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【NHL】突然ですが問題です!! NHLの試合では何秒あればゴールできるでしょうか?

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
アイスホッケーの最高峰・NHLの見せ場はゴールシーン(写真:代表撮影/USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今月21日に10季目の開幕を迎えた KHLでは、序盤戦から激しい攻防が続いています。

 そんな序盤戦の試合のうち「アバンガルド オムスク vs ディナモ リガ」戦で、珍しい記録が達成されました。

 オムスクのFWバレンティン・ピヤノフが、試合再開「1秒後」に電光石火のゴールを決めて、勝ち越しに成功したのです!

▼フェイスオフスポット

 昨日配信した野球の始球式は見たことがあっても、アイスホッケーの始球式を見たことはありますか?で紹介したとおり、アイスホッケーの試合では、ペナルティなどによりプレーが止まったあとは、必ずレフェリーやラインズマンが落とすパックを、スティックで争う「フェイスオフ」から再開されます。

 フェイスオフを行う場所は、

<1>両チームのゴールの斜め前にあるサークルの中心。

<2>オフサイドの基準となるブルーラインの手前。

<3>リンクの中央。

以上が「フェイスオフスポット」と呼ばれ、リンク上の合わせて9か所となります。

 このうちGKがパックを止めた際は、上記の<1>からプレーが再開されます。

▼試合再開1秒後の決勝点

 前述したピヤノフの得点は上記の<1>に該当し、ゴール裏のエンドボードから10メートル離れたフェイスオフスポットから、ラインズマンが落としたパックを、ダイレクトにシュートしたもの。

 これが決勝点となり、オムスクは今季の初戦を白星で飾りました。

▼NHLでは2秒後の得点も

 ピヤノフのシュートは、相手ゾーンのゴールに最も近いフェイスオフスポットから放たれたものでしたが、リンクのセンターライン(=リンクの中央に引かれている赤いライン。国際ルールではエンドボードから30メートル。NHLでは約30.5メートル)か、それよりも遠いポジションからの攻撃に限ってみると、NHLでは試合再開「2秒後」の得点も記録されています。

 最も新しいところでは、一昨季にミネソタ ワイルドのFWミカエル・グラルンドが、このようなシュートを決めました。

▼GKがいない・・・

 上の動画をご覧いただいて気づかれたと思いますが、相手チームのゴールにはGKがいませんでした。

 これはアイスホッケーの戦術の一つで、相手チームに1、2点リードを許している際には、GKをベンチへ戻して、代わりに攻撃力の高いプレーヤーを出場させて得点を狙う「エンプティネット(=全員攻撃)」を仕掛けたのです。

 このような戦術は、NHLに限らず世界各国の試合で見られる、いわばスタンダードな作戦と言えます。

▼GKが守っている状況では?

 では、相手チームのゴールにGKが守っている状況に限ってみると、4季前にトロント メイプルリーフスのジェイムス・バン リムズダイクが、タイラー・ホザックからのパスを受けて得点した試合再開「4秒後」が最速記録!

 このようにNHLやKHLを筆頭とするアイスホッケーの魅力は、激しいボディコンタクトとともに、「4秒あればリンクの中央からでもゴールできる」 スピーディーな試合展開!

 もうすぐアイスホッケーシーズン到来となりますが、観戦される際には、ぜひアイスホッケーの魅力を堪能してください。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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