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魅力度ランキングで常に最下位争いをする茨城・栃木は「男余り現象」も激しい

荒川和久独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター
(写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)

魅力度ランキング最下位に復帰した茨城県

毎年発表されている「ブランド総合研究所」による全国都道府県魅力度ランキングだが、今年またも最下位の定位置に復活した茨城県が話題となっている(地域ブランド調査2021より)

このランキングがそのまま県の魅力を示すものではないので、そこに一喜一憂する必要もないとは思うが、県民の人たちからするとあまり良い気分ではないのかもしれない。しかし、むしろ中途半端な順位より、最下位の方がネタとしてPR効果も期待できると前向きにとらえてほしいと思う。

「男余り」でも茨城はトップ

ところで、日本は未婚男性の数が未婚女性よりも多い「男余り現象」である、ということについては以前記事化しているが(参照→結婚したくても、340万人もの未婚男性には相手がいない「男余り現象」の残酷)、都道府県別に見ても、すべてのエリアで「男余り」とある。ただし、その男余りについても強弱はあり、特に、結婚適齢期年齢である20-30代に限れば、実は茨城県がもっとも「男余り」な県でもある。

男余り率は、各都道府県別に未婚男性と未婚女性の人口差分を未婚男性を分母として割り出したものである。以下に、全国のランキングを掲出するが、1位は茨城県、2位は栃木県、3位が福島県、4位が群馬県となっている。福島県を除けば、上位のうち3つがすべて北関東に集中している。

一方、男余り率が低い県はというと47位は鹿児島県、46位は福岡県などをはじめとして、九州勢が多いことがわかる。東京や大阪なども男余り率は低い。

関ケ原を分岐点として「男余り」の高低が分かれる

マップにしてみるとより顕著になる。

こうして見ると、男余り現象は、関ケ原あたりを分岐点として、なぜか西日本より東日本の方に偏っている。

東日本、特に北関東周辺で男余り現象が起きるのはなぜだろうか?

県によって男女の出生率に大差はない。大体男児が女児に対して1.05倍の出生率であり、特に北関東だけ男児出生率が高いということでもない。

北関東に若い未婚男性が集中するワケとは?

北関東が男余りになってしまう要因はいろいろ考えられるが、ひとつには、20~30代の若い未婚女性が、東京などの都心へ進学や就職のために上京してしまうことが多いのもそのひとつと考えられる。

都道府県間の人口流出入は、主に20代の移動によって構成されている。その大きな要因は就職である。仕事のあるところに若者は集中するのだ。東京・大阪・福岡などが男余り率が低いというのも、販売やサービス業など女性の就業率の高い仕事が多いのもあるだろう。そう考えれば、5位にランクしている愛知県もそうだが、茨城・栃木も男性就業率の高い工場などが多いと言える。

写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート

本記事のデータは2015年国勢調査のものだが、最新の2020年の結果については11月頃公表されるので、この5年間で変化があったかどうかについては、結果が出次第またここで報告したい。

婚活女子は茨城・栃木が狙い目?

男余りについては、「男性が結婚しにくい」という面もあるが、逆にいえば、「女性は結婚しやすい」とも考えられる。事実、20~30代の男余り率と未婚率の男女差分を比較すると、見事に相関する。男余り率が高い県ほど、女性の既婚率が高いのだ。つまり、都道府県魅力度ランキングで常に最下位争いをしている茨城・栃木など北関東の県に行けば、女性は結婚しやすくなるともいえる。

写真:PantherMedia/イメージマート

婚活もマーケティングが重要である。大都市には絶対数として未婚男性も大勢おり、出会いの機会も多いが、同時にライバルである未婚女性も多い。競争率が低い、茨城、栃木、群馬などの北関東地方が狙い目かもしれない。但し、あくまでその量であり、その質についてまでは保証できないが。

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独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター

広告会社において、数多くの企業のマーケティング戦略立案やクリエイティブ実務を担当した後、「ソロ経済・文化研究所」を立ち上げ独立。ソロ社会論および非婚化する独身生活者研究の第一人者としてメディアに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』『結婚滅亡』『ソロエコノミーの襲来』『超ソロ社会』『結婚しない男たち』『「一人で生きる」が当たり前になる社会』などがある。

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