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三大流星群の一つ「しぶんぎ座流星群」に願いを!

縣秀彦自然科学研究機構 国立天文台 准教授
富士山の上を飛ぶ流れ星(撮影:伊東昌市氏、「集まれ!星たち」提供画像より)

2014年の流星群のなかで、もっとも条件のよい流星群は年初めのしぶんぎ座流星群です。今年のしぶんぎ座流星群の極大時刻は1月4日(土)の早朝4時頃と予想されています。月明かりもなく最良の条件となりますので、風邪をひかないよう十分暖かい服装で楽しみましょう。予報通りですと、1月4日の明け方には1時間あたり50個以上の流れ星に遭遇するかもしれません。しぶんぎ座流星群は極大時の流星数は多いのですが、その前後の日は他の代表的な流星群と比べるとそれほど流れないのが特徴です。出現は毎年1月1日から7日頃までですが、今回は1月4日に早起きしてご覧になることをお勧めします。当日、晴れるといいですね。

1月の「しぶんぎ座流星群」、8月の「ペルセウス座流星群」、そして12月の「ふたご座流星群」は毎年ほぼ安定して多くの流星が流れるので三大流星群と呼ばれています。流れ星(流星)は、彗星と違ってほんの一瞬の現象です。流れ星が流れている間に願い事を3回言うと、その願い事が叶うと昔からよく言われていますね。しかし、実際に流れ星を見たことのある人なら知っているように、通常の流れ星の光っている時間はほんの一瞬。わずか0.2-0.5秒程度ため、まったくそんな余裕はないことでしょう。まさに一瞬の出来事。瞬きしていたら、見過ごしてしまうぐらい。流れ星の観察には、望遠鏡も双眼鏡も必要ありません。仲間や家族とワイワイと楽しく、しぶんぎ座流星群の流星観察に挑戦してみましょう。しぶんぎ群の流星は、北東の方角から全天に渡って四方八方に流れます。観察する場所では、街明かりや街灯、車のヘッドライトなどの明るい地上の光を避けて、見やすい方角の空を観察するようにしてください。

ところで、しぶんぎ座という星座は今は使われていない星座の名前です。この星座はかつては現在のりゅう座とうしかい座の間に設定されていました。このため、りゅう座ι(イオタ)流星群と呼ばれた時代もありましたが、現在の輻射点(放射点)はうしかい座に位置しており、現在ではこの流星群の正式名称として、しぶんぎ座流星群という名称が用いられています。輻射点とは、その流星群の流星の飛んだ経路を、もとの方向にそれぞれ伸ばしていった時に、すべてが重なる点のことで、その方向から流星物質が地球大気に飛び込んでくるのです。

太陽のまわりを回っている直径数ミリ程度の塵が、地球に飛び込み、地球の高層大気を光らせる現象が流星です。太陽系内空間にはこのような塵が多く存在する場所があります。それは彗星の軌道上およびその周辺です。太陽に近づいた彗星からは、氷の本体から気体成分が昇華するとともに砂粒や炭素の粒のような塵が大量に飛ばされ、これが彗星の通り道を動いています。このような彗星の通り道を地球が横切ると、たくさんの流星が観測されます。しかし、しぶんぎ座流星群の母天体については未だ分かっていません。まだまだ謎に包まれた不思議な流星群、そんな、しぶんぎ座流星群をご自身の目で眺めてみてください。

国立天文台ウェブページ しぶんぎ座流星群の説明

http://www.nao.ac.jp/astro/sky/meteor-stream/quadrantids.html

東日本大震災復興支援「集まれ!星たち」キャンペーン

http://atsuboshi.nao.jpn.com/

自然科学研究機構 国立天文台 准教授

1961年長野県大町市八坂生まれ(現在、信濃大町観光大使)。NHK高校講座、ラジオ深夜便にレギュラー出演中。宙ツーリズム推進協議会代表。国立天文台で国際天文学連合・国際普及室業務をを担当。専門は天文教育(教育学博士)。「科学を文化に」、「世界を元気に」を合言葉に世界中を飛び回っている。

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