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11月まで注意! 日本でいちばん人を殺している生物「ハチ」、家の近くでみたら警戒を 対策法をチェック

有吉立アース製薬(株)研究部で害虫飼育を担当
イラストはイメージ(提供:イメージマート)

家の周りでハチを見かけたら注意してください。もしかしたら、家の周囲に巣を作っている可能性があります。

スズメバチやアシナガバチは、4~5月に女王が1匹で巣を作りはじめます。巣がいちばん大きくなるのは晩夏~秋ですが、今年は7月でもかなり大きな巣が見つかっているようです。今回はスズメバチやアシナガバチなどのハチに刺されないための対策をお話しします。

日本でいちばん人を殺している生物はハチ

世界的にみると、いちばん人を殺している生物は「蚊」なのですが、日本ではハチがいちばん人を殺しています。年間10~20名くらいの方が、ハチの被害で亡くなられています(※)。

ハチには手や足や顔など露出しているところを刺されることが多く、刺された瞬間に激しい痛みを感じます。その後赤く腫れますが、数時間で回復することが多いようです。ただ、過去にハチに刺されている場合は、かゆみや紅斑、腹痛、嘔吐、呼吸困難などの全身症状が現れ、重症の場合はアナフィラキシーショックを起こして死亡することがあります。

どんな時に刺されるのでしょう

刺される危険があるのは、ハチの巣やハチ自体へ刺激を与えた時です。巣を揺すったり石を投げたりといった直接的な刺激だけでなく、人が巣に気付かず必要以上に近づくことも、ハチにとっては刺激になります。巣の出入り口付近では常に見張り役が警戒にあたっています。ハチの巣を襲う気持ちがなくても、ハチにとっては巣に近づくものすべてを敵とみなしてしまうのです。

自宅周辺で巣が作られやすい場所は?

もし、家の周りでハチがよく飛んでいると感じたら、近くに巣を作っている可能性があります。巣を作りやすい場所は以下になります。(もし、自宅周辺でどこに巣があるか探したいときは、絶対にハチに刺激を与えないようにしてください。)

・軒下やベランダや外壁の隙間

・天井裏

・物置やガレージ・室外機近く

・庭木など

写真はイメージ
写真はイメージ写真:イメージマート

自宅に巣が作られていた

何年か前にはなりますが、自宅の周囲にハチをよく見かけるようになり、特に玄関周りを飛んでいたので、家を出入りするときに刺されるんじゃないかと怖く感じていました。どこか近くにハチの巣があるのでは? と日中明るい時に巣を探しましたが見つけることはできませんでした。でも、その後もハチが減ることがなかったので、飛んでいるハチがどこに行っているのかを観察したところ、家の天井裏に通じる隙間に入って行きました。どうも天井裏に巣を作っていたようです。

ハチの種類はスズメバチで、自身での駆除は危険が大きいため、業者に依頼し、駆除後にハチが出入りできる隙間にはネットを貼ってもらうことで、それ以降の年も巣は作られなくなりました。でも、あんな隙間から出入りして巣を作るのかととても驚いた経験があります。

ハチに刺されないためのポイント

ハチは黒い色を攻撃します

ハチは、黒色に対して最も激しく反応し、攻撃的になります。山や森へ行く時は、黒色の服やバッグ、靴は避け、攻撃性が低くなる白色や淡色の服を着て、また、黒い髪を隠すために白っぽい帽子も着用しましょう。

ハチはニオイに敏感です

香水や化粧品、整髪料など人工的な強いニオイがハチを興奮させる原因になったりします。体臭や汗臭さにも寄って来ることがあります。ニオイの強いものを身に付けることは控えましょう。また、ジュースやお菓子などの食べ物にも寄って来ます。甘いニオイを嗅ぎつけて、ジュースの缶に入り込んだりするので注意が必要です。

大きな音や動きは苦手です

ハチは、大きな音や激しい動きに敏感です。ハチは攻撃を受けていると感じてしまいます。もし、ハチが近くに寄ってきたら、大きな声を出したり、慌てて振り払ったりするのはやめましょう。

もし刺されたらどうしたらいい?

ハチに刺されたら、まず、安全な場所で安静にして、刺された部分を冷却して様子を見ます。刺された部分だけの痛みや腫れという軽い症状だけであればいいのですが、人によっては、アナフィラキシーショックを起こすことがあります。刺された部分の局所的な症状だけでなく、蕁麻疹(じんましん)や、血圧低下、呼吸困難という全身症状が見られたら、直ぐに医療機関への搬送が必要です。毎年、ハチに刺されて亡くなっている方の多くがアナフィラキシーショックを起こしているようです。

最後に…

夏休みに入ると、キャンプなどで山や森に行く機会が増えます。家の周りより山や森にはハチがいる確率が高くなりますし、今後秋にかけて働きバチの数も増えていきます。ハチはむやみやたらに人を襲ってくることはありませんが、ハチが攻撃を受けていると感じる行動を無意識にでもとってしまうと、刺されることがあります。これから11月まではハチには十分注意してください。

(※)林野庁「鉢刺され災害を防ごう」

アース製薬(株)研究部で害虫飼育を担当

兵庫県出身。都内の美術学校卒業後、 家具店店員、陶芸教室講師など虫とは全く関係のない職業に就いていたが、1998年に地元・赤穂のアース製薬に入社以来、害虫の飼育を担当している。しかし、現在も虫は好きではない。著書に「きらいになれない害虫図鑑」(幻冬舎)※記事は個人としての発信です。

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