コロナ禍で迎える新年の抱負は?コロナの時代の食品ロス(カナダ編)SDGs世界レポ(50)

カナダのトルドー首相と子ども(写真:ロイター/アフロ)

年の瀬の寒空の下、難民やホームレスの人たちはどうしているだろう。

そんなことを考えたのは、しばらく前に、女優のサヘル・ローズさんの生い立ちを振り返るテレビ番組を見たからだ。サヘル・ローズさんはイランに生まれ、4歳のときにイラン・イラク戦争の空爆で孤児となり、8歳で養母(本当にすばらしい方)とともに来日した。しかし、日本での生活も決して楽ではなく、ふたりで公園のベンチで夜を明かしたこともあったという。そのエピソードがとても印象的だったのだ。

コロナ禍で仕事を失い、生活に困った海外からの実習生たちが、家畜や農作物を盗んで逮捕されるというニュースが話題になったのも記憶に新しい。筆者の暮らす埼玉県の川口市では、約2千人のクルド難民のため、市長が日本政府に、在留資格のない「仮放免」の外国人でも、支援団体などの身元保証があれば、日本でも仕事ができるようにするよう、制度の改善を求め要望書を提出したほどだ。

このコロナ禍でさらに困窮している、海外からの実習生や留学生、そして、難民申請しても認可されない外国人は、目につかないかもしれないけれど、確かにいる。持続可能な開発目標SDGs(エスディージーズ)の理念は、地球上の「誰ひとり取り残さない」ことだ。もう一度、そのことを心に刻みつけておこう。

カナダでは、2015年にジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)氏が首相に就任すると、シリアなどから欧州に殺到してしていた難民の受け入れを新政権の優先課題とし、「100日で25,000人のシリア難民を受け入れる」という目標を立て、難民に門を開いた。カナダ政府によると、カナダでは2020年10月31日時点で、トルドー首相の首相就任以降、44,620人のシリア難民を受け入れているという(ちなみに日本で2018年に難民認定されたシリア人はわずか3人。2018年までの過去5年間で日本が難民認定した外国人は平均で年26人である)。

2017年にアメリカのトランプ大統領が、シリアの難民や中南米からの移民の受け入れを制限したときも、トルドー首相はtwitterに、「迫害、テロ、戦争から逃れる人たちにとって、カナダ人は、あなたの信仰に関係なく、あなたを歓迎します。多様性は私たちの強みです」と移民を歓迎するメッセージを投稿している。

さて、そんなカナダが、今回の『コロナ時代の食品ロス』の舞台。

それでは、早速、カナダのコロナ対策から見ていこう。

カナダは現在、新型コロナウイルス感染症の第2波の真っ只中。2020年10月12日の感謝祭の後に感染者の急増加があり、11月23日よりトロントでは、再びロックダウン(都市封鎖)が実施されたが、新規感染者数は増える一方で、12月23日時点のカナダ全体の感染者数は、累計で528,354人、新規感染者数は平均で1日6,674人となっている。感染者は、東部のケベック州やオンタリオ州に集中している。12月15日にファイザー製ワクチンの接種がはじまった。

カナダではじめて感染者が出たのは2020年1月下旬のこと。3月11日にWHOが感染は「パンデミック」状態にあると発表すると、カナダ政府は3月16日にアメリカ人以外の外国人の入国を禁止し、さらに、入国者への検査体制を強化するため、3月18日には国際便の航空機の到着をモントリオール、トロントなどの4空港に制限した。そして3月21日には、ついにアメリカとの国境を閉鎖し、アメリカ人の観光目的での入国も禁止された。ただし、食品などの不可欠なサプライチェーンを維持するために、貿易、物流などは例外とされ、食品を運ぶトラックは国境を行き来している。

感染者の多い東部オンタリオ州の場合は、学校や保育園も閉鎖され、トロントでは3月16日より、バーやレストランなどは持ち帰りかデリバリーのみの営業とし、映画館、劇場も閉鎖し、不要不急の外出を避けるように勧告が出された。3月24日には、医療関係、政府、公安、食料品店などの必要不可欠なサービス以外は、営業停止するように指示が出された。

カナダのウイルス対策上の課題は、なんと言っても国境を接しているお隣の国、世界最大の感染国となっているアメリカだろう。とは言っても、カナダにとってアメリカは最大の貿易相手国で、実に輸出の5分の4、輸入の3分の2をアメリカが占めている。感染拡大を避けるために国境を完全に閉鎖したくても、閉鎖できないのが実情だろう。

それでは次に、「ビフォア・コロナ」、「コロナ・ショック」、「ウィズ・コロナ」の3期間に分けて、カナダの食品ロスの実態と削減するための取り組みを見ていこう。

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気候変動が深刻化し、SDGs(持続可能な開発目標)が注目されていますが、対応に悩む企業も多いです。著者は企業広報に14年半、NPO広報に3年従事の後、執筆や講演を通して食品ロス問題を全国に広め、数々の賞を受賞しました。SDGsが掲げる17目標のうち、貧困や飢餓、水・衛生、生産・消費など、多くの課題に関わる食品ロスの視点から、国内外の事例を紹介し、コスト削減や働き方改革も見据え、何から取り組むべきか考えます。

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奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力した。Champions12.3メンバー。著書に『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てられる食べものたち』他。食品ロスを全国的に注目されるレベルまで引き上げたとして第二回食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/第一回食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。

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