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「世界一不幸」といわれる日本の40代未婚中年男性が幸福度を高める方法はあるのか?

荒川和久独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター
(写真:イメージマート)

幸福度はUの字型

幸福度というものは、大体20代が一番高く、40-50代の中年になると底辺になる。60代以上の高齢者になると、またあがっていくというUの字型を描くのが定番である。さらに、未婚より既婚の方が高く、男性より女性の方が高いというのも、日本に限らず、全世界的に共通する傾向だ。

つまり、まとめると未婚の40代男性がもっとも不幸ということになる。そもそも、日本は国際的にも全体の幸福度が低いので、世界一不幸なのは日本の40代未婚男性ということになる。

なぜ男性は不幸なのか。なぜ40~50代は不幸なのか。なぜ未婚の中年男性は不幸なのか

「幸福度は年収があがれば高まる」ともいわれているが、一方で、「ある程度の年収までは幸福度があがるが、天井があり、それ以上は年収があがっても幸福度が高まらない」という説もある。

確かにその通りだろう。年収の多寡に応じて幸福度が高まるのであれば、特に年功序列の日本社会においては、20代より30代、30代より40代の方が年収はあがるはずだ。にもかかわらず、幸福度は年齢があがるごとに下がり、年収など関係ない定年退職後に幸福度が高まるという事実を説明することはできない。

恋愛相手の有無別幸福度

今回は、年収に加え、未婚でも恋愛相手の有無別の幸福度について深掘りしてみたい。

そうすると、「世界一不幸な40代未婚男性」により影響を与えているのが、年収なのか、恋愛なのかがわかる。

結果は以下の通りである。

既婚男性は1000万円以上の年収でもっとも幸福割合が高まるが、おしなべて年収にかかわらず40-50%の幸福率で推移する。

一方、未婚男性を見てみると、未婚でも現在恋人がいるという40代男性は、やや下がるものの、既婚男性とそれほどの差はない。こちらも1000万円以上の幸福度が高いが、年収があがればあがるほど幸福度が増すというよりも、むしろもっとも幸福度が高いのは年収100-200万円の低年収層であることに注目したい。

40代で年収100万円台ではとても経済的自立は難しいとは思うが、この年収帯でも恋愛相手のいる40代中年未婚はいるのである。そして、そうした未婚中年男性の幸福度がもっとも高い。どういう生活をしているのだろうか。

写真:イメージマート

今は恋人がいないがかつて恋愛経験のある40代は、現在恋人がいる男性より幸福度は下がる。こちらも、年収100万未満の幸福度は案外低くはないどころか、700-1000万の年収の男性より高いくらいである。

もっとも幸福度が低いのが今まで一度も恋愛経験のない未恋中年男性である。

生まれてから一度も恋愛相手がいたことのない「生涯未恋率」は男女それぞれ何%か?

恋愛に影響される男たち

こうみると、40代男性に限れば、結婚や恋愛というものがいかに彼らの幸福度に寄与しているかがわかる。

むしろ、幸福度はそれほど年収の多寡には関係なく、40代中年男性の幸福度というものは、結婚しているか、または、未婚でも恋愛相手がいるかどうかの要因が大きいといえる。

別の見方をすれば、40代不幸未婚男性のみなさんが結婚せずとも既婚者並みの幸福になるためには、年収1000万円以上稼げばいいだけの話でもある。

恋人を作るか、年収1000万になるか、どちらか簡単な方を選択すればいいのではないだろうか。

写真:イメージマート

ただし、今まで一度も恋愛経験のない中年男性は、年収700-1000万円あたりが幸福度の天井で、1000万円以上稼ぐようになるとかえって幸福度が下がるという現象もみられる。

仕事のしすぎで心身を壊してしまうということも考えられる。むしろ年収200-300万円程度の稼ぎで、ゆるく仕事をし、趣味などにいそしんでいた方が幸福に毎日を過ごせている人が多いようだ。

どっちを選ぶも自由である。

ちなみに、何かしらのオタク趣味を持つ独身男性の幸福度は年収500万円以上と同等の高さがある。

写真:西村尚己/アフロ

恋愛したら幸福になるのではない

ただ、勘違いしてはいけないのは、年収と幸福度の因果と恋愛・結婚の因果とは、順番が逆である可能性があるということだ。

恋愛や結婚はそれをしたからといって幸福度があがるというものではない。むしろ「恋愛相手ができれば幸福になるはず」「結婚したら幸福になるはず」という発想の男は、一生幸福とは無縁なのだろう。

逆なのである。

幸福度が高いから恋愛や結婚ができるのだ。幸福になることが先なのである。

不幸そうな顔をした人間と恋愛したい相手などいない。

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独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター

広告会社において、数多くの企業のマーケティング戦略立案やクリエイティブ実務を担当した後、「ソロ経済・文化研究所」を立ち上げ独立。ソロ社会論および非婚化する独身生活者研究の第一人者としてメディアに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』『結婚滅亡』『ソロエコノミーの襲来』『超ソロ社会』『結婚しない男たち』『「一人で生きる」が当たり前になる社会』などがある。

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