「食品ロス」と「フードロス」過去30年間と2018年 主要メディア(150紙誌)に何回登場したか?

(写真:アフロ)

「食品ロス」という言葉をよく耳にするようになった。一般の方にも広がってきたようで、新聞の投書欄でも、幅広い年代の方が「食品ロスが大きな社会問題となっている」と書いているのを目にする。果たして主要メディアには何回くらい掲載されているだろう。

日本最大級のビジネスデータベースサービス、G-Search(ジーサーチ)で調べてみた。

過去30年間の、主要150紙誌に登場した「食品ロス」という語句の回数は、合計6,683件(2018年12月26日現在)。

2018年の一年間では1,740件(2018年12月26日現在)。

『「食品ロス」いつ頃から言われるようになった?』で書いた通り、2015年までは3桁の登場回数だったのが、2016年を機に4桁になっている。

過去30年間の「食品ロス」という言葉のメディア150紙誌頻出回数(単位は回数)(米谷学氏作成のグラフに筆者が2018年12月までのデータを追加し編集)
過去30年間の「食品ロス」という言葉のメディア150紙誌頻出回数(単位は回数)(米谷学氏作成のグラフに筆者が2018年12月までのデータを追加し編集)

筆者は2011年9月まで食品メーカーの広報を務めており、2011年9月から2014年10月まで、フードバンクの広報を務めていた。2015年から完全に独立した形で食品ロスの啓発活動を始めた。2016年に急激に増えているのは、この年に廃棄カツ転売事件が発生したためと思われる。多くのメディアがこの事件を取り上げた。

参考記事:

70代男3人がハマった「廃カツ横流し」全内幕 「自分の目と鼻と口で判断して売った」(東洋経済オンライン)

ココイチ事件で重大な問題浮上・・・食の安全を揺るがす違法業者が跋扈(ビジネスジャーナル)

「食品ロス」と同様に使われている「フードロス」についても調べてみた。

過去30年間の登場回数は505件で、うち2018年が220件(2018年12月26日現在)。

過去30年間の「フードロス」という言葉のメディア150紙誌頻出回数(単位は回数)(米谷学氏作成のグラフに筆者が2018年12月までのデータを追加し編集)
過去30年間の「フードロス」という言葉のメディア150紙誌頻出回数(単位は回数)(米谷学氏作成のグラフに筆者が2018年12月までのデータを追加し編集)

ただ、農林水産省や環境省など、この問題の管轄である省庁は「食品ロス」という表現を使っている。

また、海外で、この「Food Loss(フードロス)」という言葉を使うと、日本で使われている意味とは違った意味になってしまう。

食品ロス問題の研究者である小林富雄先生の著書『改訂新版 食品ロスの経済学』(農林統計出版)でも、FAO(国際連合食糧農業機関)の定義を次のように紹介している。

FAO(2014)では、Parfitt, et al.(2010)やFAO(2011)を引用しながら、「Food Lossは貧弱な生産過程や生産及び供給構造、制度・法的な枠組みに起因する、意図されない(unintended)なもの」としている。一方、「Food WasteはFood Lossの一部であり、商品選択上の問題などの経済的行動、不十分な貯蔵管理や事故などによる劣化や期限切れによりサプライチェーンから除外されたものを指す」としている。しかし、実際に両者を区分して計測することは困難であり、同著では両者をFLW(Food Loss and Waste)とまとめて表記している。

出典:小林富雄先生の著書『改訂新版 食品ロスの経済学』(農林統計出版)

筆者も、日本では「食品ロス」という言葉を意識して使っていきたいと考えている。

本当は「食品ロス」などと言わなくても、食べ物に対して愛情を抱き、食卓や店頭に運ばれてくる間にどれほどの人の手やエネルギーやコストがかけられたかを想像する力があれば、捨てることはないだろう。先日、魚を愛するさかなクンの講演を聴いて、そう思った。

現状では年間646万トン、田畑や港での農産物・水産物の廃棄や備蓄の廃棄を含めればそれ以上の食品ロスが生じている。この問題に意識のなかった人に対して、いかに「自分ごと」として関心を持ってもらうか。筆者の課題である。