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桃田を主将にバドミントン日本代表が再始動、次世代の男女ダブルスも注目

平野貴也スポーツライター
日本代表チームの新主将に任命された桃田賢斗(写真:ロイター/アフロ)

 バドミントン日本代表が、東京五輪後初の国際大会に挑む。初戦は、フィンランドで開催される男女混合団体戦スディルマン杯(9月26日~10月3日)。主将に任命された男子シングルス世界ランク1位の桃田賢斗(NTT東日本)は「先輩たちがいなくなって、本当に(チームが)若くなった。もう頼る人がいないので、みんなで元気に乗り越えていけたらいい」と意気込みを語った。

目標は初優勝だが、東京五輪の主軸が大量離脱

 日本は、2019年の前回大会で過去最高2度目の準優勝。27日に初戦を迎える今大会では初優勝を狙う。ただし、東京五輪からは陣容が変わる。男子は、ダブルスで出場した4人のうち3人(遠藤大由=日本ユニシス、園田啓悟/嘉村健士=トナミ運輸)が代表を辞退。女子は、ダブルスの2強ペアが不在だ。福島由紀との「フクヒロ」ペアで東京五輪に出場した廣田彩花(ともに丸杉ブルビック)がじん帯断裂で手術を受けてリハビリ中。松本麻佑と「ナガマツ」ペアを組む永原和可那(ともに北都銀行)も調整不足を理由に、メンバーから外れている。また、シングルスの奥原希望(太陽ホールディングス)もメンバーに入っていない。

 現状では大幅な戦力ダウンで、朴柱奉ヘッドコーチも「今回のメンバーに関して言えば、五輪の後でケガの選手、リタイアの選手もいる。前回よりは、ちょっとチーム的には弱くなったかなというイメージ。ベストの結果まではきついと思います」と苦戦を覚悟している。

 しかし、勝機がないわけでもない。スディルマン杯は、5種目を1試合ずつ行い3勝を争う対抗戦。男子シングルスの桃田、女子シングルスの山口茜(再春館製薬所)、混合ダブルスに東京五輪で銅メダルを獲得した渡辺勇大/東野有紗(日本ユニシス)と3種目に東京五輪代表勢が残っており、世界トップレベルの相手とも勝負は可能だ。主力の大量離脱を補って初優勝の目標達成へ飛躍できるかどうかは、24年パリ五輪を狙う新世代の男女ダブルスが鍵を握る。

男女ダブルスの次世代ペアが躍進の鍵

女子ダブルスは福島/廣田の「フクヒロ」と松本/永原の「ナガマツ」が不在。志田(写真右)/松山(同左)が主軸を担う
女子ダブルスは福島/廣田の「フクヒロ」と松本/永原の「ナガマツ」が不在。志田(写真右)/松山(同左)が主軸を担う写真:アフロ

 男子ダブルスは、ともに26歳の保木卓朗/小林優吾(トナミ運輸)が新たなエース格。2019年世界選手権で銀メダルを獲得した実績がある。リーダーシップに長ける前衛の保木がゲームメイクし、サウスポーの小林が後衛から切れ味鋭い強打をたたき込む。昨年12月の全日本総合選手権では、チームの先輩である園田/嘉村も破って準優勝。小林が課題としていたレシーブ力の向上に手ごたえを示し、保木は「レシーブが武器になれば、プレーの幅が広がるし、攻めるパターンも増える」と話していた。負傷などで安定感を欠いて東京五輪の出場権は得られなかったが、ここから経験を積み直してパリ五輪のメダルを目指す。

 女子ダブルスは、世界ランク10位の志田千陽/松山奈未(再春館製薬所)という24歳と23歳の機動力に長けるペアが主軸を担う。20年1月のマレーシアマスターズでは、東京五輪で銀メダルのチェン チンチェン/ジァ イーファン(中国)、同4位のイ ソヒ/シン スンチャン(韓国)を撃破して力を示したが、同年3月の全英オープンを戦い終えた際、志田は「まだ上の選手の球に慣れるので精一杯。打たされていたり、体が煽られたりしている。質の高いラリーの中で、もう一度基礎を見直したい」とトップレベルに慣れていく必要性を感じ取っていた。20年のA代表入りと同時にコロナ禍で国際大会が相次いで中止となり、まだ経験不足。2強ペア不在でのエース抜擢となるが、望んでいた経験値を得られる貴重な大会になる。

日本は27日が初戦、同組にマレーシア

 スディルマン杯は、各国が全5種目のエースを投じ、チームの総合力を競うところに魅力と妙味がある。4チームずつ4組に分かれて総当たり1回戦の予選リーグを行い、各組上位2チームが決勝トーナメントに進む。前回準優勝の日本は、第2シードでD組。27日からエジプト、イングランド、マレーシアと順に対戦する(挿入動画は、世界バドミントン連盟の公式YouTubeチャンネルによる大会プレビュー)。

 第2戦のイングランドは、ダブルス3種目を勝負所とするチーム。日本の次世代ペアの力が試される。第3戦のマレーシアは、若返りを図ってメンバーを一新しているが、男子ダブルスには、東京五輪で銅メダルを獲得したアーロン チア(24歳)/ウーイック ソー(23歳)がおり、要注意。また、男子シングルスには、20年3月の全英オープンで桃田を破った勢いで優勝を飾った23歳のリー・ジージァがおり、桃田との再戦が注目される。

他国も世代交代の中、中国、インドネシアが優勝争いの軸

各国も世代交代。日本は男子ダブルスが一新。19年世界選手権銀メダルの保木(右)/小林(左)が新たなエース格として期待を背負う
各国も世代交代。日本は男子ダブルスが一新。19年世界選手権銀メダルの保木(右)/小林(左)が新たなエース格として期待を背負う写真:エンリコ/アフロスポーツ

 パリ五輪に向けた世代交代は、各国で進む。中国は、2016年リオデジャネイロ五輪の男子シングルス金メダルのチェン ロンや、混合ダブルス世界ランク1位のジェン シーウェイ/ファン ヤチョン、東京五輪の男子ダブルス銀メダルのリ ジュンフイ/リュウ・ユチェンが不在。台湾は、東京五輪の女子シングルスで銀メダルのタイ ツーイン、男子ダブルス金メダルのワン チーリン/リー ヤンが不在。それぞれに次世代の選手も起用しながらチームを編成している。各国の成績はもちろんだが、新たにどのような選手が活躍するかも見どころだ。

 選手層の厚いA組の前回王者・中国、主力がほぼ残っているC組のインドネシアが上位候補となるが、日本も、朴ヘッドコーチが「来年に本当のリスタート、(東京五輪惨敗の)リベンジができるように、いろいろと経験することが大事。男子ダブルスの場合は、ハッキリと(世代が)チェンジで、どこまでできるか」と期待をかける次世代のダブルスペアとともに飛躍したい。

日本代表、6週間の欧州遠征で東京五輪後の再スタート

 今回の遠征は、6週間の長期。コロナ禍により、国際大会のスケジュールが大幅に変更され、20年から延期された大会が多く、過密日程になっている。スディルマン杯の後、日本はデンマークに移動して男女の団体戦(トマス&ユーバー杯)を戦い、そのままデンマークオープン、フランスオープンと個人戦の大会にも出場する。主将を務める桃田は「団体戦で勢いに乗っていけるかどうかで個人戦も変わってくると思う。今回の遠征は長いけど、先のことは考えず、一戦一戦、一球一球、集中力、気持ちを切らさずに取り組んでいけたらいい」と意気込みを語った。

 全5種目で世界ランク上位選手を擁する日本は、東京五輪でメダル量産を期待されていたが、男子シングルス世界ランク1位の桃田が予選ラウンドで敗れるなど精彩を欠き、混合ダブルスの渡辺/東野(日本ユニシス)の銅メダル1つに留まる悔しい結果となった。新戦力を加えて臨むスディルマン杯は、リスタートの第一歩。次の大舞台となる24年パリ五輪、その手前にある22年世界選手権東京大会に向け、再び歩み出す。

スポーツライター

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。サッカーを中心にバドミントン、バスケットボールなどスポーツ全般を取材。育成年代やマイナー大会の取材も多い。

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