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【アイスホッケー】45歳のヤロミール・ヤーガが遂に契約! チームメイトには18歳の選手もいる!!

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
45歳のヤロミール・ヤーガ(Courtesy:@RytiriKladno)

 18歳でNHLデビューを飾って以来、スタンレーカップ(NHLのチャンピオントロフィー)を2度獲得し、歴代2位のポイント(ゴール+アシスト)をマーク。

 さらに、ハートトロフィー(レギュラーシーズンMVP)も受賞するなど、誰もが認める活躍をしただけでなく、チェコ代表の一員として、オリンピックや世界選手権で祖国を世界一に導いてきた選手と言えば、 ヤロミール・ヤーガ(45歳・FW)です。

▼NHLからオリンピックへ

 「オリンピック」、「世界選手権」、「NHL」で全て優勝した者だけが名を連ねる「トリプルゴールドクラブ」入りを果たした ”氷上のレジェンド” と呼ばれる存在でありながら、昨季をもってフロリダ パンサーズとの契約が満了した後、他のNHLチームからの(本格的な)オファーはゼロ・・・。

 そのため、ホッケーシーズンが近づいてくると、さすがに第一希望のNHLから転じて、「KHLのチームと契約して、ピョンチャン(平昌)オリンピックに出場したい」と公言するように変わってきました。

▼氷上のレジェンドが遂に契約!

 このような状況の中で、今月21日に配信した記事で紹介したとおり、KHLのネフテキミク ニジネカムスクからのアプローチもあり、7季ぶりにロシアのチームでプレーすることになると見られていたヤーガが、遂に契約を結びました。

 ところが契約を結んだのは、KHLのチームではなく、自らの故郷のチーム リィティリ クラドノ

▼契約したチームのオーナーはヤーガ自身

 生まれ育ったクラドノにある、このアイスホッケーチームは、スポンサー企業などに合わせて名前こそ変わっても、小さい頃から所属して腕を磨き続けたヤーガの原点。

 しかし、大都市をホームタウンとする潤沢な財政を誇るチームと対照的に、人口7万人程度の町がホームタウンのため、有力な若手選手を、国内外のチームへ移籍させて得たトレードマネーを運営資金の柱の一つにしています。

 かつて日本の古河電工チームに、チェコ人の選手やコーチがやって来ていましたが、これもクラドノから派遣された面々でした。

 このようなチームだけに、ヤーガは自らが筆頭オーナーに就任することで、故郷のチームを買い支えてきました

 3季前に「世界選手権最年長得点記録」を更新したのをもって、NHLのレギュラーシーズン後に行われる世界選手権でのプレーをリタイア。

 オフはオーナー職に専念し、翌年の運営資金を集めるために働き続けてきたのです。

▼ヤーガの見込みが外れた!?

 今夏もクラドノへ戻り、オーナー職の傍らで、アイスホッケースクールの始動にあたった際、「いくつかの選択肢がある。クラドノ(に戻ってプレーすること)も、その一つだ」と話していました

 しかし、その頃のヤーガには、「NHLでなくても、トップレベルのリーグのチームから、オファーが来るだろう」と考えていたのでははないか? と思われます。

 しかし、ヤーガの見込みは外れてしまい、故郷に戻ってプレーする選択を下しました。

▼今週末に再び氷上へ

 ヤーガの今後について、「(コンディションが整って)準備ができたらプレーをしてもらう。ヤルダー(ヤーガの愛称)を、メンバーに加えることができて、うれしいよ」と、長野オリンピックでチームメイトだった パベル・パテラ アシスタントコーチ(46歳=ヤーガとの年齢の差は一つだけ)が答えていましたが、現地のメディアによると、今週末の試合(現地土曜と日曜)から出場する見込みだそうです。

 とはいえ、クラドノはチェコのトップ14チームが所属するエクストラリーグに続く、2部リーグのチーム。

 ロースターを見渡すと、ヤーガが長野で金メダルを勝ち取った後に生まれた18歳の選手も・・・。

 そのような選手が揃うチームで、「氷上のレジェンド」は、どんなプレーを披露するのでしょうか?

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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