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東北楽天ゴールデンイーグルス「チーム藤田」の始動は、今年も底冷えする京都から

土井麻由実フリーアナウンサー、フリーライター
福山博之投手・岡島豪郎選手・大坂谷啓生選手

■人が人を呼び、年々賑やかになってきた「チーム藤田」の京都での自主トレ

チーム藤田」の自主トレは、今年も肌寒い京都はわかさスタジアムで行われている。温暖な地でスタートする選手も少なくない中、東北楽天ゴールデンイーグルス・藤田一也選手の考えはこうだ。

「暖かいところだとすぐに体ができるから、準備が疎かになってしまう。オーバーワークにもなりやすい。こういう寒いところなら丁寧にしっかりできる。また、仕上がりも早くなり過ぎず、ピークを開幕に合わせられるようになった」(詳細は⇒藤田一也選手の過去記事

「チーム藤田」の福山投手、岡島選手、大坂谷選手
「チーム藤田」の福山投手、岡島選手、大坂谷選手

それに賛同し、何より藤田選手自身の人柄を慕って、今年も3人の若鷲たちが集まった。

■仕上がり順調な岡島豪郎選手

お馴染みとなった岡島豪郎選手は「チーム藤田」の自主トレに参加して3年目。昨年は故障に加え自身の不調で、プロ入り最少の41試合の出場に終わった。そこで藤田選手の勧めもあり、同じパーソナルトレーナー幸智之氏に診てもらうことになった。(その経緯は⇒藤田選手がパーソナルトレーナーをつけた訳

雪辱を誓う今季の岡島選手
雪辱を誓う今季の岡島選手

まず昨年の自身を振り返り、「自分の体をわかってなかったんです」と明かした岡島選手。開幕は1軍で迎えたものの、ポジションが決まらなかったこともあり「やらなくちゃ」という焦りが芽生えた。そして不調により抹消。そこからも焦りばかりが大きく膨らんでいった。「早く上がらなきゃ、上がらなきゃ」と。とにかく自分自身を追い込んだ。5月後半には背中を痛め、実戦復帰まで2ヶ月を要した。しかし体は回復しても、打撃の復調には程遠かった。

メディシンボールを使いこなす
メディシンボールを使いこなす

そこから得たことは「“休む勇気”を覚える」ということだったという。気持ちばかり焦って、頑張り過ぎてむやみに追い込んだことが、裏目に出てしまったのだ。

「確固たる自分」を作り上げれば、恐れるものはないし、惑わされることもない。そのためには「己の体を知る」ということだ。

幸氏によると、昨年1年間見て判明した岡島選手の不調の要因は「バランス」だった。崩したバランスを整えるために、体の軸を作ることが最も重要なことだった。インナーマッスルの機能性を高めることで体の軸ができ、上手く使えるようになる。そしてそれがスイングスピードのアップやフォームの安定に繋がる。

バッティングの違いを実感
バッティングの違いを実感

つまり岡島選手の場合、バランスを崩したことでせっかくのポテンシャルが生かしきれていなかったのだ。

そこで自主トレが始まってから毎日、メディシンボールやポール、チューブなどの器具も使いながら、インナーマッスルの機能性を高めるトレーニングを続けた。すると、わずか1週間で目に見えて違いが顕れ、自身の手応えも全く変わったという。

「打球が全然違うんですよ!ボールの勢いとか質とか。この時期にこれだけ打てるのは、過去になかった。こんなに違うのか…って」。目をまん丸にして興奮気味に話す。細部に渡って機能がアップし、体を使える最大値が上がってきているそうだ。

「藤田さんの野球に対する姿勢を尊敬している」と話す岡島選手
「藤田さんの野球に対する姿勢を尊敬している」と話す岡島選手

2013年途中から外野手に転向し、1番打者として優勝に大きく貢献した。2014年には142試合に出場して後半からは3番に定着して勝負強さも見せた。また、安打数も自己最多の154本を記録した。

そして2015年を教訓に、2016年に挑む。「まずケガしない体作り。それと体の使い方」。それと「『やらなくちゃ』じゃなく『やれることをやろう』と。できないことを無理してやって潰れるんじゃなく、やれることをより伸ばしてアピールする。そうしたら人のことも気にならない」とメンタル面も切り替えた。

その上で「打率3割、出塁率4割」と具体的な数字も掲げた。「確実性と、ここぞという時の勝負強さをアピールしていきたい」。この3年の中で、最も力強く宣言した。

■タフネス右腕・福山博之投手、80試合登板を宣言!

孫悟空・・・?
孫悟空・・・?

「今年は80試合投げるつもりなんです!」とんでもない数字が飛び出した。

発したのは、「チーム藤田」の自主トレに参加して以来、2年連続65試合に登板と結果を残しているのは福山博之投手だ。勤続疲労が心配されるが、本人はどこ吹く風で、「12月、1月にしっかりケアしているから大丈夫!」と、さらに登板試合数を伸ばしたいようだ。

結果を残しながらも、さらなるステップアップを自身に課し、黙々とトレーニングに励んでいる。求めているのは「下半身の安定性」だ。「シーズンでバテないような体…特に下半身や体幹をしっかり鍛えたいんです」と、パ・リーグのピッチャーでありながらティーバッティングにも精を出す。これも下半身を鍛え、下半身を使う意識を叩き込むためだ。

ティーバッティングは左右どちらもバランスよく
ティーバッティングは左右どちらもバランスよく

昨年、数字の上では5月の1.69、6月の1.17に比べて、7月は6.43、8月は4.15と防御率を悪化させた。だが福山投手本人に疲労の自覚はなく、むしろ「体の調子はよかった。球はいっていた」という。

ただ「やはり後半、目に見えない疲労はあったのかも。球が高かったし、狙ったところにいかなかった」と振り返る。シーズン通してのスタミナや安定性を、この自主トレ期間中に“貯金”しておきたいのだ。

加えて今年は「股関節の強さと柔らかさを強化しています。今まで以上に」と話す。「好不調の波を作らず、安定したピッチングができるように」と、この自主トレからキャンプにかけてのテーマを明確にして取り組んでいる。

順調に仕上がってきている福山投手
順調に仕上がってきている福山投手

福山投手も幸氏に診てもらっているが、「より体に対して、神経質に意識してやれるようになっています」と、変化があるようだ。

このままいけば、80試合も夢ではない。ちなみに福山投手による80試合の内訳はこうだ。「シーズンで70試合投げて、CSと日本シリーズで10試合。それで80試合になるんです」。具体的にイメージもできている。

実際に福山投手が80試合登板することになった時は・・・きっとイーグルスは日本一になっているだろう。

■新メンバーの2年目・大坂谷啓生選手はナイスキャラ

「チーム藤田」に今年、新顔が仲間入りした。2年目の育成選手、大坂谷啓生選手だ。昨夏、藤田選手がケガで抹消されたことにより、ファームで交流が生まれた。しかし10も離れた先輩だ。なかなか自分から「自主トレにご一緒させてください」とは言い辛い。それでも大坂谷選手は、ただただ苦手な守備を上達させたいその一心で、勇気を振り絞り自ら志願した。

後ろから“師匠”が見守る
後ろから“師匠”が見守る

「1年目、プロの世界を経験して、守れないと試合に出られないことがわかった。藤田さんの守備は本当に上手くて、ボクも少しでも上手くなりたくて、藤田さんから色々学びたい。野球の技術もそうだし、野球への取り組みとか普段の生活も。礼儀も正しくて立派で、一流選手はこうだと学んでます」。とにかく藤田選手に心酔している。

熱く丁寧な指導
熱く丁寧な指導

ただ、やはり先輩たちの中にいるとド緊張なようで、「藤田さん」「守備が上手い」と繰り返し口にしているうちに、いつの間にか「ふじたさん」を「しゅびたさん」と噛んでしまう初々しさを披露し、大爆笑を買っていた。

「基本からできていないので、叩き込んでもらっています」と捕球、送球、足の運び…と事細かに藤田選手から指導を受けている大坂谷選手だが、「周りの先輩方からも『良くなった』と言われますし、自分でもいい感じになってきたと思います」と、早くも上達ぶりを見せているようだ。

「長嶋さん」を意識
「長嶋さん」を意識

しかし「スローイングが課題なんです」と、まだまだ全てクリアとはいかない。どうしても引っ掛けてしまい、投げ終わりの右腕が斜め下に下がってしまうのだ。

そこで藤田選手が授けたアドバイスは「長嶋茂雄さん」だ。つまり長嶋さんのように、投げ終わりの右腕を前方に水平に伸ばし続けろということだ。自身もノックを受けながら、チラチラと大坂谷選手に目を配り、時折「長嶋さん!」と声を挙げる藤田選手。その都度、ハッと思い出す大坂谷選手だが、「斬新なアドバイスをいただきました」と、自然と身につくまで「長嶋さん」の意識づけは続くようだ。

ノックの最中も横の“弟子”をチラ見する“師匠”
ノックの最中も横の“弟子”をチラ見する“師匠”

また藤田選手は、大坂谷選手用のトレーニンググラブも発注し、その使い方、ボールを捕球する位置など丁寧に伝授している。「ボールを握り過ぎてしまうので、『握らず包み込むように優しく、手首を使うイメージで』と教わりました」。大坂谷選手にとっては全てが金言になっている。

体重は3kg増!体脂肪率は4%減!丸刈りは6ミリ!
体重は3kg増!体脂肪率は4%減!丸刈りは6ミリ!

19日のマスコミ公開日には突如、クリクリの丸刈りにして現れた。「藤田さんから『顔を売ってナンボや!』と言われました」と当日朝、6ミリのバリカンで刈られたことを明かした。お陰でたっぷりと取材をされ、“師匠”の作戦は大成功だった。

昨年は故障明けに急遽、チャンスが巡ってきて、甲子園でのファーム交流戦でいきなり“プロ初安打”を放った。今年もチャンスは決して手放さない。

しっかりと掴んで、「支配下登録」という恩返しで「しゅびたさん」…いや、「藤田さん」に報いるつもりだ。

年々活況を見せる「チーム藤田」の自主トレ。スタンドは解放されているので、一度覗いてみてはいかが?

フリーアナウンサー、フリーライター

CS放送「GAORA」「スカイA」の阪神タイガース野球中継番組「Tigersーai」で、ベンチリポーターとして携わったゲームは1000試合近く。2005年の阪神優勝時にはビールかけインタビューも!イベントやパーティーでのプロ野球選手、OBとのトークショーは数100本。サンケイスポーツで阪神タイガース関連のコラム「SMILE♡TIGERS」を連載中。かつては阪神タイガースの公式ホームページや公式携帯サイト、阪神電鉄の機関紙でも執筆。マイクでペンで、硬軟織り交ぜた熱い熱い情報を伝えています!!

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