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桃田はA代表に生き残れるか、女子は高2宮崎らがA代表狙う=バドミントン全日本総合が25日開幕

平野貴也スポーツライター
男子は桃田賢斗(左)、女子は高校生の宮崎友花らが注目選手【筆者撮影】

 出て来い、ロス五輪世代! 全日本総合バドミントン選手権が12月25日から東京・武蔵野の森総合スポーツプラザで開催される。年が明ければ、五輪イヤー。来季の日本代表選手選考も兼ねている。しかし、今大会で最も注目すべきは、2024年夏に控えるパリ五輪ではなく、次の28年ロサンゼルス五輪を目指す世代の台頭だ。

変わりゆく大会の位置付け

 全日本総合は、翌年の日本代表を決める大会でもある。「シングルス種目の決勝進出者」、「ダブルスの優勝ペア」、「大会後に更新される日本ランキングの各種目1位」は、自動的に日本代表に選出される仕組みで、すべての選手に日本代表への道のりを示す重要な役割を担っている。第77回を数える歴史ある日本一決定戦で、プライドをかけた日本代表同士の対戦も多く行われてきた。

 しかし、近年は日本が世界の強豪国へ成長したことと、国際大会の過密化により、日本の主力選手から見た大会の位置付けは変わっている。前回大会では、女子ダブルスの志田千陽/松山奈未(再春館製薬所・26歳/25歳)、混合ダブルスの渡辺勇大/東野有紗(BIPROGY・26歳/27歳)といった日本A代表が欠場。女子ダブルスの松本麻佑/永原和可那(北都銀行・28歳/27歳)も大会途中で棄権して上位には入らなかったが、いずれも23年のA代表に継続して選出された。

 日本バドミントン協会は、自力内定以外は、国内主要大会や海外主要大会の成績、世界ランキングを参考に強化本部推薦で選考し、日本代表選手を選出した後にA、B代表に振り分ける形を採っている(24年もAが各種目4枠、Bがシングルス種目各6名、ダブルス種目各3組の基本構成)。上位国際大会であるBWFワールドツアースーパー500以上の大会にA代表を派遣しているが、大会に出場するには世界ランキングが必要(出場枠は32)だからだ。そのため、実績十分のトップ選手は、代表選出の観点では、全日本総合選手権に出場するメリットがなくなっている。

国際大会の過密化により、A代表主軸は回避傾向

 それでも真の日本一決定戦として長く伝統を築き上げた大会であり、ファンの注目度は依然として高い。選手も余裕があれば、出場したいところだろう。しかし、国際大会の過密化は、加速している。今大会の1週間前にはBWFワールドツアーで最もポイントが高いワールドツアーファイナルズが行われ、年明けの24年1月9日からも同じく最もポイントが高いBWFワールドツアースーパー1000のマレーシアオープン、次にポイントが高いインドオープン(スーパー750)の2週連戦が控えている。23年5月から24年4月末までは、パリ五輪の出場権獲得レース期間。五輪を目指す日本A代表で、疲労が溜まっている選手、負傷を抱える選手は、1月の国際大会に備えて調整したい時期だ。

 負傷を抱えている女子シングルスの山口茜(再春館製薬所・26歳)は、24年1月の国際大会から再始動することを発表済み。男子シングルスの西本拳太(ジェイテクト・29歳)も負傷を理由に全日本総合の欠場を公表した。ほかにも日本代表の主力選手が欠場する可能性がある。全日本総合は、以前のように、文句なしの日本一決定戦として行うことは難しい状況となっている。

パリ五輪後は大幅刷新の可能性、中堅層や若手の椅子取り合戦

 日本代表の主軸に欠場者が出て、有力選手の動向が不確定の中、今大会の見どころとなるのは、まだ実績のない選手たちの台頭だ。選手としての成熟期に高みを目指す中堅層は、4年に一度の五輪に関わらず、世界選手権等への出場を目指すためにA代表入りを狙う。また、28年ロス五輪を狙う若手は、少しでも早く世界トップレベルの争いに身を置くために代表入りを目指す。

 現在の日本代表は、東京五輪からメンバーがあまり変わっておらず、5年後の2028年ロサンゼルス五輪を見据えると、パリ五輪から大幅に入れ替わる可能性が高い。日本バドミントン協会は代表編成について「パリ五輪後に代表辞退等がある場合は別途対応する」ともしており、パリ五輪が終われば、自ずと空いた椅子に座る選手も出て来るだろうが、空いた枠に入るのではなく、厳しい椅子取り合戦から誰が先んじて名乗りを挙げるか、注目される。

男子シングルスは混戦模様、桃田も安泰ではない

男子シングルスは、大林拓真(左)や渡邉航貴が日本A代表入りを狙う【筆者撮影】
男子シングルスは、大林拓真(左)や渡邉航貴が日本A代表入りを狙う【筆者撮影】

 最も激しい争いになりそうなのは、男子シングルスだ。世界ランク2位の奈良岡功大(FWDグループ・22歳)は、パリ五輪のメダル候補。12位の西本、13位の常山幹太(トナミ運輸・27歳)もパリ五輪出場の可能性があり、実績は十分。

(※世界ランクは、12月19日更新時)

 3人が継続選出されるなら、A代表の残る枠は一つ。現在A代表の桃田賢斗(NTT東日本・29歳)は、11月の韓国マスターズで2年ぶりに国際大会を優勝するなど復調傾向にあるが、世界ランクは38位。現B代表の渡邉航貴(BIPROGY・24歳)が23位、11月に熊本マスターズジャパン(BWFワールドツアースーパー500)でベスト8だった2人より上のベスト4に入った大林拓真(トナミ運輸・24歳)が34位で桃田よりも上にいる状況でもある。桃田にしてみれば、連覇で改めて実力を証明したいところだが、渡邉、大林もA代表入りを目指して優勝を狙う。

 男子ダブルスでは、23年から組み始めたB代表の岡村洋輝/三橋健也(BIPROGY・25歳/26歳)が、熊本マスターズジャパンで新・旧世界王者を破る活躍を見せた。目標とするロス五輪行きの道のりを明るいものにするためにも、A代表入りを狙いたい。

女子は、高校2年生の宮崎友花が注目選手

宮崎(左)は、柳井商工で1学年上の田口とのペアでダブルスもエントリー。宮崎はシングルス、田口はダブルスで世界ジュニア選手権を制した有望株【筆者撮影】
宮崎(左)は、柳井商工で1学年上の田口とのペアでダブルスもエントリー。宮崎はシングルス、田口はダブルスで世界ジュニア選手権を制した有望株【筆者撮影】

 女子シングルスでは、宮崎友花(柳井商工高・2年)が注目選手となる。22年に高校1年生で世界ジュニア選手権を優勝。B代表に選出された今季は、本格的にシニアの国際大会に出場して韓国マスターズ(スーパー300)準優勝、インドネシアマスターズ(スーパー100)優勝など結果を残し、世界ランクを39位まで上げてきた。国際大会では、日本A代表の奥原希望(太陽ホールディングス・28歳)や川上紗恵奈(北都銀行・26歳)にも勝利している。日本の大エースである山口が欠場する中、どこまで勝ち上がるかは、大きな見どころだ。

 宮崎ら高校生は、11年ぶりにアジアジュニア選手権の団体戦を制しており、有望株が揃う。ダブルスには、B代表の須藤海妃/山北奈緒(ふたば未来学園高3年、ヨネックス内定/NTT東日本内定)や、世界ジュニア選手権の女子ダブルスを制した田口真彩(柳井商工高3年、ACT SAIKYO内定)、玉木亜弥(四天王寺高2年)も出場予定(田口は宮崎とのペア、玉木は1学年上の原菜那子=丸杉内定とのペアでエントリー)。

 過酷なパリ五輪レースで日本代表の主軸が不在となる中、誰が新たな輝きを放つのか。次世代の台頭に注目だ。

内閣総理大臣杯・文部科学大臣杯争奪
令和5年度 第77回全日本総合バドミントン選手権大会
大会公式サイト

スポーツライター

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。サッカーを中心にバドミントン、バスケットボールなどスポーツ全般を取材。育成年代やマイナー大会の取材も多い。

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