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春から始めるべきG対策 気持ち悪い見た目だけじゃない 実害を受けないための対策とは?

有吉立アース製薬(株)研究部で害虫飼育を担当
写真はイメージ(写真:イメージマート)

暖かくなってくるとG(ゴキブリ)が活動を始めます。冬の間は休眠していたGがそろそろ出てきます。見るだけで不快なGですが、家の中に入ってくるとさまざまな問題を引き起こし、健康被害が起こることもあります。そうならないために、まだそれほど活動していない春の時期から備えることで万全なG対策を行うことをお勧めします。

Gの害:見た目だけじゃないその実態

病原菌の運搬者

家の中で見かけるクロGは、屋外と屋内を行き来しているので、屋外で菌のあるところも歩いています。その菌がGの体に付着し、家の中に持ち込まれます。たまたまその菌が食品に付着すると、食中毒になる可能性があります。

アレルギーの原因

Gの排泄物や死骸が風化して細かくなった粒子が、アレルギーを起こす原因となります。くしゃみ、鼻水、皮膚や眼への刺激が多いようです。アレルギーの約8%の方がGアレルギーと報告されています。

食害や排泄物による汚染

食品を食べられる被害が最も多いのですが、Gは雑食性なので、紙や木片、皮革類なども食べることがあり、文化財や美術品をかじられると重大な被害となります。また、排泄物や嘔吐物などでキッチン周りの戸棚や引き出しの中が汚れてしまうこともあります。

機器への侵入

Gは暖かい場所が好きなので、発熱性の機器類に侵入してしまい、ショートを起こす原因となったりします。電話機の中に小さなGが入ったり、電気ポット内に侵入してお湯を注いだ時に出てくるという事例も報告されています。

イラストはイメージ
イラストはイメージ提供:イメージマート

このような被害が起こらないように、春のうちに対策しておくことをお勧めします。

春に行うG対策

家の中に入れない

Gは屋外で越冬していることが多いのですが、目覚めると餌や住みやすいところを求めて家の中に入ってきます。

家は隙間もなく閉めているのに、Gはどこから入ってきているのでしょうか? 実は春先のGはまだ幼虫のことが多いため、小さな隙間からでも入ってきます。成虫でも2mmの隙間があれば入ってしまうので、幼虫は1mm以下の隙間でも入ってきてしまいます。

まずは家の中に入れないことが重要です。

入りやすい場所には注意して

Gが家の中に入りやすい場所は、換気口、網戸やドアの隙間、排水パイプなどです。家には侵入する隙間がたくさんあります。玄関や窓を開けっ放しにせず、網戸の隙間は隙間テープなどできちんと処理しておきましょう。

屋外の対策をしましょう

侵入する前に屋外で駆除することで侵入を防ぐことができます。屋外で使用できる毒餌剤を置くと効果的です。マンションなど集合住宅では隣家から移動してくることもあるので、毒餌剤を設置することで侵入を防ぐことができます。

設置場所としては、玄関付近、ベランダ、窓際、エアコン室外機やプランターの横などがお勧めです。

毒餌剤を置くと、自分の家の周りにいないGも呼び寄せて集まってくるのではないかと心配されるかもしれませんが、Gの嗅覚はそれほど鋭いわけではなく半径1~2m程度なので安心して使用してください。

イラストはイメージ(提供:いらすとや)
イラストはイメージ(提供:いらすとや)

引っ越しのときは

この春に引っ越しを考えられている方もいらっしゃることと思います。生活を始める前にお部屋に「くん煙剤」を使用することで、煙が隅々まで行き届き隠れたGを倒したり、予防効果もあるので安心して生活することができます。また、引っ越しで使用したダンボールに卵が付いている場合や、幼虫などが潜む場合があるので、すぐに処分してください。

最後に…

見るのが不快という方は多いGですが、家の中に入ってくるとさまざまな問題を引き起こします。まだ活発には動いていないこの春の時期から早めのG対策をすることで、夏に大きく成長したGを見ることが少なくなります。今から対策をしていくことをお勧めします。

アース製薬(株)研究部で害虫飼育を担当

兵庫県出身。都内の美術学校卒業後、 家具店店員、陶芸教室講師など虫とは全く関係のない職業に就いていたが、1998年に地元・赤穂のアース製薬に入社以来、害虫の飼育を担当している。しかし、現在も虫は好きではない。著書に「きらいになれない害虫図鑑」(幻冬舎)※記事は個人としての発信です。

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