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【NHL】HIS-TRICK DAY !100年ぶりの記録と101年目で初めての偉業が同じ試合で達成

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
アレックス・オベチキン(右/Courtesy:@SportsCentre)

 今月4日(現地時間)に101回目の開幕を迎えたNHLは、いきなり開幕戦で4選手がハットトリックを達成という、実に100年ぶりの快挙で幕を明けました。

▼2試合連続ハットトリック

 さらに続いて、ワシントンD.C.のキャピタルワンアリーナ(旧ベライゾンセンター)で行われた昨夜の「ワンシントン キャピタルズ vs モントリオール カナディアンズ」戦では、100年ぶりとなる記録が達成されました。

 その記録を打ち立てたのは、ワシントンのキャプテン アレックス・オベチキン(32歳・FW)

 6日に配信した当サイトの記事でも紹介したとおり、開幕戦でハットトリックを記録したのに続いて、ホームアリーナでの初戦となる昨夜の試合でも3得点して、2試合連続ハットトリックを達成しました!

 

▼100年ぶりの記録達成

 レギュラーシーズンの開幕戦から2試合連続ハットトリックを達成したのは、NHL創設初年度の1917年以来、ナント100年ぶりの記録

 今月6日に配信した筆者の記事の中で触れたように、当時のNHLは、得点を取り合う大味な試合が珍しくなかった模様。

 そのためNHL創設初年度には、開幕戦から2試合連続ハットトリックを達成した選手が、3人も現れました。

 しかし、その後は誰一人として達成できず、尚且つGKの技術やチームの守備力が年々高まっている中で達成したとあって、オベチキン選手の100年ぶりの記録は、多くの現地メディアで大きく取り上げられています。

▼101年目で初めての偉業

 さらに昨夜のワシントンの試合では、オベチキンの100年ぶりの記録達成に続いて、「101年目で初めての偉業」が成し遂げられました。

 達成したのはオベチキンと同じワシントンに所属する ネイサン・ウォーカー(23歳・FW)です。

ネイサン・ウォーカー(Courtesy:@barstoolsports)
ネイサン・ウォーカー(Courtesy:@barstoolsports)

 カンガルーと一緒にいる写真をご覧になって、お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、ウォーカーはオーストラリア人

 アイスホッケーが盛んではない南半球の国で幼少期を過ごしながら、ヨーロッパや北米に赴いてアイスホッケーの腕を磨き、昨夜の試合でNHLデビューを飾りました!

▼オーストラリア人アスリートたちが激励

 2013年9月に、NHLの一つ下のリーグに相当するAHLのハーシーベアーズ(ワシントンのアフィリエイトチーム)と契約してから4年。

 その後、ワシントンにドラフト指名されてからは3年。

 そして、「夢をあきらめたくなかった」と単身チェコに乗り込んでから10年。

 昨季までチームの主力を担っていたFWが、他チームへ移ったことからチャンスを得たウォーカーは、開幕2戦目となった昨夜の試合で、バリー・トロツ ヘッドコーチから、ロースター入りを告げられました。

 チームと地元のテレビ局も気を利かせて、NFLやNBA、さらにPGAツアーなどで活躍するオーストラリア人アスリートや、駐米オーストラリア大使などからのメッセージを収録し、試合中にテレビと会場のビジョンでオンエア。

 さらにチームは、両親や婚約者をスタンドに招いて、デビュー戦を彩ってあげたのです。

▼初ゴールで応えたウォーカー

 最高の舞台を整えてもらったウォーカー(赤#79)は、第2ピリオドの終盤に、、、

 味方の選手が放ったシュートに触れて、初ゴール!

 チームと、はるばる観戦に駆けつけた両親や婚約者に、これ以上ない恩返しをしてみせました。

▼両親も感激!

 「みんなが『オージー!オージー!』と声援してくれていたし、オーストラリアの国旗を掲げてくれた人もいた」と、初ゴールを目の当たりにしたウォーカーの両親は、スタンドで感激の面持ち。

 一方、NHLの歴史に名前を記したウォーカーは、試合後に初ゴールのパックを手にしてニッコリ。

 「まさに、信じられない! という気持ちだったよ」

 NHL創設101年目にして、初めてのオーストラリア人プレーヤーとなり、初めての得点も決めた瞬間を、こう振り返ったウォーカー。

 身長173センチの小さな体とは正反対に、大きな夢を抱き続けて来たウォーカーの挑戦は、まだまだ続いていきます。

 尚、ウォーカーの少年時代からの道のりについては、8月10日に掲載した、

で紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。

★★★追記(9日)★★★

初めてのNHLプレーヤー誕生の知らせを聞いたオーストラリアのマルコム・ターンブル首相は、ウォーカーへ直接電話をかけて、祝福したそうです。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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