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カメムシの臭いニオイには理由があった 秋はカメムシに遭遇する季節 家に入れないようにするため対策は?

有吉立アース製薬(株)研究部で害虫飼育を担当
写真はイメージ(写真:イメージマート)

以前展示協力をさせていただいた昆虫館でカメムシが好きかどうかの調査をしたところ、71%の方はキライという回答だったそうです。「くさい」「気持ち悪い」が大半の理由のようです。そんな嫌われ者のカメムシは秋になると、家の中に入ってきたり、洗濯物についてきたり、遭遇する機会が多くなります。今回はカメムシのニオイの役割やカメムシを対処する方法をお教えします。

カメムシはどんな虫?

日本には、1,300種類以上のカメムシが生息しています。多くは果実や植物の汁を吸い、農業被害を起こす害虫です。そのうち、家の近くでよく見かけるカメムシには、体長5~23mm程度、色は緑色や、灰色などさまざまなものがいます。

秋にカメムシに遭遇するのはなぜ?

秋になるとカメムシがよく目につくのは、ライフサイクルが関係しています。晩秋になると越冬場所を探して家の近くに飛来してきます。本来は木の表皮の隙間などで寒さをしのぎ越冬しますが、近くに家屋があると、より過ごしやすい場所を求めて屋内に侵入してきます。

なぜ集団でいることが多いの?

カメムシが越冬場所を求めて家に入ろうとするとき、数多くのカメムシが窓枠などに寄ってきている様子を見たことはないでしょうか。カメムシは幼虫の時期や成虫で越冬する時期などに集団で過ごす習性があり、このような習性を持つ昆虫を準社会性昆虫と呼びます。準社会性昆虫には仲間同士の警報信号があり、ニオイがカメムシ同士の合図となっています。

カメムシのニオイの役割は大きく分けて2つあります。

①外敵から身を守るため

カメムシは外敵に対して防御としてくさいニオイを出しています。カメムシのニオイには外敵が嫌がって避ける効果があると考えられています。また、万が一外敵がカメムシを食べようとしたとき、マズすぎて食べることをやめさせたりする効果もあるようです。

②仲間とコミュニケーションをとるため

外敵に襲われそうな時には強いニオイを出して周りの仲間に知らせる「逃げろ」という合図、また逆に、普段出しているわずかなニオイで同じ種類同士が集まるために「集まれ」と伝えることもできます。

危険を察知した際、ニオイを出した時に、カメムシを密閉容器に入れると、ニオイでカメムシ自身が死んでしまうこともあります。また、みんなを集めるニオイは、数十メートル先まで届くといわれています。カメムシはあのニオイを「危険」と「集合」で上手に使い分けて活用しているのです。

ニオイの正体は?

ニオイを出す「臭腺」という場所は、成虫はお腹側、幼虫は背中側にあります。ニオイの主な成分はアルデヒドと呼ばれる刺激性のある化合物で、いくつかのニオイ物質がブレンドされています。カメムシの種類によってブレンドが異なるため、種類によってニオイが変わります。代表的なニオイは、香草のパクチー(コリアンダー)に似たニオイですが、青リンゴに似たニオイを出すカメムシもいます。

いくらいいニオイを出されてもカメムシが家の中に入ってくるのは避けたいですね。ここからは、カメムシに対処する方法をご紹介します。

写真はイメージ
写真はイメージ写真:イメージマート

家の中に侵入させないためには?

カメムシを忌避できるスプレー剤が市販されています。予防として越冬前の時期、10月半ばくらいまでに対策しておくことをお勧めします。飛来してきたカメムシの侵入を防ぐことができるので、網戸や窓枠、壁やサッシの隙間、玄関灯など、よく来る場所にスプレーしておくと効果があります。また、窓に貼るテープタイプのものも販売されておりテープを貼るだけで忌避することができます。

カメムシは平べったい虫なので、2mmの隙間があれば侵入できてしまいます。サッシと網戸の隙間ができないように気をつけましょう。

カメムシを見つけたら?

カメムシが集団でいる時や、近づきたくない時は、速効性のあるスプレー剤を使用するとよいでしょう。カメムシ駆除用のスプレー剤は市販されています。嫌なニオイを出さないように駆除するには、ニオイを出すスキを与えずに瞬時に仕留めることが重要です。商品にもよりますが、20〜30cm離れた位置から、数秒噴射するだけで退治できるので、虫が苦手な人におすすめです。また、冷却効果があり、殺虫成分を使用していないスプレーもありますので、洗濯物などに付いたカメムシにも安心して使えます。

ガムテープも有効

越冬するカメムシの成虫がニオイを出すところは身体のお腹側なので、背中側からガムテープで覆うように狙い、くっついたらガムテープでそっとサンドして包み、そのまま廃棄します。ただ、ガムテープで覆う時に、勢いよく貼りつけてしまうと、カメムシが危険を察知してニオイを出してしまうので慎重に行いましょう。

手にニオイが付いてしまった時は?

カメムシのニオイは洗ってもなかなか取れません。ニオイ成分には、水に溶けやすいものと油に溶けやすいものが混ざっているので、その両方を落とす必要があります。消毒用アルコールや化粧のクレンジング剤を使って油成分を落とした後、石けんで洗うと効果的にニオイを取ることができます。それでも残るというときは、食用油などで手の臭いが付いている部分をこすってから、もう一度石けんで洗ってみてください。

写真はイメージ
写真はイメージ写真:アフロ

最後に…

カメムシが白い壁や白い洗濯物についているのを見たことのある方は多いと思います。実はカメムシは暖かさを求めて白いところにとまっているのです。白色は、太陽光を吸収せず反射するので、カメムシは白い色の場所にいると、自身に太陽光が集まって体が温まるのです。洗濯物を取り入れる時は、カメムシがいないかどうかチェックすることをお勧めします。

アース製薬(株)研究部で害虫飼育を担当

兵庫県出身。都内の美術学校卒業後、 家具店店員、陶芸教室講師など虫とは全く関係のない職業に就いていたが、1998年に地元・赤穂のアース製薬に入社以来、害虫の飼育を担当している。しかし、現在も虫は好きではない。著書に「きらいになれない害虫図鑑」(幻冬舎)※記事は個人としての発信です。

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