を決めた模様です。

▼ヘルメットが脱げたらプレー続行禁止!

 その他の変更項目で注目すべきは、

「プレー中にヘルメットが脱げてしまった選手は、ベンチへ戻りヘルメットをつけてからでないと、プレーを再開できない」

というもの。

 くしくも先月29日に筆者の当サイトで配信した、

で触れましたが、NHLでも選手たちのケガを防ぐために、日本でも採用している(国際アイスホッケー連盟が定めた)国際ルール(=IFルール)の採用に至った模様です。

 

▼北京オリンピック出場は進展なし

 一方、昨年の「ピョンチャン(平昌)オリンピック」では、長野オリンピックから続いていた「オリンピックブレイク(=レギュラーシーズン中断期間)」をNHLが設けず、現役NHL選手の出場が認められませんでしたが、2022年の「北京オリンピック」について、ベッドマン コミッショナーは、「何も進展はない」と話したのに加え、「来季のチャイナゲームズ(中国で開催するプレシーズゲーム)」は行わない意向を表明。

 「来季は重慶で開催する」との方針を公言した昨季から一転、異なるコメントをしたそうです。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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