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【NHL】ワシントンキャピタルズが創設44季目で初めてのスタンレーカップ獲得! 新生ベガスは力尽きる

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
スタンレーカップを勝ち取ったワシントンキャピタルズ(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ウエスタン カンファレンスを制した ベガス ゴールデンナイツvs イースタンの覇者 ワシントン キャピタルズの対決となった今季の「スタンレーカップ・ファイナル(SCF)」は、街中が熱狂したワシントンD.C.から舞台を移して、再びラスベガスに戻り、昨夜(現地時間)第5戦が行われました。

▼創設44季目で初優勝!

 初戦こそ敗れたものの、第2戦から3連勝。

 王手を掛けてT-モバイルアリーナ(ベガスのホームアリーナ)へ乗り込んだワシントンは、第2ピリオドを終えて、ベガスに1点のリードを許す展開に・・・。

 しかし、第3ピリオドに入ってから、デバンテ・スミス ペリー(FW・25歳)と、ラルス・エラー(FW・29歳)の連続ゴールで4-3と逆転に成功。

 その後は、GKのブレイデン・ホルトビー(28歳)を中心にリードを守りきり、チーム創設44季目にして、悲願の初優勝を達成しました!

▼プレーオフMVPはオベチキン

 プレーオフのMVPに贈られるコンスマイス トロフィーを手にしたのは、ワシントンのキャプテン アレックス・オベチキン(FW・32歳)!

 プレーオフのポイント(ゴール+アシスト)では、同じロシア出身のチームメイトの エフゲニ・クズネツォフ(FW・26歳)が上回りましたが、ゴール数(15得点)は、ワシントンの歴代全選手を上回るチーム新記録を樹立。

 キャプテンとしてチームをけん引したのに加え、パワープレー(相手チームの選手の反則退場によってプレーヤーの数が多い状態)を中心に、相手チームから警戒される中での活躍。

 さらにイメージと異なって(!?)、身体を張った献身的な守りなどが評価され、ロシア人がキャプテンを担うチームが、史上初めてスタンレーカップを獲得した新たな1ページを記しました。

▼偉大な母親に近づいた!?

 16歳の時に祖国ロシアの名門チームのディナモ モスクワと契約し、プレーをしていた当時のオベチキンの背番号は「32」

 そのためドラフト全体1位指名を受けて、ワシントンとの契約を結ぶにあたって、慣れ親しんだ背番号「32」をつけたかったそうですが、OBのデイル・ハンター(元ワシントンFW・のちにヘッドコーチ)の功績を称えて永久欠番になっていたことから、選んだ背番号は「8」

 これは、女子バレーボールで、モントリオール、モスクワのオリンピックニ大会連続金メダルを獲得した母親のタチアナがつけていた背番号。

 スタンレーカップを勝ち取ったオベチキンは、偉大な母親に近づいた気分でいるかもしれません。

▼エリートGKを倒した93番目の男

 SCFの幕開けを前に、筆者の当サイトで注目したのが、両チームのGK。

 NHL史上二人目となるドラフト全体1位指名を受けたGKの マークアンドレ・フルーリー(33歳・ベガス)と、ドラフト指名は全体93番目ながら、メインGKのケガを受けて、急きょ途中出場した試合で活躍し、一度きりのチャンスをつかんで守護神の座を勝ち取った ブレイデン・ホルトビー(28歳・ワシントン)の二人です。

 ベガスのゴールを守ったフルーリーは、ピッツバーグ ペンギンズ在籍時に、SCFまで4度も勝ち上がった経歴の持ち主ながら、ウエスタン カンファレンスのチャンピオンを決める3つのラウンドでは、

12勝3敗(完封勝利4) シュートセーブ率「9割4分7厘」

という好成績を残しながら、SCFの大一番では、

1勝4敗 シュートセーブ率「8割5分3厘」

と期待に応えられずじまい・・・。

 対して、ワシントンのホルトビーは、第1戦こそシュートセーブ率「8割4分8厘」と低調で、黒星を喫してしまいましたが、第2戦以降は、

4連勝 シュートセーブ率「9割3分5厘」

と自らのGKマスクにも記し続ける「改善」の言葉どおり、スタンレーカップ獲得に大きく貢献!

 ファンはもちろん、以前から懸命に声援を送ってくれるご両親(父親も元GK。母親は元歌手)へ、最高の恩返しとなったに違いありません。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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