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トランプ氏は認知症+危険? バイデン氏は「歳は同じくらいだが妻の名前を思い出せない」とトランプ氏批判

飯塚真紀子在米ジャーナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 スーパーチューズデーで圧勝したトランプ氏。

 バイデン氏との一騎打ちは確実となったが、気になるのはメンタルだ。スーパーチューズデーを前に行った演説では、相変わらず、バイデン氏をオバマ氏と混同する発言を続けていた。

トランプ氏は認知症な上に危険?

 3月2日、ヴァージニア州で行われた演説で、トランプ氏は「11月、ホワイトハウスを取り戻したら、ロシアとウクライナの間で起きている恐ろしい戦争を解決する」と訴えたのだが、バイデン氏と呼ぶべきところを、以下のようにオバマ氏と呼んでいる。

「私は二人(プーチン氏とゼレンスキー氏のこと)をとてもよく知っている。我々は強さで平和を取り戻す。戦争を解決する。ひどい戦争だ。プーチン氏はオバマ氏をほとんどリスペクトしていないから、核という言葉を飛び交わせ始めているのだ」

 アメリカの朝の人気ショー「モーニング・ジョー」のホスト、ジョー・スカーボロー氏は、このトランプ氏の失言について「彼はテレプロンプターを読んでいるが、それでも頭が真っ白になっている。情けなく、悲しいことだ」と言い、コメンテイターも「バイデン氏は高齢だが、もう一人(トランプ氏のこと)は気が変になっており、認知症で、情けなく、言うまでもなく危険だ」と批判した。

バイデン氏をオバマ氏と繰り返し混同

 もっとも、トランプ氏はこれまでも繰り返し、バイデン氏をオバマ氏と混同してきた。昨年9月に行った演説では、世論調査で自身がバイデン氏を上回っているというところを、オバマ氏と言い間違えている。

「ひねくれ者のジョー・バイデンと急進左翼の凶悪犯たちは法執行機関を武器にして主要な政敵を逮捕したが、私はオバマよりもたくさんリードしている」

 もっとも、トランプ氏は、わざとバイデン氏をオバマ氏と呼んでいると説明している。同氏の頭の中では、バイデン氏もオバマ氏同様左派という点では変わりがないから、バイデン氏をあえてオバマ氏と呼んでいるということだろうか。しかし、苦しい弁解にも聞こえる。

 さらには、ヒラリー・クリントン氏のこともオバマ氏と呼んでいる。「オバマ氏のおかげで、誰もが勝てないと言っていた選挙に我々は勝利した」とトランプ氏は2016年の大統領選ではオバマ氏に勝ったと発言した。その後、間違いに気づいたのか、対戦相手はオバマ氏ではなくヒラリー・クリントン氏だったと訂正している。

 ちなみに、同じ演説では、バイデン氏がロシアに対処していては第二次世界大戦になると言及。

「完全に腐敗した我が国史上最悪の大統領がいる。彼は認知障害があり、指導できる状態ではなく、今、ロシアや起こりうる核戦争に対処している。考えてみてください。 もし私たちがこの男に頼っていたら、すぐに第二次世界大戦に突入してしまうだろう」

 スーパーチューズデーを控えてノース・カロライナ州やヴァージニア州で行われた集会でも、失言が飛び出したことが報じられている。アルゼンティーナ(スペイン語でアルゼンチンのこと)を国ではなく、“素晴らしい男”と人間のように見る、以下の発言をしたという。

「アルゼンティーナは素晴らしいトランプのファンだ。彼はトランプを愛している。彼からの電話をとった。私は私を好きな人は誰でも好きだ」

 また、ベネズエラという国名を上手く発音できなかったことも揶揄されている。

トランプ氏は妻の名前を本当に忘れたのか?

 2月24日、サウス・カロライナ州で行われたCPAC(保守政治活動会議)の際には、“X”で、トランプ氏は妻のメラニア夫人の名前を忘れた様子だったとするツイートが拡散された。ステージに立ったトランプ氏はメラニア夫人を紹介した時に、“メルセデス”と呼んだと言うのだ。

「私の妻、私たちの偉大なファースト・レディー、人々は彼女を愛している」と言った数秒後、観衆が歓声をあげる中、トランプ氏は「人々は彼女を愛している、ああ、見てください、すごい! メルセデス、とてもいいね」と続けたという。ニュース・メディアもこのことを取り上げた。

 バイデン氏もこのことをトランプ氏を非難するのに使えると考えたのかもしれない。テレビのトークショーに出演した際に、トランプ氏の名前にこそ言及しなかったものの、「もう一人の男を見て下さい。私と同じくらいの歳だが、彼は妻の名前を思い出せない」と言ってトランプ氏が高齢であることを揶揄している。

 トランプ氏はそんな批判に対し、「民主党急進派は常に話をでっち上げている。彼らの候補者は精神的にも肉体的にも問題があるからだ」と反論した。

 さて、本当のところはどうだったのか? 「トランプ氏がメラニア夫人の名前を忘れた」というのは間違いだった、フェイクだったというのが事実だった。確かに、トランプ氏の発言だけを見ると、妻メラニア夫人をメルセデスと呼んでいるかに聞こえるが、“百聞は一見に如かず”で、実際の動画を見ると、トランプ氏はメラニア夫人を紹介した後、歓声を上げた聴衆の中にいた、政治評論家でアメリカ保守同盟(CPAC主催者)委員長で元ホワイトハウス職員マット・シュラップ氏とその妻メルセデスさんの方を見て、「メルセデス、とてもいいね」と話しているのである。

 もっとも、バイデン氏はフェイクだとわかっていながら、トークショーでトランプ氏を揶揄したと見られている。そのため、メディアからは、トランプ氏は支離滅裂な発言を山ほど行っているのに、なぜ、バイデン氏はフェイク・ニュースをもとにトランプ氏を揶揄したのかと疑問の声も上がった。

 常々、高齢問題が懸念されているバイデン氏である。フェイク・ニュースを使ってまで、自分の方が妻の名前を思い出せないトランプ氏よりもマシとでも言いたかったのだろうか。翻って、それだけ、自身の高齢問題に神経質になっていることの表れかもしれない。

 ところで、動画は実際その場にいないと誤解釈されやすいが、誤解釈された動画が今回のように事実でもあるかのように拡散され、それを大統領候補が利用すれば、それは特に支持者の間では、事実として固定されていく可能性がある。

 本選で一騎討ちする可能性が高く、共に高齢のバイデン氏とトランプ氏。両者の間で“高齢非難合戦”が起きることが予想される中、今回のような高齢にフォーカスした誤解釈されたフェイク・ツイートが事実として一人歩きすることが懸念される。

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在米ジャーナリスト

大分県生まれ。早稲田大学卒業。出版社にて編集記者を務めた後、渡米。ロサンゼルスを拠点に、政治、経済、社会、トレンドなどをテーマに、様々なメディアに寄稿している。ノーム・チョムスキー、ロバート・シラー、ジェームズ・ワトソン、ジャレド・ダイアモンド、エズラ・ヴォーゲル、ジム・ロジャーズなど多数の知識人にインタビュー。著書に『9・11の標的をつくった男 天才と差別ー建築家ミノル・ヤマサキの生涯』(講談社刊)、『そしてぼくは銃口を向けた」』、『銃弾の向こう側』、『ある日本人ゲイの告白』(草思社刊)、訳書に『封印された「放射能」の恐怖 フクシマ事故で何人がガンになるのか』(講談社 )がある。

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