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【NHL】ヘルメットを落としたままプレーを続けたら、NHLは「問題なし」 日本だったら「ペナルティ」

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
NHLの醍醐味は激しいボディチェック!!(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今季のNHLの王者を決める「スタンレーカップ ファイナル(SCF)」第1戦が、 一昨日(現地時間)行われ、4-2のスコアでボストンブルーインズが先勝。地元ファンを喜ばせました。

 一方、敗れてしまったものの、セントルイスのファンの注目度は、かなり高かった様子。

 敵地での試合だったため、テレビの前で応援したファンが多かったようで、テレビの視聴率は「29%」

 記録に残っている中で最高だった1991年の1stラウンド第7戦(対デトロイト レッドウィングス)の「28.3%」を上回る数字は、初優勝への期待に他ならないでしょう。

▼試合中にヒヤリ・ハット!!

 ところで、第1戦の試合中に、思わず目をつぶってしまうシーンがありました。

 ボストンのDFトーリー・クルッグ(28歳/黒#47)が、自陣のゴール前で相手チームの選手に後ろから押さえつけられた仕返しとばかりに、ボード際で激しいボディチェックをお見舞い!!

 上の動画をご覧になって、思わず「危ない!」と声が出てしまった方も、いらっしゃるのでは?

 

 というのも、先に起こった自陣のゴール前で押さえつけられた際に、クルッグはヘルメットを落としてしまっていたからです。

▼日本では「ペナルティ」

 日本のトップチームが加盟している「アジアリーグ」や、各国のナショナルチームが参加する世界選手権」など、国際アイスホッケー連盟が定めるルールに基づいて試合を行っている試合では、クルッグのプレーは、「ペナルティ」となります。

 なぜなら、ヘルメットが脱げたままプレーを続けると危険なため、すぐさまベンチへ戻り他の選手と交代しなくてはならないからで、クルッグのようにプレーを続行した場合は、ペナルティが課せらてしまうからです。

▼NHLでは「プレー続行OK」

 一方、NHLではヘルメットが脱げても、そのままプレー続行OK!

 クルッグがプレーを続けたのは、NHLのルールでは全く問題なく、むしろ観客にとっては醍醐味と言える見どころです。

 それだけに、試合後にメディアから問われた際も、「良いルールだと思うよ」と、当然のようにクルッグは答え返しました。

▼脳震とう問題は手つかずのまま・・・

 しかし、危険性を訴える声も聞こえてきます。

 ヘルメットを装着していても、激しいプレーが相次ぐために、脳震とうを発症する選手も見られ、ウェイン・グレツキーに続く”NHLの顔”になると目されていたエリック・リンドロス(元フィラデルフィア フライヤーズ キャプテン)も、晩年は脳震とうに悩まされ続け、長期欠場を強いられてしまいました。

 それだけに、スター選手たちを守るためにも、NHLが早期の対策を講じることを主張する声が、現地のメディアから聞かれます

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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