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【NHL】上海と北京で来季のプレシーズンゲームを開催! 

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
サンノゼシャークスは北京にチームを設立(Photo:Jiro Kato)

21世紀に入ってから、中国へ視線を向ける欧米のプロスポーツチームが数多く見られます。

アイスホッケーでも、ヨーロッパ最大のリーグKHLに、今季から加盟した新チームの クンルン レッドスターが、北京と上海でホームゲームを開催。

それに負けじとNHLも、ゲーリー・ベットマン コミッショナーが中国まで赴いて、

9月21日と23日に「NHLチャイナゲームス」と銘打って、ロサンゼルス キングス vs バンクーバー カナックス のプレシーズンゲームを、上海と北京で開催する

ことを今日発表しました。

▼NHLと中国の関係

近年のNHLの歩みを振り返ると、中国へ進出したチームでは、サンノゼ シャークスが挙げられます。

2007年に「中国 シャークス」(上のタイトル写真/翌年はチャイナシャークスと改名)を設立し、2季だけながらアジアリーグへ参戦(既に解散)。

★参照記事=筆者オフィシャルサイトへのリンク

さらに、トロント メイプルリーフスや、バンクーバー カナックスといったカナダの人気チームまでもが、北京や上海の大都市に住む子供たちを対象に、アイスホッケースクールを開催しています。

★参照記事=筆者オフィシャルサイトへのリンク

また、現地へ赴かないまでも、ワシントン キャピタルズや、ボストン ブルーインズなど、地元在住の中国人のキッズプレーヤーを招待し、NHLのスター選手たちにコーチをさせるチームも見られます。

▼中国へ注力するニューヨーク アイランダーズ

しかし、これらのチームにも増して、以前から中国との結びつきが深いのは、ニューヨーク アイランダーズ

共同オーナーの チャールズ ・ワン が上海出身とあって、他のチームに先駆けて中国へ注力。

ヘッドコーチやGMを務めていたマイク ・ミルバリーを、北東部のハルビンやチチハル(黒龍江省)へ派遣して、現地のチームの視察や指導を行ったり、中国で最もアイスホッケーが盛んなハルビンのアイスアリーナに、チャイナオフィスを設立していました。

哈爾浜八区氷球館(Rights of Jiro Kato)
哈爾浜八区氷球館(Rights of Jiro Kato)

そして極めつけは、一昨季のドラフトで、中国人プレーヤーを指名!(6巡目全体172位)

白羽の矢を立てられたのは、北京出身ながら、アメリカへ移り住んで腕を磨き、U18中国代表でキャプテンを務めた実績があるアンドン・ソン(1997年1月31日生まれ・DF)

指名直後の現地メディアでは、「NHLで戦力になれる選手かは疑問がある?」との報道が多く見られ、”NHLのヤオ・ミン” を期待する(というよりNHLでデビューする)のは難しそうですが、NHLのドラフトで初めて指名された中国人選手として、各国のメディアから注目を浴びました。

▼上海と北京でプレシーズンゲームを開催

このような流れを受けて、今日(現地時間)ゲーリー・ベッドマン コミッショナーが中国へ赴き、NHLのスポンサーとなっている中国系企業のスポンサードを取りつけ、上海と北京で、前述のバンクーバーと、ロサンゼルス キングスが、来季のプレシーズンゲームを開催すると発表。

プレーシーズンゲームながら、さいたまスーパーアリーナで、2000年10月に「ピッツバーグ ペンギンズ vs ナッシュビル ブレデターズ」の開幕シリーズ(2試合)が開催されて以来、

17季ぶりにアジアでNHLの試合を観戦できる!

ことになります。

▼中国への色気は隠しきれない !?

この話題は、年明け頃から多くの北米のメディアで報じられていましたが、費用対効果はもちろん、現地のアリーナの設備面や集客の見通しなどの観点から、「時期尚早ではないか?」との声も。

しかしNHLは、来年の「ピョンチャン オリンピック」に合わせて、現役選手たちの出場を後押しするオリンピックブレイク(レギュラーシーズン中断期間)を設けない意向なのに対し、2022年の「北京オリンピック」については、「ビジネスチャンスがあるかもしれない」と、ビル・デイリー副コミッショナーが公言したとおり、 “色気" を隠し切れない様子。

NBAからは大きく遅れをとったものの、NHLにとっても、中国のマーケットは魅力的に見えるようです。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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