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米粉のストローも!米・デンマーク・フィリピン・日本で購入した、環境負荷の少ないエコストロー

井出留美食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)
フィリピンの小島のカフェで使われていたステンレス製のストロー(筆者撮影)

*本記事は、『SDGs世界レポート』(1)〜(87)の連載が終了し、2020年3月17日に配信した『米粉のストローも!米・デンマーク等6カ国製造13ヶ所で購入のエコストロー:SDGs世界レポ(10)』の記事掲載が終了するにあたって、当時の内容に追記して編集したものです。

2018年、スターバックスやマクドナルドなど、グローバルの大手外食企業が、世界の店舗でプラストローの使用を中止していくことを宣言した。脱プラスチックや環境配慮の原料でストローを作る動きは、SDGsの12、13、14、15などのゴールに関連している。

この記事では、ベトナム、デンマーク 、フィリピン、日本、インドネシア、米国など、6カ国で製造された環境配慮のストローを写真入りで紹介したい。2018年から今まで、いろんな国で買い集めてきたものだ。中には米粉と小麦粉で作ったストローもある。

1、ベトナム・米粉と小麦粉で作ったストロー

まずはベトナム・ハノイのスーパーマーケット、ロッテマートで購入した、米粉と小麦粉で作ったストローをご紹介したい。内容量の表示は「何本入り」ではなく「500g」と書いてある。

ベトナムで購入した、米粉と小麦粉で作ったストロー(筆者撮影)
ベトナムで購入した、米粉と小麦粉で作ったストロー(筆者撮影)

価格は39,900ドン(およそ223円、2023年3月28日換算)。

ベトナム・ハノイにあるショッピングモール、ロッテマートで販売されていた、米粉と小麦粉で作ったストロー(筆者撮影)
ベトナム・ハノイにあるショッピングモール、ロッテマートで販売されていた、米粉と小麦粉で作ったストロー(筆者撮影)

自然の色素で色付けしてあり、色は紫、緑、白、黒の4種類から選べる。筆者が買ったのは「黒」だった。下の写真の左側のストローが、水に浸けた時のものだ。30分以上、浸けておいたら、「ふやけたマカロニ」のようにふくらんできたが、使うには問題ない。

左側が米粉と小麦粉のストロー(筆者撮影)
左側が米粉と小麦粉のストロー(筆者撮影)

使用期限が袋の裏面に書いてあり、おそらく製造日から2年間ぐらいのようだ。100本以上入っているので、個人使用より、飲食店の人にいいかもしれない。

2、ベトナム・紙製ストロー

2番目は、ベトナムで購入した紙製ストロー。直径が6mmと8mmのものがあり、両方購入した。6mmのものは、前掲の米粉・小麦粉ストローをコップの水に挿した写真の右手に写っている。

ベトナムの紙製ストロー。右端が直径6mm、真ん中と右は直径8mm(筆者撮影)
ベトナムの紙製ストロー。右端が直径6mm、真ん中と右は直径8mm(筆者撮影)

紙だからすぐ溶けてしまいそうだが、水に浸けてもしっかりとしている。裏面には、電子レンジに入れても大丈夫であること、リサイクルできること、生分解性であること(biodegradable)が表示されている。

3、ベトナム・竹製ストロー

3番目は、ベトナムで購入した竹製ストロー。

パッケージの表には「地球を守ろう、オーガニックのものを選ぼう」と書かれ、裏面にはホーチミン製、と書かれている。

ベトナム・竹製ストロー(筆者撮影)
ベトナム・竹製ストロー(筆者撮影)

自然な雰囲気でいいのだが、洗って乾かすのは少し面倒。

4、デンマーク ・ステンレス製ストロー

4番目は、デンマーク ・コペンハーゲンにある量り売りの店、ロス・マーケット(1)で購入したステンレス製ストロー(下の写真、右側)。

デンマーク ・コペンハーゲンのロス・マーケットで購入したステンレス製ストローとカトラリーセット(筆者撮影)
デンマーク ・コペンハーゲンのロス・マーケットで購入したステンレス製ストローとカトラリーセット(筆者撮影)

ストローを洗うためのブラシと、持ち運ぶときの布製袋がついており、値段は60デンマーク ・クローネ(およそ1,143円、2023年3月28日換算)。

ここではスプーン・フォーク・ナイフなど、機内でも使えるカトラリーセットも売っていた。値段は100デンマーク ・クローネ(およそ1,906円、2023年3月28日換算)。

デンマーク ・コペンハーゲンのロス・マーケットで販売されているステンレス製ストローとカトラリーセット(筆者撮影)
デンマーク ・コペンハーゲンのロス・マーケットで販売されているステンレス製ストローとカトラリーセット(筆者撮影)

ロス・マーケットの店主はフランス人。デンマークに来てから、パッケージの多さを痛感し、量り売りの店を開いた。

5、デンマーク ・紙製ストローその1

5番目はデンマーク・コペンハーゲンのスーパーマーケットで購入した紙製ストロー。

デンマーク ・コペンハーゲンのスーパーで購入した紙製ストロー(筆者撮影)
デンマーク ・コペンハーゲンのスーパーで購入した紙製ストロー(筆者撮影)

直径は6mm程度。パーティ用品の売り場で売っていた。裏面を見ると「中国製」と書いてある。

6、デンマーク・紙製ストローその2

6番目のものもデンマーク・コペンハーゲンの別のスーパーで購入した紙製ストロー。

デンマークで購入した紙製ストロー(筆者撮影)
デンマークで購入した紙製ストロー(筆者撮影)

5番目・6番目とも、このストローが使える飲み物の温度は40度が上限、という注意表示が書かれている。

ベトナムで購入したものと、さほど大差ない。

7、フィリピン(機内)・ステンレス製ストロー

7番目は、フィリピンのセブ・パシフィック航空(2)の機内で販売していたステンレス製ストローだ。機内誌で、航空会社として環境配慮に取り組む姿勢とプロジェクトを紹介しており、その一環として販売されていた。

セブ・パシフィック航空の機内で販売されていたステンレス製ストロー(筆者撮影)
セブ・パシフィック航空の機内で販売されていたステンレス製ストロー(筆者撮影)

洗浄用のブラシがついている。ケースがプラスチックなのが少々残念。とはいえ、日本の航空会社で、機内誌にステンレス製ストローなど、環境配慮の製品が載っているのは、まだ見たことがなく、先進的な取り組みだと感じる。

フィリピンは、2015年ごろから、マニラやセブシティなどの中心地にあるコンビニやショッピングモールで、プラスチックのレジ袋から紙製への切り替えが始まっていた。全店舗ではないのだが、首都圏での環境配慮の取り組みは、むしろ日本より早いかもしれない。

8、フィリピン(セブ・マクタン空港内、ボー・コーヒー)・ステンレス製ストロー

8番目は、フィリピンのセブ・マクタン空港内にある喫茶チェーン店、Bo's Coffee(ボー・コーヒー)(3)で販売されていたステンレス製のストロー。

洗浄用ブラシと布製の袋がついている。このブラシと布製袋がついているものが390ペソ(およそ947円、2023年3月28日換算)、ブラシと袋は無しのストロー1本で150ペソ(およそ364円、2023年3月28日換算)。

フィリピンのセブ・マクタン空港内、ボー・コーヒーで販売されていたステンレス製ストロー(筆者撮影)
フィリピンのセブ・マクタン空港内、ボー・コーヒーで販売されていたステンレス製ストロー(筆者撮影)

ボー・コーヒーは、セルフ形式のカフェ。レジで注文する時、そのすぐ脇に、単品のストローとブラシ&袋とセットのストローが販売されていた。

デンマークのロスマーケットで購入したステンレス製ストローに比べると、7も8も直径が太い。おそらくフィリピンではマンゴーシェイクなど、スムージーのように粘度の高いものを飲むことが多いので、それに合わせて太めになっているのかもしれない。

9、フィリピン・竹製ストロー

9番目は、フィリピンの小さな島の飲食店で販売されていた、竹製のストロー。

12本入りで1セット。洗浄用のブラシもついて、495ペソ(およそ1,203円、2023年3月28日換算)。

フィリピンの小さな島の飲食店で販売されていた竹製ストロー(筆者撮影)
フィリピンの小さな島の飲食店で販売されていた竹製ストロー(筆者撮影)

長さの異なるものが2種類入っている。これを販売していた飲食店では、2019年には、自分の店で出しているシェイクなどにもこの竹ストローを使っていた。しかし同じ店に2020年3月に行ったところ、竹からステンレスへと変更していた。普段、洗浄して乾かして・・・という工程を経る上では、ステンレス製の方が使い勝手がいいのかもしれない。

10、インドネシア・竹製ストローとケース

10番目は、インドネシア・バリ島発のブランドBALIISM(バリイズム)(4)。日本の東京都港区に拠点を置いている。こちらで購入したのが竹製ストローを入れるケース。

BALIISM(バリイズム)の竹製ストローを入れるケース(筆者撮影)
BALIISM(バリイズム)の竹製ストローを入れるケース(筆者撮影)

こちらはケースのみがUS10ドル(およそ1,315円)、ブラシとストローとケースでUS15ドル(およそ1,973円、2023年3月28日換算)。

実際に、持ち運んで使っていたのだが、他の荷物にはさまれ、ケースとふたが割れてヒビが入ってしまった。使う人間の乱雑さによるものか・・・。

11、米国(カリフォルニア発ブランド)・ステンレス製ストロー

11番目は、米国・カリフォルニア発のブランド、Klean Kanteen (クリーン・カンティーン)(5)のステンレス製ストロー。

米国・カリフォルニア発のブランド、Klean Kanteenのステンレス製ストロー(筆者撮影)
米国・カリフォルニア発のブランド、Klean Kanteenのステンレス製ストロー(筆者撮影)

飲み口にシリコンがついたステンレス製ストローが4本セットで税込1,320円。

Klean Kanteenの公式サイトによれば、アメリカでは1日5億本の使い捨てストローが使われているそうで、「使い捨てストローからの脱却」を目指して、このストローを発売したとのこと。

ステンレス100%、シリコン100%のストローは見るが、ステンレスとシリコンを両方使っているストローは、このメーカーのものを見たのが初めてだ。

12、日本・チタン製ストロー&マドラー

12番目は、新潟県燕市のメーカー、株式会社HORIEが作った、チタン製のストロー&マドラー(7)。ストローとしてもマドラーとしても使えるというもの。

チタン製のストロー兼マドラー(筆者撮影)
チタン製のストロー兼マドラー(筆者撮影)

直径6mmで、税込770円。カラフルな色は、独自の手法で取り出した自然のものだそうだ。アレルギーフリーで、さびないもの。

13、日本・スタバのシリコン製ストロー

シリコン製、スターバックスのコーヒーショップで購入した、シリコン製ストローとブラシ、シリコン製のバッグ。

スターバックスのリユーザブルストロー&シリコンバッグ(筆者撮影)
スターバックスのリユーザブルストロー&シリコンバッグ(筆者撮影)

シリコン製なので、飲み物の温度は120度まで大丈夫。値段は税抜きで1,500円。

スターバックスのリユーザブルストロー&シリコンバッグ(筆者撮影)
スターバックスのリユーザブルストロー&シリコンバッグ(筆者撮影)

オンラインショップ(8)では取り扱っていないもよう。

番外編:フィリピン・飲食店のストロー

以上、6カ国で製造された、プラスチック以外のストローをご紹介してきた。

総合的には、ステンレス製やチタン製が、ストローを使う時の冷たい飲み物の温度が伝わりやすく、洗って乾かすにも使い勝手がよいように感じた。折りたたむことができなくても、バッグの中に入れても、そんなに場所を取らないので邪魔には感じない。

フィリピンの小さな島にある飲食店で使われているステンレス製ストロー(筆者撮影)
フィリピンの小さな島にある飲食店で使われているステンレス製ストロー(筆者撮影)

2020年3月に訪問した、フィリピンの小さい島の飲食店で使われていたのは、ステンレス製のストローだった。

本場のマンゴーで作ったシェイクに使われていた。プラスチックのストローより冷たい温度が伝わりやすく、より美味しく感じられる。

マンゴーシェイクとステンレス製ストロー(筆者撮影)
マンゴーシェイクとステンレス製ストロー(筆者撮影)

冒頭に述べたように、環境に配慮するストローを作る・使うことは、SDGsの12、13、14、15などのゴールの達成に貢献する。

世界各国で作られ、売られているストローを知ることで、日本でも、事業者・個人双方にとって、SDGs達成を目指す上で参考になることを願っている。

関連情報

1)フランス人がヒュッゲの国デンマークで始めた量り売りの店「ロス・マーケット」食品ロス削減にも貢献(井出留美、Yahoo!ニュース個人、2019.11.12)

https://news.yahoo.co.jp/byline/iderumi/20191112-00150550

2)セブ・パシフィック航空

https://www.cebupacificair.com/ja-jp?lang=en-PH

3)Bo’s Coffee(ボーコーヒー)

https://www.boscoffee.com

4)BALIISM(バリイズム)

https://www.jp.baliism.asia

5)Klean Kanteen(クリーンカンティーン)

https://www.kleankanteen.jp

6)クリーンカンティーン ストロー4本セット8mm

https://www.kleankanteen.jp/collections/cups-tumblers/products/steel-straw-4-pack

7)株式会社HORIE ストラー

https://www.horie.co.jp/wn_straler_re.htm

8)スターバックスオンラインショップ

https://product.starbucks.co.jp/goods/

関連記事

竹、パスタで代用?プラストローをなくしたらどうなるか(井出留美、Yahoo!ニュース個人、2018.7.13)

https://news.yahoo.co.jp/byline/iderumi/20180713-00089110

プラ製ストローは置いてある?環境意識の高いイタリア・ミラノのスタバ1号店を訪ねた(井出留美、Yahoo!ニュース個人、2018.10.5)

https://news.yahoo.co.jp/byline/iderumi/20181005-00099305

フィリピンの小島の飲食店に遅れをとる日本の脱プラストロー 6月のG20でも海洋プラごみが議題予定に(井出留美、Yahoo!ニュース個人、2019.5.14)

https://news.yahoo.co.jp/byline/iderumi/20190514-00125890

ベトナムのスーパーではバナナの葉で野菜をくるんで販売、米粉ストローも プラごみ削減、G20大阪を前に(井出留美、Yahoo!ニュース個人、2019.6.25)

https://news.yahoo.co.jp/byline/iderumi/20190625-00131548

食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け、誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力した。著書に『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てないパン屋の挑戦』他。食品ロスを全国的に注目させたとして食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。https://iderumi.theletter.jp/about

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