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小売市場規模は3兆6835億円・菓子市場の実情をさぐる(2024年公開版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
ずらりと並ぶお菓子達。どれを選ぼうか?(VRChatで筆者撮影)

菓子は食生活にメリハリを与え、心を和ませ、憩いのひとときを与えてくれる。その菓子の市場の実情を、全国菓子卸商業組合連合会と全日本菓子協会が共同で設立したe-お菓子ねっと製販代表会議運営による「e-お菓子ねっと」で毎年更新の上で公開されている、菓子統計データと報告書から確認する。

まずは区分別の売上。区分別ではチョコレートがトップで6040億円。次いでスナック菓子が5304億円。和生菓子がそれに続き、合計は3兆6835億円(小売ベース)。前年比2474億円の増(プラス7.2%)。

↑ 菓子小売金額・構成比率
↑ 菓子小売金額・構成比率

↑ 菓子小売金額(億円)
↑ 菓子小売金額(億円)

↑ 菓子小売金額(億円)(2023年)
↑ 菓子小売金額(億円)(2023年)

社会の高齢化を受けて米菓のシェア・売上は伸びを示していた。せんべいも下げ止まりを見せ、和風や柔らかい系統のお菓子が勢いを見せている雰囲気を感じられたが、新型コロナウイルスの流行による観光需要の減少の影響を受け、売上は大きく減ってた。

洋系だが柔らかいとの観点では合致する、そして機能系商品で若年層にも受け入れられているチョコレートは急成長。飴菓子もこの数年でマイナス基調からプラス基調に転じている。ただし飴菓子もせんべい同様、新型コロナウイルスの流行による観光需要減少の影響を受け、売上は急減してしまっていた。一方でチューインガムの厳しさがひときわ目立つ。元々小さめだったシェアがさらに縮小している。

スナック菓子やビスケットは順調な成長ぶり。新型コロナウイルスの流行という社会環境の変化の中でも、家庭内需要の増加の恩恵を受け、売上を伸ばしている。

そして直近の2023年では生産数量を前年比で減らした品目もあるが、前年2022年に続き、むしろそれ以上の勢いで、新型コロナウイルスの流行によるマイナス要因が薄れ、同時に原材料費や人件費、物流費などの高騰に伴う商品価格の引き上げもあり、売上の面において全品目が前年比プラスを示している。「チョコレート」「スナック菓子」「ビスケット」「米菓」「飴菓子」などは、イレギュラー的な伸びが2023年に生じているのが、グラフからでもうかがえる。

最後は売上の前年比。グラフが読み難くならないよう、直近3年分に限定した。区分別のすう勢がよく分かるグラフに仕上がっている。

↑ 菓子小売金額(前年比)(2021~2023年)
↑ 菓子小売金額(前年比)(2021~2023年)

2023年においては前年の2022年同様に、新型コロナウイルスの流行による影響で生じた市場環境の悪化による前年の売上減からは回復しており、さらにロシアによるウクライナへの侵略戦争をきっかけに生じている世界規模での原材料費や人件費、物流費などの高騰に伴う商品価格の引き上げで、全品目がプラスとなり、1割以上のプラス幅を示す品目も複数確認できる。

2022年において米菓がマイナスを示しているのは、2022年2月に生産数量の大きなシェアを占める某大手企業で大規模火災事故が発生し、長期の操業停止を行ったため。あるいは2022年にせんべいが大きなプラスを示したのも、その一因に米菓が手に入りにくくなったからかもしれない。

菓子市場はコンビニの日常生活への浸透や高齢化社会の到来による消費層の変化、機能性商品の需要増加、通販需要の拡大、さらに昨今では海外からの観光客の増加など、多様な変化が起きている。そして商品区分別のすう勢を見るに、全般的には和風、やわらか系、すぐに食べられる系統のお菓子が伸び(チョコレート、米菓、生菓子)、食べるのに時間を要するタイプの菓子(油菓子、チューインガム、飴菓子のうち堅い系。グミは伸びている)が敬遠される動きがあるようにも見える。「スナック感覚」との言葉ではないが、お手軽感がお菓子全体のトレンドの一環として浸透しているのだろうか。

高齢層が積極的に消費を行い、市場に影響を及ぼすようになったこともあり、機能性を重視した、あるいは健康志向の商品への需要がこれまで以上に高まりを見せているのも特徴の一つ。さらにそれと連動する形ではあるが、少人数世帯化や「チョイ食べ」需要の拡大に伴い、少量パッケージ化や個別包装商品の需要も増加している。同じ商品で需要に合わせた一工夫を凝らすことで、大きな飛躍を見せた商品も少なくない。

他方2020年で生じた新型コロナウイルス流行による社会様式の大きな変化は、2023年でも一部では継続しており、売上にも大きな影響を与えている(反動という観点で前年比では大きなけん引力となっているが)。そして今後もしばらくは同様の環境が続くものと考えられる。さらに新型コロナウイルスの流行が鎮静化しても、在宅勤務など変化の一部はそのまま継続され常態化する可能性はある。その上、世界規模での原材料費や人件費、物流費などの高騰との対峙が求められている。

お菓子業界も逐次、社会の変化に合わせたかじ取りが求められよう。

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(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項のない限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

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(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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