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12月13日&14日の深夜に見頃を迎える「ふたご座流星群」 -見上げてごらん。冬の星空を-

縣秀彦自然科学研究機構 国立天文台 准教授
今年は月明かりを避けて夜半過ぎに見上げてみよう。防寒対策をしっかりと。(写真:w.aoki/イメージマート)

前澤友作さんが国際宇宙ステーションISSに搭乗中。気になって夜空を見上げる機会も多い今週と来週ですが、三大流星群の一つ、ふたご座流星群の極大も迫っています。ふたご座流星群の活動は毎年12月4日頃から12月17日頃までですが、今年は12月14日頃に極大を迎えると予想されています。この時期はあいにく、上弦を過ぎた月が夜半前は明るく夜空に輝いていますので、月明かりを避け、月が西の空に傾いた深夜から明け方にかけての流星見物がお勧めです。特に週明けの13日(月)、14日(火)の深夜の観察をお勧めします。防寒対策を整えて、ゆったりと夜空を見上げましょう。

まずは、この動画「1時間に40〜50個も! 12月13日&14日の深夜に見られる「ふたご座流星群」を解説」をご覧ください。

今年の極大は12月14日

ふたご座流星群の極大時刻は、今年の場合は日本時間で12月14日16時頃と予報されています。このため、極大前の13日の晩と14日の晩に、ふたご座流星群が数多く流れると期待されています。ただし、月明かりがあると夜空が明るくなり見える流星の数が減ってしまいます。13日の深夜、14日の深夜ともに月が西の空低くに傾いてから明け方までの時間帯が観察の好機です。空の暗い場所では13日深夜に1時間あたり40個から50個の出現が予報されています。また14日深夜にも空の暗い場所で1時間あたり30個から40個の出現が予報されています。

ふたご座流星群の放射点が天頂近くまで昇る深夜1時すぎから明け方(薄明が始まる頃)までが、観察の好機となります。(提供:国立天文台)
ふたご座流星群の放射点が天頂近くまで昇る深夜1時すぎから明け方(薄明が始まる頃)までが、観察の好機となります。(提供:国立天文台)

流星見物の心得 -防寒対策、防光対策を忘れずに-

流星を楽しむのに、望遠鏡や双眼鏡など特別な用具はまったく必要ありません。空が暗く四方が見渡せ、安全な場所にて肉眼で観察しましょう。この時期は防寒対策と防感染対策が何より重要です。暖かくして長い時間外にいても寒くならないように工夫しましょう。また、屋外に出てから周囲の暗さに目が慣れるまで最低でも15分は我慢して暗い方向を見続けましょう。車のライトや街灯などを避けて、地上の明るい光が直接、目に入ってこないよう帽子や手を添えるなど工夫して地上光を遮断することが、流星をたくさん見るコツです。地上の光が目に入らないように見上げる方向を調整しましょう。詳しくは後述しますが、どの方向を見ていても見られる流星数の期待値に差はありません。ただ、月が西の空に残っている時間帯は、月を背にして観察することをお勧めします。

群流星が流れる場所は放射点(ふたご座のアルファ星カストル付近)の周辺とは限りません。空のどこを見上げていても、見られる確率は同じなのです。流星群の特徴としては、放射点に近いほど、ゆっくりと短い経路で流れ、放射点から遠いほど、速く長い経路で観察されます。また、ふたご座流星群の群流星のみならず散在流星もいくつも見られるはずです。防寒対策をしっかり行なった上で、リラックスした服装・姿勢で無理をせずに楽しんでください。シートなどを用意して寝そべって観察するか、ベンチなどに座って疲れないように観察しましょう。

流星とは? そして、流星群とは? 

流星とは、宇宙空間の直径1mm~数cm程度の塵粒(ダスト)が地球の大気とぶつかり、地球大気や気化した塵の成分が光を放つ現象です。重さも1gよりも軽いものがほとんどで、ちょうどコーヒー豆一粒ぐらいのサイズです。流星には、散在流星と群流星があります。散在流星とはいつどこを流れるか全く予測が付かない流星です。一方、群流星とはある時期に同じ方向から四方八方に飛ぶようにみられる流星のことです。群流星が飛んでくる方向を放射点と呼びます。放射点がどの星座に含まれているかで、その流星群の名前が決まっています。

流星群が発生する理由:ふたご座流星群の母天体は小惑星フェートン(3200 Phaethon ファエトンとも呼ばれる)と考えられている。(提供:国立天文台)
流星群が発生する理由:ふたご座流星群の母天体は小惑星フェートン(3200 Phaethon ファエトンとも呼ばれる)と考えられている。(提供:国立天文台)

太陽に近づいた彗星は、彗星本体に含まれていた塵粒を彗星の軌道上に放出します。このため、塵粒の集団と地球の軌道が交差している場合、地球がその位置にさしかかると、たくさんの塵粒が地球大気に飛び込みます。地球が彗星の軌道を横切る時期は毎年ほぼ決まっていますので、毎年特定の時期(数日間)に特定の群流星が出現することになります。

三大流星群を楽しむ

1月の「しぶんぎ座流星群」、8月の「ペルセウス座流星群」と並んで、12月の「ふたご座流星群」は三大流星群とも呼ばれ、毎年、安定してたくさん出現する流星群です。ふたご座流星群の母天体は小惑星フェートン(3200 Phaethon ファエトンとも呼ばれる)と考えられています。現在、この天体は彗星のように揮発性物質を多く放出していませんが、以前は彗星のような振る舞いをしていたのではないかと予想されています。

年明け2022年1月のしぶんぎ座流星群は、4日の朝の薄明開始前が絶好の条件となります。空の暗い場所からは1時間に50個程度の群流星が見られるかもしれません。

今年のふたご座流星群について、さらに詳しく知りたい方は、国立天文台ほしぞら情報をご覧ください。

自然科学研究機構 国立天文台 准教授

1961年長野県大町市八坂生まれ(現在、信濃大町観光大使)。NHK高校講座、ラジオ深夜便にレギュラー出演中。宙ツーリズム推進協議会代表。国立天文台で国際天文学連合・国際普及室業務をを担当。専門は天文教育(教育学博士)。「科学を文化に」、「世界を元気に」を合言葉に世界中を飛び回っている。

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