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三浦春馬をすべて見る 凜々しかった十代で出演したドラマたち

堀井憲一郎コラムニスト
(写真:REX/アフロ)

三浦春馬はもう30歳だったのかというのが、その訃報を聞いたときにおもったことである。でもまだ30歳でしかなかった。

子供のときからドラマに出ている。

三浦春馬が出演したドラマをできるかぎり振り返ってみる。

ただ、振り返ってみたい。

家庭でふつうに見られたドラマだけを追ってみる(とりあえず映画作品は含んでいない)。

朝ドラ『あぐり』での出演は1分ほどでしかなかった

三浦春馬はNHK朝ドラ『あぐり』に「子役」で出演していた。

朝ドラの子役と聞くと、たとえば主人公やその兄弟・友人の幼いころ、ないしは主人公の子供の役などを連想するが、そういう重要な役ではない。

出演したのは1回だけ。

6週目の月曜日、1997年5月12日放送に放送された31話である。

主人公のあぐり(田中美里)が岡山から東京へ向かう夜行の急行の車内で、たまたま遭遇した子供の役である。

31話が始まってすぐ(ドラマ開始2分後の8:17)汽車の中であぐりが岡山に置いてきた子供のことをおもいだしていると、少し離れた席から「お母さん、おなかすいた」という子供の声がする。次の駅で降りるんですけえ我慢せられえ、と母に言われるが、「おなかすいた、おかあさん、おなかすいた、おなかすいた、おなかすいた、おなかすいた、おなかすいた」と都合7回、おなかすいた、と言う。それが7歳の三浦春馬である。

あぐりが持っていたおにぎりをこの子に与える。そのまま黙って食べ出す。そのあとこの母親は一方的にあぐりの顔を知っていたという話を少しだけする。その横でひたすらおにぎりを食べている。1分後(8:18)汽車は神戸駅に着き、母子は降りる。そのとき少年はあぐりに手を振って去っていく。それですべてである。

さほど印象に残る役どころではない。三浦春馬なのかどうか、言われてみればそう見えるが、言われなかったらまず気づかない。

役名はない。

テロップで「母親 せらよしえ 子供 三浦春馬」とだけ出ている。セリフがあるので名前が出ているが、でもまあ、ほぼ通りすがりに会話を交わした母子でしかない。出演も母子で1分23秒ほど。おにぎりをもらったあと母親が「ショウタロウ、ちゃんとお礼を言うんや」と声をかけているので、名前はショウタロウということがわかるが、テロップ表記されていない。ゆえに文字表記も不明である。だから役名は「子供」とするしかないだろう。(ちなみにショウタロウは母に促されるがお礼は言ってなかった)。

そういう役だった。

『ボディガード』で三浦春馬はカラダの大きないじめっこ役

単発ドラマに子役で出ているのは、見返しようがないので(うちで録画していなかったから)、出演した連続ドラマだけを見ていく。

『あぐり』と同年、7月からテレ朝の『ボディーガード』に出演している。主演は長渕剛である。木村拓哉のドラマとは関係ない(キムタクのは「BG」と表記される)。

殺人事件を目撃してしまって身に危険が迫るふつうの母子(母役は財前直見)を、国際的ボディーガードである長渕剛が守る。そういうお話だ。

子供役は岩淵幸弘という子供が演じている。

三浦春馬はこの子のクラスメイトで、いじめる役として出てくる。当時から身体が大きいのでいじめ役のボス格として3回出てくる。

2話と5話と6話である。

長渕剛は子供の登下校を見守っているのでいじめられている現場にいるが、近くに立っているだけで何も言わず、手も出さない。ただ彼は空手の名人なので(何度も長渕剛の空手シーンが流れる)やがてこのいじめられっこに空手を教える。

6話でまた川原で三浦春馬少年ら3人はこの子を殴ろうとするが、空手を覚えた少年に逆にやっつけられる。少年は友だちになろうよと三浦少年らに声をかけ、4人で遊びに行った。

そういう役である。

子供のころから身体が大きかったのだな、というのがよくわかる。

4月に7歳になった年だから小学一年生のはずであるが、とてもそうは見えない。

小憎らしい役であるが、でも三浦春馬である。

このドラマではセリフも多く、三浦春馬だというのがよくわかる。

『真夏のメリークリスマス』では竹野内豊の少年時代役

次の連続ドラマの出演は2000年の10月。

TBSドラマ『真夏のメリークリスマス』である。三浦春馬は当時10歳。

ドラマは竹野内豊と中谷美紀のラブストーリー。二人は沖縄の離島の「施設」で一緒に育った。それぞれ東京へ出て来て、再び出会って反発しながらも惹かれあうというお話。

中谷美紀が子供時代を回想するシーンで三浦春馬が出てくる。竹野内豊の子供時代役である。10歳だからけっこう大きくなっている。

子供時代の彼女が「ここは南の島で雪が降らないからサンタさんが来ない」と海辺で寂しそうにしているところへ、三浦春馬少年がやってきてやさしく声をかける。あそこに見える“星の十字架”にお願いすると夢がかなうよ、雪は降るよ、という男の子の役である。そのあと紙吹雪を舞わして、少女の雪が降ったと信じさせるやさしい少年の役。ちょっとペテン師的な要素も含んだ少年である。

でも三浦春馬が演じていると、どこまでもやさしげである。

子役時代の三浦春馬の代表作は大河ドラマ『武蔵 MUSASHI』

そして2003年、大河ドラマ『武蔵 MUSASHI』に出演する。

これはかなり大きな役である。

武者修行で諸国を行脚する武蔵につきまとう“城太郎”という役だ。

吉川英治の原作や、井上雄彦『バガボンド』を読んだ人ならお馴染みだろう。武蔵につきまとうあの少年キャラクターである。あれを三浦春馬少年が演じていたのだ。

主演の武蔵役は当時の新之助、いまの市川海老蔵(まもなく十三代市川團十郎)。

二十代の海老蔵はめちゃくちゃ格好いい。

三浦春馬はまだ少年で、ドラマが始まった当初は12歳、途中で13歳である。

登場するのは6話から。

少年は武蔵が立てた立て札(じつは悪者が立てたもの)を見かけ、何て書いてあるんだとまわりの人に聞く(つまりあまり字がまともに読めないらしい)。登場のおり「城太郎」とテロップがきちんと出る。かなり重要な役どころということを示している。

そのあと武蔵は宝蔵院流槍術をめぐり、悪者と戦う。

「般若坂の決闘」である。

城太郎はそれを見物し、多勢を切り倒す武蔵にほれこみ「弟子にしてくれ」と頼み込む。

断る武蔵だが、家族はいないんだという少年に同情し、そのまま連れだって旅をする。

少年はずっと20話まで連続して出演している。

2月9日放送の6話から、5月18日放送の20話まで、三浦春馬少年はずっと出ていたのだ。

師匠と弟子とはいいつつ、二人で旅を続けているので、いわば仲間である。デコボココンビによる(三浦少年は新之助の肩くらいまでしか背がない)ある種のロードムービーであった。ロードムービーはわくわくする。古い時代の青春旅という気配があって、見ていてとても楽しかった。

13話で前半部の山場「一乗寺下り松の決闘」がある。それを三浦春馬の城太郎は、武蔵と好き合っているおつう(米倉涼子)と一緒に見ている。

このあと、城太郎はおつうと一緒に行動することになる。

米倉涼子と三浦春馬少年はやがて二人で江戸を目指すが、途中で城太郎少年の生き別れた母の消息がわかり、それをたどって城太郎の母を見つけ出す。

そこに城太郎は置いていかれ、おつうは一人江戸をめざす。それが20話。城太郎の登場はここまで。

でもたっぷりと三浦春馬少年が見られる。少年期の三浦春馬の代表作だろう。

顔も大人になりきってない。哀しげな表情、せつなげな表情をしたときに、ああ、三浦春馬だなと強くおもう。この人は、そういう表情で記憶に残る人だったのだな、とつくづくおもいだしてしまう。

『武蔵 MUSASHI』がおもしろかったのは三浦春馬が出ていたところくらいまでで、そのあと、宮本武蔵とあまり関係のない徳川家康や豊臣秀頼などが繰り返し登場して、けっこうとっちらかったドラマになってしまう。

ある意味、『武蔵 MUSASHI』は三浦春馬少年のためのドラマだったとも言える(ちょっと言い過ぎだが)。

ただ、この作品はいろいろと問題があったようで、ソフト化されていない。

だからこの三浦春馬少年の代表作はなかなか簡単には見られない。残念である。

2005年朝ドラ『ファイト』では終盤にヒロインに告白する同級生の少年

そして2005年春にはNHK朝ドラ『ファイト』に出演する。

『あぐり』と違って、こんどはきちんとした役である。

ヒロイン本仮屋ユイカの同級生役で、しっかり第一話から出ている。

これは現代ドラマだったのでヒロインの子供時代はなく(回想では出てくるが)中学三年生のときからドラマは始まる。本仮屋ユイカは当時17歳、三浦春馬はドラマ開始時には14歳、すぐに15歳である。ドラマの最初の設定どおりの年齢である。

三浦春馬は中学の教室内でもヒロインの斜め後ろに映っているし、中学の「職業体験」をヒロインとその親友(垣内彩未)と三人で一緒にキャベツ農家へ行く。

三浦春馬はずいぶん背が伸びて、ひょろっと背が高い。

メガネをかけて、いつも首からカメラを提げていて、ヒロインたちに繰り返し「オカベ!」と呼び捨てで呼ばれている。そういう内気ぽいキャラ設定である。背は高くなったけど、声がまだ子供である。

いつもカメラを提げていただけあって、高校三年のときには写真の大きな賞を取る。終盤の147回(全165回)でヒロイン(本仮屋ユイカ)に告白してOKをもらっている。

すごく透明感がある役どころだ。

おそらく『武蔵 MUSASHI』とこの『ファイト』で三浦春馬の評価は定まったとおもう。

とても印象に残る役者になっている。

2005年『いま、会いにゆきます』では赤ハチマキの足の早いモテ男

この『ファイト』放映の後半と重なる2005年7月から『いま、会いにゆきます』にも出演している。

主人公(成宮寛貴)の中学時代の陸上部のライバル役である。

背が高く、赤いハチマキをして足が早い。

主人公はまじめにコツコツ走り込みをするタイプ。

いっぽう三浦春馬は背が高く、イケメンなので、すごく女性にもてている。「ちゃらちゃらしたモテ男」役だった。

高校での陸上競技レースでも(中距離か長距離のトラック競技に出ている)、主人公を肘で押して、転倒させている。小憎らしい役である。

わりと風景のような役だが、長身の足の早いモテ男というのはけっこう印象にのこる。

飛躍の年2006年はまず『アンフェア』で射殺される少年の役から

明けて2006年、三浦春馬が15歳から16歳になる年。

篠原涼子の『アンフェア』に出演している。

主人公の荒くれ刑事・篠原涼子がかつて射殺した「未成年犯罪者」の役である。

第一話での回想シーンと、最終話、犯人がなぜ雪平刑事(篠原涼子)を狙っていたかの説明シーンで登場してくる。

施設で育ち、勤めたパチンコ店でも搾取されつづけていたので、パチンコ店の店員たちを殺して店長を人質に立て籠もる。未成年者であるにもかかわらず雪平刑事が胸を撃ち抜いて殺した。

血まみれのナイフを落として、哀しげな顔で斃れていく三浦春馬の表情が美しく、印象的である。

好青年だった彼がなぜこのような行為に走ったのかは、最終話で明かされる。

出演シーンは少ないが、とても印象的な役であった。15歳には見えない。

そして世間から注目された『14才の母』での“15才の父”の役

そして2006年10月から『14才の母』に出演する。

このドラマから三浦春馬は広く知られるようになった。おそらくここから名前を覚えてもらえるようになったとおもう。

14才の母を演じたのは志田未来で、三浦春馬はその相手、塾が一緒の一学年上の先輩、そして“15才の父”の役どころである。

中学二年生の出産という衝撃的な内容は反響が大きく、最終話の視聴率は24%だった。NHKの『武蔵』や『ファイト』よりも高い。

14才の彼女に妊娠しちゃったと言われたらたしかに15才の彼氏は逃げ腰になるものだろう。そういう揺れる15才をきちんと演じていた。当時の三浦春馬は16歳。

このドラマは「妊娠した14才女子」を家族と一部の友だちと担当医が「懸命に守る」ドラマだった。敵はだいたい“世間”であり、力が弱いながらも彼女たちの戦う姿を見せてくれるドラマであった。

いまいちど見返してみて、たしかに生々しい部分はあるのだが、弱い者たちの粘り強い戦いを見守るドラマでもあり、見ていてけっこう元気になった。

この20%越えの話題のドラマ出演で、三浦春馬は広く認知されるようになったとおもう。志田未来は、このドラマ以前からかなり頻繁にドラマに出ていたので知られた存在だったから、これは三浦春馬を強く世間に出したドラマだったと言える。

『武蔵』からわずか3年で再び大河ドラマ『功名が辻』に出演

2006年NHK大河ドラマ『功名が辻』にも出演する。

出演したのは大詰めの48話と49話(最終話)の2回だけ。放送は12月3日と10日だったので『14才の母』後半と時期が重なっている。

『功名が辻』は土佐藩の藩祖である山内一豊とその妻・千代の物語である。

三浦春馬はもともとその養子であった「湘南」という若い僧として出演した。

山内一豊と千代は唯一の実子を亡くしたあと、屋敷の前に捨てられていた子供を「拾(ひろい)」と名付けて養育した。

ただ血のつながりのない者を領主の子供として育てるのはよくないと家臣に言われ、彼を出家させる。(拾を演じたのは子役時代の泉澤祐希)

京都の寺で修行して立派な「湘南」という僧になった三浦春馬が、土佐の領主となった晩年の一豊・千代夫妻に呼ばれて登場する。

十六歳になっていた、と説明されていた。

山内一豊は、占領地として土佐を与えられ、赴任すると地生えの旧勢力を弾圧し、騙し討ちのようにして大量の地侍を虐殺する。

その仕打ちに妻の千代(仲間由紀恵)は驚き、その地侍の供養のために「湘南」を呼び寄せた。

そこで三浦春馬の登場である。

かつての養父・山内一豊が血塗られた存在となったいま、それを浄化するために登場したような印象であった。

いかにも清冽、どこまでも清く、透き通るような存在だった。

これには16歳の三浦春馬がぴったりだった。

僧の姿(剃髪姿)での短い出演ながら、印象深い。

(余談ながら、原作の司馬遼太郎の、この山内一豊の描写は、やや厳しすぎるようにもおもう)。

『貧乏男子』(2008)で演じた朴訥で正直な若者はハマり役

三浦春馬の連続ドラマ出演は一年あいて、次は2008年1月ドラマになる。彼はこの時点で17歳。

2008年はドラマに出続ける。

まず1月は小栗旬の『貧乏男子 ボンビーメン』に出演した。

人がいいため金を借りまくってしまう大学生(小栗旬)の物語。

三浦春馬は、そのお人好しの借金男・小栗旬とバイト先が同じで、また引っ越した先が彼の部屋の向かいだったので、どんどん仲良くなっていく役どころだった。とても誠実で、真面目な青年で、でも親が残した膨大な借金を抱えている。一生懸命に働いて少しづつ返済している。遠慮がちで、誠実で朴訥。いかにも主人公の弟分が似合う役どころである。

主人公がちょっと抜けたところがあって、それを補う弟分という役だった。

途中からパソコンに詳しくなってのめりこんでいって、それがのちの「ファルコン」につながっているように見えてしまう。

つづけて大人気シリーズ『ごくせん』では一転、不良の生徒になる

2008年4月からは『ごくせん 第三シリーズ』に出演した。

仲間由紀恵の大人気ドラマの第三シリーズだ。第三シリーズなのに視聴率は20%超えつづけていた(全11話中9話が20%超えだった)。

このとき三浦春馬は18歳。

メッシュの入ったロン毛の不良の役。ヤンクミ(仲間由紀恵)担任の3年D組の中心メンバーの一人である。4話では刑事を殴って退学になりかけるが、きちんと謝罪して高校に残った。

その髪型からもかなり目立つ生徒だった。

朴訥な田舎の少年役から、一転、不良の役である。さほどの違和感を感じさせないところはさすがである。

ただやはり三浦春馬の持ち味は、真面目そうなところにあるので「無理して不良をやっている」というふうには見えていた。でもそれはドラマ内での役もそういうものだったので、べつだん無理があったわけではない。

2008年10月ついに主役『ブラッディ・マンデイ』での天才ハッカー・ファルコンで限りなくかっこいい三浦春馬

10月に『ガリレオ』エピソードゼロ(単発ドラマ)で福山雅治の大学生時代を演じている。

そして『ブラッディ・マンデイ』で主役を演じる。

2008年10月からのTBSドラマである。

三浦春馬が演じるのは天才ハッカー。

めっちゃかっこいい。「ファルコン」と呼ばれるこのハッカーはある種のヒーローである。

(つい先だってもファルコンに憧れてましたという若い編集者に会ったばかりである)。

ふだんはだるそうに過ごしているが、いざパソコンに向かうと超人的能力を発揮して、どんなパソコンにも侵入し、必要とする情報を確実にキャッチしてくる。

ときに正義のために、ときに国家のために、ときに趣味で、どんなパソコンにも侵入する。

たしかにうらやましい。

21世紀のヒーローである。

一見ぼんやりしていて、実は凄腕というのは、あらゆるヒーローものの基本型ですけどね。

18歳の三浦春馬に天才ハッカーがめちゃめちゃ似合った。

国家レベルのテロに対抗するために高校生のファルコンが活躍する。

犯罪というか事件そのものはあまりにスケールが大きすぎて、漫画表現だとテンポで引き込んでいけるのだが、映像ではうまく追いつけないところがある。スケールの大きすぎる話はテレビドラマで見てると(日常生活内で視聴していると)ときについていけなくなるからだ。しかたがない。

1年あけて2010年1月からは続編(season2)が制作された。

三浦春馬、十代の代表作のひとつである。

2009年『サムライ・ハイスクール』は三浦春馬の殺陣にほれぼれしてしまう

そして2009年の10月から日テレの土曜ドラマ『サムライ・ハイスクール』でまた主役を演じた。

高校生役である。三浦春馬は19歳。

ここでもまた日ごろはあまりぱっとしない高校生の「望月小太郎」役だった。

ところが彼には先祖の戦国武将「望月小太郎」が突然、憑依する。

すると人物が一変、じつに凜々しい若武者へと変身する。

身のまわりにあるもので武士として戦う。そういう変身ヒーローものである。(格好は変わらないが表情と髪型は変わる)

学園ものプラス戦国武将変身ものという組み合わせが楽しかった。

冴えない高校生から、凜々しい武将へと変身する三浦春馬がみものである。

若武者姿の三浦春馬はやたらめたらとかっこいい。ずっと鋭い視線で人を見続けている。ちょっと見惚れてしまう表情をしていた。

武将になったときをよりかっこよく見せるため、ふだんの高校生活をずいぶん抜けた感じで演じていたが、そこも含めて楽しいコメディドラマだった。

三浦春馬の殺陣がキレがよく、とても大きく見えた。魅力的な動きだった。

この役者は、武将を演じてもとても似合うだろうと予感させられる一作であった。

明けて2010年1月から『ブラッディ・マンデイ』のSeason2が始まった。ここまでが十代の三浦春馬のドラマである。

十代の終わりまでで、これほどの連続ドラマに出演しているのである。

(二十代のドラマは改めて紹介する)。

コラムニスト

1958年生まれ。京都市出身。1984年早稲田大学卒業後より文筆業に入る。落語、ディズニーランド、テレビ番組などのポップカルチャーから社会現象の分析を行う。著書に、1970年代の世相と現代のつながりを解く『1971年の悪霊』(2019年)、日本のクリスマスの詳細な歴史『愛と狂瀾のメリークリスマス』(2017年)、落語や江戸風俗について『落語の国からのぞいてみれば』(2009年)、『落語論』(2009年)、いろんな疑問を徹底的に調べた『ホリイのずんずん調査 誰も調べなかった100の謎』(2013年)、ディズニーランドカルチャーに関して『恋するディズニー、別れるディズニー』(2017年)など。

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