台湾まぜそば発祥の店「はなび」東京再進出の裏側

東京で復活した「はなび」の台湾まぜそば

2020年9月20日、東京・下北沢に「元祖台湾まぜそば はなび 下北沢店」がオープンする。

元祖台湾まぜそば はなび 下北沢店
元祖台湾まぜそば はなび 下北沢店

「はなび」は名古屋のご当地グルメである「台湾まぜそば」発祥の店。

名古屋エリアを中心に店舗を広げ、今やロサンゼルス、ソウル、クアラルンプールなど海外にも台湾まぜそばを広げている。

台湾まぜそば
台湾まぜそば

極太麺の上に台湾ミンチ(唐辛子とニンニクの効いたミンチ)と卵黄が乗り、ニンニク、ニラ、ノリ、鯖粉が丼の周りを囲む。これを豪快に混ぜて食べるジャンキーな一杯。

長めに茹でた麺を、テボの中で棒でグリグリと押し付けることで、麺に傷を付けて糊を出し、タレに絡みやすくしている。さらに、この糊成分が醤油の角を取ってまろやかな味わいにしてくれる。

麺、具、タレを豪快に混ぜて食べる
麺、具、タレを豪快に混ぜて食べる

麺を食べ終わった後にはご飯を投入し、タレを絡めた「追い飯」が楽しめる。

「追い飯」は無料サービス
「追い飯」は無料サービス

豪快な一杯ながら作り方の工夫が随所に見られるのが面白いところだ。

いまや「ラーメン二郎」や「横浜家系ラーメン」と肩を並べるほど中毒性の高いラーメンとして人気を博している。

「はなび」やその出身店、姉妹店が店舗を広げているほか、「はなび」とは無関係の多くのラーメン店が大都市圏を中心に続々と提供を始めている。大手チェーンがメニュー化するほか、カップ麺やチルド麺も続々登場し、ひとつの“ご当地ラーメン”と化した状態だ。

「はなび」は2014年7月に東新宿に東京1号店をオープンし、東京進出を果たしていたが、19年4月に人手不足を理由に、長い休業期間を経て閉店となっている。それ以降、東京には台湾まぜそばを提供するお店がたくさんあるにもかかわらず、本家である「はなび」が不在という時期が続いた。店主の新山直人氏は語る。

「東京でやりたい気持ちはあるものの、どうしても人員が確保できませんでした。FC(フランチャイズ)展開するにしても、信頼できる会社でないと厳しい。東京は全国の目ですし、絶対失敗できません。いくつかお声がけをいただきましたが、なかなか前に進みませんでした」

東京での復活がなかなか進まないまま時が流れていたが、突然転機が訪れる。

「『はなび』の台湾まぜそばを名古屋で食べ、脳天を撃ち抜かれた。うちに東京のFC展開をやらせてほしい」というオファーが来たのである。炭火串焼き専門店の「紅とん」の代表・石岡健生氏からの連絡であった。

「東京でもかなり食べ歩きをしましたが、『はなび』のようなパンチのある台湾まぜそばには出会ったことがありませんでした。名古屋で出しているこの味をそのまま東京で出したいという思いでオファーさせていただきました」(石岡氏)

石岡氏の想いが伝わり、東京での「はなび」のFC展開が決定。復活1号店は下北沢に決まった。

店の目の前には「餃子の王将」全国売上No.1を何度も取っている下北沢店がある。

「店を見た瞬間ビビッと来ました。これだけ繁盛している『餃子の王将』の目の前でチャレンジできるなんて、逆にワクワクしますね」(新山氏)

ボリュームと中毒性のある台湾まぜそばは若い世代の多い下北沢の街のニーズにもピッタリで、プレオープンから早くも長い行列ができていた。

初日から長い行列
初日から長い行列

FCといえど、自家製麺と台湾ミンチは名古屋の「はなび」から直送し、本店と同じクオリティを保っている。

レシピはなるべくブレが出ないようにすべて数値化し、各工程を何のためにやるのかを徹底的に教育している。

店主の新山氏が自ら厨房に入り、レシピを1から教える
店主の新山氏が自ら厨房に入り、レシピを1から教える

「台湾まぜそばのレシピは、考えていたよりも壁が高かったです。この動作はなぜやるのか。それぞれのことは何のためにやるのか。新山さんから改めて説明を聞くことでスタッフに魂が入りました。

見た目はワイルドながら、精密に細かい部分を詰めているんです。見た目はマネしやすいかもしれませんが、実際は再現しづらいと思います」(石岡氏)

辛いだけでなく“旨辛”にするのが「はなび」の味作りだ。刺激のある味をまず作って、油や麺の糊成分でそれを丸くまとめて奥行きを作る。それにより、最後まで飽きを感じないで食べられるのだ。

都内での今後の展開について聞いてみた。

「『紅とん』はコロナの影響で売上が前年比30%ダウンしており、何か手を打たなければならない状態でした。

そこで、『紅とん』の営業していない昼帯を『はなび』にし、二毛作営業することを考えています。11月初旬に南新宿で営業をスタートする予定です」(石岡氏)

東京再進出を実現した新山氏
東京再進出を実現した新山氏

汁なしの台湾まぜそばはテイクアウトやデリバリーにも向いている。「はなび」の快進撃はこれから始まる。

※写真はすべて筆者による撮影