小中高校生のゲーム機などによるインターネット利用の実情をさぐる(2020年公開版)
インターネットの普及が進むに連れて、その世界へのアクセスの窓口も多様化を見せる。ほんの数年前まではごく一部の機種にしか実装していない、使えるソフトも一握りでしかなかった家庭用ゲーム機のインターネット対応も、今では当り前の話となっている。今回は内閣府が2020年4月に報告書を発表した、「令和元年度青少年のインターネット利用環境実態調査」(※)の公開値から、小中高校生の家庭用ゲーム機や携帯音楽プレイヤー、タブレット型端末によるインターネット利用状況を確認する。
次に示すのは据置型ゲーム機や携帯ゲーム機、携帯音楽プレイヤー、タブレット型端末、さらには学習用タブレット、子供向け娯楽用タブレットのインターネット利用動向。全体比でどれほどの人が、これらの端末を使ってインターネットを利用しているかを算出した値。例えば据置型ゲームの総数は11.2%となっているので、小中高校生全体の11.2%は据置型ゲーム機でインターネットを利用していることになる。無論、インターネットを使わずにこれらの端末を利用している場合も多々あるため、今件の値がそのまま各端末の利用率を意味するものではない。
パソコンやスマートフォン以外では小学生から中学生にかけては携帯ゲーム機やタブレット型端末がインターネットのアクセスへの主な窓口。男子はゲームを好むことから携帯ゲーム機の方が高い値を示すが、女子はむしろタブレット型端末の方が高い。高校生になるとタブレット型端末の利用率が落ちるものの、携帯ゲーム機の利用率も同時に落ちるため、トップは男子が携帯ゲーム機、女子がタブレット型端末に変わりはない。
数年前まではスマートフォンや携帯ゲーム機代わりに、インターネットアクセス用端末としても使われていた雰囲気もあり、高い値を示していた携帯音楽プレイヤーだが、スマートフォンなどへのシフトが進んでいるようで、直近年ではすべての属性で1割を切り、ほとんどの属性で据置型ゲーム機よりインターネット利用率が低くなっている。
タブレット型端末のインターネット利用率は学校種類別では小学生が最大値を示しているが、小中学生であまり変わらない値となっている。しかし高校生では2/3程度にまで落ち込んでしまう。現在高校生の世代ではスマートフォンが先に普及しており、さらに調達することが認められない、あるいは利用の必要性を感じないことによるものと考えられる。たとえ家庭にタブレット型端末があったとしても、それを本人が使おうとしないのであれば、今件設問では回答はしないからだ。
ゲーム機、音楽プレイヤー、タブレット型端末のインターネット利用状況率の変化を小中高の流れで見ると、それぞれの年齢属性における考え方の違いや、各端末の普及状況の事情が浮かび、大変興味深い結果と言える。例えば女子高校生ではタブレット型端末ですら、インターネット接続の上で利用されているのは20.5%でしかない。多くはスマートフォンに活躍の場を奪われていることは容易に想像できる(実際その通りで、グラフ化は略するが女子高校生の場合、全体の91.0%がスマートフォンでインターネットを利用している)。
グラフ化は略するが過去のデータを見る限りでは、ここ数年でタブレット型端末によるインターネットの利用率が大きく伸び、携帯ゲーム機や携帯音楽プレイヤーはしぼんでいる。今後全体比における単純利用率やインターネット利用率がどのような変化を見せていくのか、来年以降の動向に大いに注目したい。
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※令和元年度青少年のインターネット利用環境実態調査
2020年1月10日から2月14日にかけて、2020年1月1日時点で満10歳から満17歳までの青少年とその同居保護者それぞれ5000人に対し、調査員による個別面接聴取法(保護者は訪問配布訪問回収法)で行われたもの。時間の調整ができない場合のみウェブ調査法(保護者は加えて郵送回収法)を併用している。有効回答数は青少年が3194人(うちウェブ経由は255人)、保護者は3384人(うちウェブ経由は115人、郵送回収法は41人)。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。