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ごみ出しがラクになり、生ごみの臭いもなくコバエも来ない、助成金も受け取れる方法とは

井出留美食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)
料理をするカップル(写真:アフロ)

9月に入り、残暑もまだ厳しい季節、台所の生ごみの臭いに悩む人もいるかもしれない。生ごみは、重さの80%以上が水分なので重い。ごみ出しも大変だし、放っておくと、コバエが発生しやすい。

そんなごみ出しや生ごみの臭い、コバエの発生も抑えられる方法とは何か。

それは、生ごみを堆肥にすること、あるいは乾かすことである。

住んでいる地域によっては、家の庭や畑にコンポスト(堆肥をつくる機械や容器、あるいは堆肥そのものを指す)があって、毎日、そこに生ごみを入れているかもしれない。

集合住宅の場合、コンポストは、庭や畑に比べてやりづらい。

だが筆者はマンションのベランダでコンポストを2つ置いている。ベランダが2か所にあり、一方はポリバケツで、もう一方はバッグ型のコンポスト(1)で、堆肥を作っている。

家庭用生ごみ処理機、助成金が最大6万円もらえる

集合住宅の場合、生ごみをそのままコンポストに入れるのに躊躇する人もいるかもしれない。

その場合、家庭用の生ごみ処理機がおすすめだ。全国60%以上の自治体で助成金制度があり、申請して認可されれば、おおむね半額が補助される。自分の住んでいる自治体にその制度があるか、検索できるシステムもある(2)。

筆者の知る限り、講演に行ったことのある和歌山県橋本市は全国で最も助成の上限が高く、6万円まで助成される(3)。

筆者は、2万円程度のものを、半額補助で1万円強で購入した。2017年6月から使用している。

家庭用生ごみ処理機を1500回使った結果

2017年6月から、家庭用生ごみ処理機を使う前と後の生ごみ重量を計測している。その結果をグラフで示してみる。オレンジの部分が減った量を示している。

生ごみ乾燥後残量と減少分の割合(筆者のデータをもとにYahoo!JAPAN制作)
生ごみ乾燥後残量と減少分の割合(筆者のデータをもとにYahoo!JAPAN制作)

100回ごとの計測結果を見てみると、生ごみを乾燥させることで、50〜80%程度の重量が減っていることがわかる。

生ごみを1500回乾燥させる前と後との重量比較(筆者の計測データをもとにYahoo!JAPAN制作)
生ごみを1500回乾燥させる前と後との重量比較(筆者の計測データをもとにYahoo!JAPAN制作)

1500回で、減らせた重量は394kg。体重60kgの大人6人分以上に相当する。

しかも、乾かしたものは、ごみとして自治体に出すのではなく、自宅のコンポストに入れているから、実際には、もっと減らしていることになる。

電力を使うことで環境への負荷が気になるかもしれないが、筆者の場合、100%自然エネルギーのハチドリ電力に契約を切り替えている(4)。切り替えもネットで5分程度で済んだ。2023年7月の電気代は2,681円、2023年8月の電気代は5,657円だった。8月はエアコンをつけっぱなしにしているので高くなっているが、家庭用生ごみ処理機を使うことで負担になるということはない。

家庭用生ごみ処理機の販売動向が2023年7月から活発に

家庭用生ごみ処理機は、パナソニックのような大手メーカー(5)はじめ、各社が販売しており、家電量販店にも売り場が設置されているところが多い。関係者によれば、今年2023年は、7月ごろから販売動向が活発化しているようだ。

要因は定かではないようだが、国連の事務総長が「地球沸騰化時代」と称したように(6)、この夏の酷暑も関係するかもしれない。

一般廃棄物処理の税金は年2兆1,499億円

環境省が2023年3月末に発表した、一般廃棄物処理の年間コストは2兆1,499億円にのぼった。我々が納めた税金の結集である。ある食品リサイクル企業の社長は、このうち40%が生ごみ関連ではないかと推察している。

生ごみを乾燥させるだけで、この処理コストは削減でき、貴重な税金を雇用や福祉、教育、医療などに使うことができる。

筆者の場合、家庭用生ごみ処理機を使い始めてから、快適なことしかない。ごみが減るし、ごみ出しはラクになり、臭いの問題もなく、コバエもほとんど来ない。すがすがしい気持ちも味わえる。もしまだ助成金制度を調べていない方は、調べてみてはどうだろうか。

参考情報

1)LFCコンポスト

2)自治体の購入助成金制度検索(シマ株式会社)

3)生ごみの減量・リサイクル(和歌山県橋本市)

4)ハチドリ電力

5)家庭用生ごみ処理機(パナソニック)

6)「死ぬほど暑い」12万年ぶりの猛暑 なぜメディアは表層的な現象しか報じないのか(井出留美、Yahoo!ニュースエキスパート、2023/8/20)

食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け、誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力した。著書に『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てないパン屋の挑戦』他。食品ロスを全国的に注目させたとして食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。https://iderumi.theletter.jp/about

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