入店から決済まで無人!17日オープン 赤羽駅無人AIレジ店舗 TOUCH TO GOで買い物してみた

2018年10月17日JR赤羽駅ホームに開店した無人AIレジ店舗(筆者撮影)

2018年10月17日、JR東日本・JR東日本スタートアップ・サインポストの三社が、JR赤羽駅で、AI無人決済システム「スーパーワンダーレジ」導入店舗「TOUCH TO GO」の営業を開始した。入店してから商品の選択、決済まで、顧客がスマートフォンを使って行い、店員はいない。人手不足への対応、顧客にとっては購買時間の短縮に繋がる。初日の17日、実際に店舗を訪問し、買い物してみた。

2018年10月17日JR赤羽駅ホームに開店した無人AIレジ店舗「TOUCH TO GO」(筆者撮影)
2018年10月17日JR赤羽駅ホームに開店した無人AIレジ店舗「TOUCH TO GO」(筆者撮影)

慣れれば数十秒で入店から決済まで可能

2018年10月16日、報道陣に公開されていた店舗は、翌日10月17日午前10時に営業を開始した。筆者は12時45分頃に訪問した。

すでに行列ができており、スタッフの方にたずねたところ「一階まで降りて頂き、左端のところで並んで待っていてください」とのことだった。入店人数を制限していること、また、ホームに行列ができてしまうと、乗降客の邪魔になってしまうための対応であろう。

JR赤羽駅5・6番線ホームにある店舗「TOUCH TO GO」。東京駅寄り、南側の端にある階段から数えて2つ目の階段(エスカレーター)を登ると店舗がある(筆者撮影)
JR赤羽駅5・6番線ホームにある店舗「TOUCH TO GO」。東京駅寄り、南側の端にある階段から数えて2つ目の階段(エスカレーター)を登ると店舗がある(筆者撮影)

1階に降りると、1・2番線ホームに登る階段のそばに、理髪店の「QB HOUSE」がある。5・6番線から来ると、その店の向かって左手に、ポールと赤いバンドが目立つ、並ぶ場所がある。

赤羽駅1階、QB HOUSE。この左手に1・2番線ホームに登る階段があり、その手前に、順番を待つスペースがある(筆者撮影)
赤羽駅1階、QB HOUSE。この左手に1・2番線ホームに登る階段があり、その手前に、順番を待つスペースがある(筆者撮影)

数分並ぶと「49番」と書かれた整理券が渡され、再度、5・6番線ホームに登った。

赤羽駅、5・6番線ホームに登る階段とエスカレーター。カレー屋の、向かって右手(筆者撮影)
赤羽駅、5・6番線ホームに登る階段とエスカレーター。カレー屋の、向かって右手(筆者撮影)

店舗入り口の向かって右手に、スマホをかざす場所がある。スマホをかざすことで扉が開き、入店できる。実証実験中の現在は、一回に入店できる人数を3名まで限定している。

入り口の右手、少し下の部分に、スマホをかざす部分がある。そこにかざすと扉が開いて入店できる(筆者撮影)
入り口の右手、少し下の部分に、スマホをかざす部分がある。そこにかざすと扉が開いて入店できる(筆者撮影)

店内は撮影禁止。

棚には紀ノ国屋の商品である菓子や飲料、ベーカリーなどが約140種類、並んでいる。客はそこから商品を選び、決済する場所に立つ。すると画面に自分の選んだ商品と価格が表示されるので、スマホをかざして決済する。出てきたレシートを受け取って終了。

時間も限られているのでミントティーを選んで購入。すぐ決済できた。実証実験中なので、行列待ちやスタッフの事前説明などの時間を要するが、慣れれば、入店から決済まで数十秒でできると思われる。「JR赤羽駅のAI無人店舗を体験してみた」(ITメディアビジネスオンライン)の記事によれば、JR東日本スタートアップは「入ってから出るまで10秒くらいで済むことを目指している」という。

「TOUCH TO GO」で購入したミントティーとレシート(筆者撮影)
「TOUCH TO GO」で購入したミントティーとレシート(筆者撮影)

17日の夕方18:30頃にも再度訪問してみたところ、店の前には昼より多い人が集まっていた。

2018年10月17日18:30頃のJR赤羽駅5・6番線ホームの店舗「TOUCH TO GO」の前(筆者撮影)
2018年10月17日18:30頃のJR赤羽駅5・6番線ホームの店舗「TOUCH TO GO」の前(筆者撮影)

1階の待機場所には20人以上の行列ができていた。

2018年10月17日18:30過ぎのJR赤羽駅、1・2番線ホームに上がる階段と「QB HOUSE」の間で入店の順番待ちをする人々(筆者撮影)
2018年10月17日18:30過ぎのJR赤羽駅、1・2番線ホームに上がる階段と「QB HOUSE」の間で入店の順番待ちをする人々(筆者撮影)

対象者に合わせた発注や納品による食品ロス削減の可能性

この店舗は「スーパーワンダーレジ」を導入している。これは、サインポストが独自に開発した人工知能「SPAI」による画像認識技術や、物体追跡技術を活用した無人決済システムだそうだ。

無人レジに関しては、以前、記事で紹介した「電子タグ」の可能性もある。経済産業省は2025年までに電子タグ1000億枚を目指している。現在は、一枚あたりのコストを低減させるべく、関係者が動いている。電子タグは個品管理ができるので、どこに何がどれくらいあるかを詳細に把握できるため、食品ロスの削減にも繋がる。

電子タグを活用しての無人レジの場合、飲食料品一つ一つに電子タグを貼り付ける必要がある(株式会社ローソン提供)
電子タグを活用しての無人レジの場合、飲食料品一つ一つに電子タグを貼り付ける必要がある(株式会社ローソン提供)

今回の店舗の場合は、電子タグは使っていない。だが、購買履歴や顧客のデータを得ることが可能なので、対象者に合わせた発注や納品をすることで、需要と供給のズレを最小限にし、余剰や在庫を防いで食品ロスを減らす可能性はあるだろう。(今回の実証実験では認識したデータは削除するとのこと)

JR赤羽駅5・6番線ホーム上にある無人レジ店舗「TOUCH TO GO」(筆者撮影)
JR赤羽駅5・6番線ホーム上にある無人レジ店舗「TOUCH TO GO」(筆者撮影)

既存のキオスク店舗の一部は風雨や直射日光に晒されている

食品ロス削減の観点で、筆者が最も注目しているのが、今回のような店舗に転換することで、既存の店舗で風雨や直射日光に晒されている食品が少なくなることだ。

2018年の夏は酷暑だった。駅によってホームの環境は異なるが、一部の駅では、ホームのキオスクの棚に並ぶ食品に直射日光が当たっているのを目にした。

また、台風が近づいてきた時には、ホームの中まで雨が降りこんできたし、風の影響も強かった。

食品メーカーに勤めていた立場からすると、かなりの過酷な環境に食品が晒されるのは、気が気ではない。もちろん、そうした影響も加味して賞味期限を設定したり、包装材を工夫したりするわけだが、それでも、中の成分が酸化するなどの劣化スピードが早まることはゼロではないだろう。

実際、筆者が食品メーカーでお客様対応業務を5年間兼務していた時、1年間という長い賞味期間がある商品で、賞味期限の手前にもかかわらず、中の食品に酸化臭が感じられるものが送られてきたことがあった。おそらく、直射日光を受けていたか、高温下に置かれていた、などの可能性がある。きちんと保管されていれば、賞味期限が多少過ぎても食べられるが、逆に、いくら賞味期限内であっても、保管状況が悪ければ、食品の品質は劣化してしまい、それはロスになってしまう。

今回の無人AIレジ店舗の内部を見ることで、ここに食品が置かれるのであれば、店頭での品質の劣化や、それによる食品ロスの発生は、心配するに至らないと感じた。安心感がある。キオスクに限らず、食料品を扱う全ての店舗で温度管理がしっかりなされれば、保管の不行き届きによる食品ロスは削減できる。

JR東日本の関連企業であるJR東日本リテールネットのトップメッセージでは、「社会問題化している食品廃棄ロスの削減等に取り組んでいます。」と述べられている。

停電による食品ロス発生の可能性は?

一方で、停電になったらスマホ決済が使えないのではないか、食品棚の温度管理ができなくなるのではないか、という懸念が生じた。

実際、2018年9月に発生した北海道地震では、停電が発生し、大手食品小売店などで、電気を使った決済ができなくなるという問題が生じた。冷蔵品、冷凍品なども大量に廃棄され、食品ロスが発生した。

日本の公共交通機関は、来日した外国籍の人も頻繁に使用する。スマホの決済ができない人は、キオスクの全店舗がこのようなシステムになったらどうなるのだろう。実際、2018年10月、イタリアへ渡航した際、現地在住者が使っている、チャージ型の切符が使えず、苦労したことがあった。

JR赤羽駅の無人AIレジ店舗「TOUCH TO GO」(筆者撮影)
JR赤羽駅の無人AIレジ店舗「TOUCH TO GO」(筆者撮影)

2ヶ月間の実証実験の結果に期待

流通ニュースの記事「JR東日本/赤羽駅でAIを活用した無人決済店舗の実証実験」によれば、この実証実験の店舗「TOUCH TO GO」の営業は、約2ヶ月間続く予定という。店舗は、土日祝日を除く、平日の10時から20時までの営業。

実験店舗の概要

所在地:赤羽駅5、6番線ホーム上特設店舗

営業時間:10時~20時

店舗面積:約21m2

販売商品:飲料、ベーカリー、菓子等約140種類

出典:流通ニュース「JR東日本 赤羽駅でAIを活用した無人決済店舗の実証実験」

JR東日本スタートアップは、営業初日の10月17日の様子を、写真入りで時系列で公式サイトに掲載している。

無人AI店舗が今後、食品ロスの削減に貢献することを期待したい。