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2020年ベストラーメンTOP10!全国のラーメンを食べ歩くラーメンライターが厳選

井手隊長ラーメンライター/ミュージシャン

今回は、2020年に私が食べたラーメンの中で、特に思い出に残った10店をご紹介したい。

ベスト10を決めるにあたって、何度か訪れているお店(リピート店)は除外させていただき、あくまで私が今年初めて訪れたお店に限定し、何とか10店に絞ってみた。

新型コロナウイルスの影響で外出自粛が続き、例年よりも行けたお店の数は少ないが、本当に美味しかったお店が多く、10店に絞るのはかなり難しかった。今のトレンドも見えるいいベスト10になったかと思うので、食べ歩きの参考にしていただければ幸いだ。

第10位.みどりや食堂(山梨・韮崎)

みどりや食堂
みどりや食堂

山梨県は韮崎にある目の前に釜無川が流れる絶景のラーメン店。

写真は「チャーシューメン」

チャーシューメン
チャーシューメン

「韮崎ブラック」とも呼ばれる真っ黒なスープは、意外にもしょっぱすぎずしっかり出汁感がある。魚介を効かせ、動物系が下支えしていて、醤油がまろやかに絡む。素晴らしい美味しさだ。

そして特筆すべきはチャーシュー。お土産で一本売りしているほどの人気で、醤油の染み込み具合や油の柔らかさ、甘みまでパーフェクト。これは名店中の名店。旅行などでも訪れたいお店だ。

第9位.川の先の上(上大岡)

川の先の上
川の先の上

上大岡にある人気店「G麺7」の5号店。駅西口からまっすぐ歩き、店名の通り本当に川の先の2Fにあるお店。

写真は「らーめん味噌」

らーめん味噌
らーめん味噌

濃厚な赤味噌のスープは中華鍋炒め製法。後藤店主が北海道で酔っ払って食べた味噌ラーメンがヒントになっているという。具に「餃子」が入っているのがなんと言ってもユニークだ。

味噌ラーメンに挽肉を入れるのは定番だが、餃子の皮まで入っていて食感も面白く、少しジャンクな感じも楽しい。麺は平打ちストレートの自家製麺。吊るし焼きの燻製チャーシューも絶品だ。

第8位.morris(大山)

morris
morris

板橋・大山の商店街で12年続く人気店。一見カフェ風の外観だが、こだわりのラーメンを出している。

写真は「中華そば」

ノリ以外は全て自家製という手の込んだ一杯で、それはそれは丁寧な作り。

厨房もピッカピカに掃除されていて、それだけでも名店とわかる。

魚介と豚のスープを別々にとり、丼で合わせる真のWスープ方式。麺はツルツルの太めの自家製麺。

水でゆっくり戻して切ったメンマも旨い。

こういう王道で真っすぐな中華そばがしっかり街に根付いていることが嬉しい。

第7位.自家製麺 くろ松(高崎)

自家製麺 くろ松
自家製麺 くろ松

群馬で大変評価の高いお店で、グルメサイトでも驚異的な口コミ数を誇る。目黒の名店「かづ屋」出身。

写真は「(松)特級中華そば 白醤油」で注文。味は白醤油と醤油から選べる。

雷紋模様の懐かしいどんぶりに、澄んだキラキラのスープ。

白醤油のまろやかさを生かしながら、鶏や煮干しの旨みが一体となって口の中に広がる。上品ながら旨味は深く、唸るレベル。

麺は自家製で太めながら鶏油の効果もあってしっかりスープを持ち上げる。滑らかな麺でこれは旨い。

具も隙なしで、特にしっとりとした鶏チャーシューとギュッとした旨味の詰まったワンタンは最高。

修行先の「かづ屋」とは違う方向ではあるが、仕事一つ一つが丁寧でパーツの全てに意味が感じられる。名店中の名店だ。

第6位.ラーメンの店 せせらぎ(大阪・南森町)

ラーメンの店 せせらぎ
ラーメンの店 せせらぎ

大阪・南森町にある隠れた名店。

写真は「白湯ラーメン」

白湯ラーメン
白湯ラーメン

丼にカエシは入れず、小鍋でスープと共に煮立たせる。バラロールのチャーシューは麺茹での横でバットに乗せて温める。メンマは乾燥メンマを水で戻している。店主の丁寧な仕事が随所に光っている。

鶏と豚に魚介を効かせたスープだが、これが素晴らしい。麺の存在感もしっかりあって負けておらず、具のバランスもいい。チャーシューの上にかかっているマー油を少しずつ溶くと味変できる。

丁寧に丁寧に作られた最高の濃厚魚介系ラーメンだ。

第5位.麺屋 鈴春(本郷三丁目)

麺屋 鈴春
麺屋 鈴春

今年9月オープンの注目店。「麺屋 一燈」の出身。

写真は「特製醤油らーめん」

特製醤油らーめん
特製醤油らーめん

鶏清湯ながら旨味が詰まりに詰まった濃密なスープ。鶏油がスープにうまく馴染んだ感じで一体となって美味しい。「中華蕎麦 とみ田」が手掛ける心の味製麺の細麺もしなやかで素晴らしい。これはレベルが高い。

そしてチャーシュー。特に大ぶりの豚ロースは絶品。味玉は黄身に甘味があって独特な味付け。

これは名店誕生。本郷三丁目のラーメン戦争が激化すること間違いなしだ。

第4位.手揉み中華そば 中村(大宮)

手揉み中華そば 中村
手揉み中華そば 中村

人気店「狼煙」の新ブランドが大宮に今年12月にオープン。

写真は「中華そば」

中華そば
中華そば

はかた地どり、阿波尾鶏、タマシャモ、大山鶏をπウォーターで炊いた鶏清湯スープ。醤油ダレは川越はつかり醤油・小豆島他数種をブレンド。

いわゆる流行の鶏清湯系とは違い、鶏の分厚い旨味と醤油の深みが物凄く、驚きの旨さ。自家製麺は手もみがしっかり効いていて、モチモチ感がありしっかりした主張。スープと麺がぶつかり合い、相乗効果を生んでいる一杯。鶏清湯ブームに一石を投じる一杯になるだろう。

第3位.中華そば 堀川(自由が丘)

中華そば 堀川
中華そば 堀川

大阪の豊中にある人気店が今年1月に自由が丘に移転。

写真の「醤油そば」は煮干しと鶏のバランス系のスープ。

醤油そば
醤油そば

鶏は比内地鶏、つくば鶏、大山どり、煮干しは長崎、千葉、瀬戸内海、境港など日によってブランドを変えている。醤油を立たせ、スープは清湯ながらマイルドで和風の旨味もある。麺はしなやかな細麺。全体のまとめ方が見事。薄く切ったネギなど細かな部分も素晴らしい。焼きの入った岩手・岩中ポークのチャーシューも旨い。

いりこそば
いりこそば

そしてこちらが「いりこそば」。こちらはスープを煮干しと水のみでまとめている。

動物系の厚みに頼らず、煮干しの旨味と香りだけで引っ張る。大きめに刻んだ淡路島産タマネギの清涼感もよい。こちらも文句なしに美味しかった。

なかなかラーメンのイメージのない自由が丘に一気に話題の集まる名店が誕生だ。

第2位.麺処 懐や(鷺沼)

麺処 懐や
麺処 懐や

名店「中村屋」の出身店。

写真は「しょうゆ(細麺)」。麺は細麺と平打ち麺から選べる。

しょうゆ(細麺)
しょうゆ(細麺)

チャーシューは都度切って七輪で炙る。湯切りは修行先の「中村屋」の代名詞である天空落としを小さめに見せてくれる。

魚介のじんわりとした旨味に強めの醤油ダレを合わせる。奥行きのあるスープで、後を引く旨さ。

スープと麺の一体感が素晴らしく、チャーシューの香ばしさも加わり、非の打ち所がない。しかもこれで650円とはコストパフォーマンスも申し分ない。

かなり丁寧に1〜2杯ずつ作っているので回転が遅くなるのがネックだが、素晴らしい名店だ。

第1位.自家製手もみ麺 鈴ノ木(狭山ヶ丘)

自家製手もみ麺 鈴ノ木
自家製手もみ麺 鈴ノ木

埼玉西武ライオンズファンのご夫婦が営む人気店。「六厘舎」ソラマチ店など名店の出身。

写真は「特製ラーメン」

特製ラーメン
特製ラーメン

スープは大山鶏と山水地鶏の丸鶏で、日本一醤油のたまり醤油と再仕込み醤油、和歌山の丸大豆醤油と生揚げ醤油の4種類を合わせ、魚醬も加えている。麺は自家製の極太麺で茹でる前に1玉ずつ手もみしている。腰が入っていて凄い。

いわゆる鶏清湯系とは一線を画するかなり濃密なスープで、鶏、醤油ともに濃密。だがバランスがしっかりと取れている。そこに手もみ麺が強めに合わさる。うどん用の小麦も20%混ぜているそうで、モチモチ感が良い。

しっとりとした低温調理チャーシューとホロホロのバラチャーシューに加え、ワンタンもしっかり餡が詰まっていて旨い。コリコリの細切りメンマもいいアクセントだ。

バラエティに富んだたくさんの具材が麺・スープとともに一つにまとまっている絶品の一杯だ。

なお、こちらのベスト10は私がパーソナリティを務めるインターネット番組「ラーメンミュージシャン井手隊長の 今3時?そうねだいたいね」でも紹介しているので、ぜひYouTubeでもチェックしてみてほしい。

ラーメンライター/ミュージシャン

全国47都道府県のラーメンを食べ歩くラーメンライター。東洋経済オンライン、AERA dot.など連載のほか、テレビ番組出演・監修、コンテスト審査員、イベントMCなどで活躍中。 自身のインターネット番組、ブログ、Twitter、Facebookなどでも定期的にラーメン情報を発信。ミュージシャンとして、サザンオールスターズのトリビュートバンド「井手隊長バンド」や、昭和歌謡・オールディーズユニット「フカイデカフェ」でも活動。本の要約サービス フライヤー 執行役員、「読者が選ぶビジネス書グランプリ」事務局長も務める。

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