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【NHL】急展開!セントルイスブルースがヤロミール・ヤーガに熱視線!! 今季もNHLでプレーする!?

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
NHL最多勝GKのマーティン・ブロデューアともプレーしたヤロミール・ヤーガ(左)(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 長野オリンピックで金メダルを獲得。さらにNHLでは歴代2位のポイント(ゴール+アシスト)を記録。

 このような輝かしい功績を残し、 “氷上のレジェンド” と呼ばれる選手と言えば、 ヤロミール・ヤーガ(45歳・FW)です。

 筆者の当サイトで一昨日配信した 「45歳のヤロミール・ヤーガが遂に契約! チームメイトには18歳の選手もいる!!」で紹介したとおり、年齢などを考慮され契約のオファーが届かず、本人が希望するNHLチームでのプレーを断念。

 自らがオーナーを務めるチェコの2部リーグのチームと契約を結び、コンディションが整えば、今週末にも故郷のチームでプレーする姿が見られそうだと、チェコのメディアに報じられていました。

▼急展開!セントルイスブルースが熱視線

 ところが、ヤーガを取り巻く環境が急展開!

 「NHLのセントルイス ブルースが、ヤーガとの契約を視野に入れている」と、現地のライターが報じたのです。

 事の始まりは、セントルイスのFWにケガ人が続いていること。

 開幕を前にして、 期待の若手ロビー・ファブリィ(21歳)が、ヒザを負傷して今季中の復帰が絶望視されているのを筆頭に、昨季はチームで3番目のポイントを記録したアレックス・スティーン(33歳)も手を負傷。

 さらには、オリンピックやワールドカップで、スウェーデン代表としてプレーした CFのパトリック・バーグランド(29歳)や、昨季の終盤にトレードで獲得し飛躍が見込まれていたザック・サンフォード(22歳)など活躍が見込まれるFWの負傷が相次ぎ、いずれも長期離脱が見込まれているからです。

▼ケガ人の共通点

 これらのケガ人には、ポジションがFWというだけでなく、もう一つの共通点があります。

 それは、いずれも「レフトハンドのスティックを使う選手」なのです。

 アイスホッケーのスティックは、先端の「ブレード」と呼ばれる部分を使ってパックを扱いますが、上の写真のようにブレードの先は少しカーブしています。

 選手たちは先端のカーブを上手に利用して、シュートを放つ時にパックをコントロールしたり、パックに回転をかけてパスを出したりします。

 カーブの向きとは逆に、先端のカーブが左側を向いているのが「ライトハンド」。右側を向いているのが「レフトハンド」

 アイスホッケーはプレーの展開が早いことから、試合中に「バックハンド」と呼ばれるブレードの裏側を使ってプレーするシーンも見られますが、通常は「フォアハンド」と呼ばれる先端のカーブが内側を向いている面でパックを扱います。

 このような特性があることから、どちらかのハンドの選手が多いと、プレーをするエリアが、リンクの片側に集中してしまうことも起こり兼ねません。

▼レフトハンドのFWを緊急補強

 そのため、野球に例えて言えば、右バッターが多いチームが、左バッターの補強を模索するように、セントルイスはレフトハンドのFWを緊急補強する必要性が生じ、ジム・アームストロング GMは、「(レフトハンドの)ヤーガは有力なターゲットの一人」であると、セントルイスのメディアに公言。

 これを受けてヤーガは、自らが筆頭オーナーを務める故郷の リィティリ クラドノ (チェコ2部リーグ)に戻って、今週末の試合でプレーする予定でしたが、「出場しない」との意向を、チェコのメディアが報道しました。

▼今季もNHLでプレーする!?

 サラリーキャップ(チーム年俸総額制限)などの兼ね合いもありますが、NHL最多勝利記録を樹立し、現在はアシスタントGMを務めている マーティン・ブロデューア(タイトル写真右側)とも、ニュージャージー デビルスでチームメイトだったこともあり、交渉はスムーズに進むのでは? との見方が多い模様。

 また、セントルイスのホームゲームの中継権を持つ放送局のレポーターは、「代理人を務める ピーター・スボボダ(長野オリンピックチェコ代表DF)は、現時点で3チームから話が来ている」ことを明らかにしたとのこと。

 どうやらヤーガは、今季もNHLでプレーする見込みが強まってきた模様です。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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