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【NHL】試合開始4分58秒後にトレードされた選手は新天地に移っても”勝ち男”になる!

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
オタワセネターズにトレードされたマット・ドゥシェーン(写真:ロイター/アフロ)

 今月6日に配信した「試合開始4分58秒後にトレード!チームメイトと別れの挨拶もできず新天地へ向かった“勝ち男”」で紹介したとおり、試合中にトレード通告を受け、すぐさま新天地へ向かったマット・ドゥシェーン(FW・26歳)

 移籍先のオタワセネターズの一員となって、最初の仕事となった記者会見を終えると、息つく間もなく今度はスウェーデンへ旅立ちました。

▼NHLグローバルシリーズ

 シーズン中にもかかわらず、どうしてスウェーデンへ向かったのかというと、「NHLグローバルシリーズ」と銘打った公式戦が、ストックホルムで行われたため。

 今季のNHLは、開幕前に「チャイナゲームズ(中国でのプレシーズンゲーム)」を上海と北京で行ったのに続いて、2011年以来となるヨーロッパでの公式戦も開催しました。

 一昨日と昨日(現地時間)、グローバルシリーズで顔を合わせたのは、エリック・カールソン(27歳・オタワセネターズDF)と、ガブリエル・ランデスコグ(24歳・コロラドアバランチFW)という、スウェーデン人がキャプテンを務める両チーム。

 初戦の前には、コロラド在籍時にスタンレーカップを二度獲得し、ハートトロフィー(レギュラーシーズンMVP)も受賞したピーター・フォースバーグ(44歳)が登場し、(野球の始球式に相当する)セレモニアルパックドロップを行ってスタンドを盛り上げました。

▼試合開始4分58秒後にトレードされた選手は大忙し

 スウェーデンが生んだかつての名選手の登場もさることながら、グローバルシリーズで最も注目された選手と言えば、やはりドゥシェーンに他なりません。

 5日のニューヨークでの試合の開始早々4分58秒に、オタワへのトレードを通告されたドゥシェーンは、すぐさま着替えを済ませて新天地へ向かうと、休む間もなく翌日には、オタワでの入団発表とメディアとの会見。

 さらにほどなくして、スウェーデン遠征へ出発という強行軍に、「今、家に帰ったら、5日間寝続けるかもしれないね」というジョークとも本音とも受け取れる言葉が、ドゥシェーンから聞かれたほどでした。

▼移籍後初めての試合は古巣コロラド

 落ち着く間もなくスウェーデンへ向かったドゥシェーンでしたが、どういう因縁なのか移籍後初めての試合は、古巣のコロラド戦!

 だからというわけではないのでしょうが、ドゥシェーンは移籍会見が行われた日に、今まで声援を送ってくれたコロラドのファンへ、ツイッターを通じてメッセージを書き込みました。

▼新天地に移っても”勝ち男”

 こうして迎えたグローバルシリーズで、ドゥシェーンは2試合で10本のシュートを放ちながら、移籍初ゴールを決められなかった上に、滞氷時の得失点がマイナス3と、いいところがありませんでした・・・。

 しかし、それでもチームは2連勝を飾り、コロラド在籍時にはカナダ代表のFWとしても活躍し、昨季の「ワールドカップ」や2014年の「ソチオリンピック」、さらに「世界選手権」でも優勝に貢献してきた”勝ち男”ぶりを早速発揮!

 昨季のプレーオフでは、カンファレンスファイナル(3rdラウンド)の最終戦で力尽き、初優勝に届かなかったオタワにとってドゥシェーンの獲得は、数字で表れない部分も含めて大きなプラスになりそうです。

▼新たな背番号は「95」

 「子供の頃につけていた二つの背番号(9と5)を一緒にしたんだよ」

 コロラド時代につけていた背番号「9」は、既にオタワでつけている選手がいたため、「95」を選んで新たなスタートを切ったドゥシェーン。

オタワに移籍し背番号95を選んだマット・ドゥシェーン'''(右/Courtesy : @Senators)
オタワに移籍し背番号95を選んだマット・ドゥシェーン'''(右/Courtesy : @Senators)

 プレーオフの真剣勝負を戦いたいとの強い願望から「心機一転再出発させてもらえないか?」と、コロラドのジョー・サキックGMに直訴したこともあったというドゥシェーンは、自らの活躍でオタワをプレーオフへ。そしてスタンレーカップに導くことができるか !?

 ”勝ち男”と呼ばれる26歳のFWの真価が問われそうです。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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