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「ノルウェー人はわかっていない」ノルウェー王女の婚約者のスピリチュアル育児法が炎上中

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会役員
マッタ・ルイーセ王女と来年結婚予定のデュレク・ベレット氏(写真:Splash/アフロ)

子どもが叫んだり暴れたりするのは霊が子ども中に入り込んでいるからだとするノルウェー王女の婚約者の発言がさらなる波紋を広げている。

ノルウェーのマッタ・ルイーセ王女の婚約者である米国人で職業がシャーマン(霊媒師)であるデュレク・ベレット氏。

先日、自身のインスタグラムの投稿で「子どもの言動がおかしい場合には霊が宿っている可能性がある」という考えを主張した。

投稿後はノルウェーメディアとSNSで痛烈な批判を浴びる。沈黙を続けるかと思いきや、ベレット氏はすぐさま反論する投稿をした。

「ノルウェー人はシャーマニズムを理解していない」

「ノルウェー人は私が悪魔祓いについて話していると思っています。ノルウェーの人はシャーマニズムを理解していない」「スピリチュアリズムの教育を受けていないノルウェー人はいつもそうです」と、フォロワーに今何が起きているかを笑いながら説明し始めた。

私が子どもについて投稿したせいで、動揺している人たちが大勢います。世の中にはまだスピリチュアルなレベルに達していない人々がたくさんいることを、文字通り思い出さなければなりません。というのも、彼らはとても古いパラダイムの考え方にとらわれているからです。
私のインスタグラムで私を貶める人たちに我慢するつもりはありません。それはいつもノルウェー人で、スピリチュアルな知識の教育を受けていない人たちです。それなのに、彼らは私が何をすべきかを教えたりできると考えている。とても興味深いですね。私たちが常に覚えておかなければならないのは、スピリチュアルな知識やシャーマニズムなど、さまざまなことを学んでいない人たちが世界中にいるということです。

インスタグラム@shamandurek

「ほとんどの人は、子どもがスピリチュアルな問題を抱えているとき、それは単なる問題行動とは少し違うということを理解していない」と話す同氏は、「子どもが地面やテーブルに顔をぶつけたりしているのは、子どもたちは無意識に霊を受け入れているから」と説明を続けた。

「意識と無意識を研究し、霊的なもの、脳の働きを理解し、霊的な面と精神的な面との関連性を理解すれば、霊が関与しているときはいつでも理解できる」と、人がお酒を飲んだ時の不可解な行動にも霊が関係していると主張した。

子どもは自分がしていることを意識していません。だから、あなたが子どもに話しかけようとして、『どうしてそんな態度を取り続けるの』と言っても、子どもはあなたが何を言っているのか理解できません。親として、私たちの世界で子どもたちを守ることは大切なことです。私はスピリチュアルな世界で活動し、家族や世界中の人々に、スピリチュアルな世界を通して肉体におけるパワーと知性を活性化させる方法を教えています。
だから、もし理解できない人がいるとしたら、それは私が子どもを虐待しているとか、子どもを虐待する方法を教えていると思っているからでしょう。それは虐待ではありません。私はとても虐待的な家庭で育ったので、虐待と非虐待の違いは分かっています。
アフリカのシャーマニズムの奥深さを説明する必要はないし、理解できない人のために詳しく説明する必要ありません。私をクレイジー呼ばわりしたり、罵倒したり、ノルウェーに帰ってくるなとか、下品な言葉を言うノルウェー人はブロックされます。私のインスタグラムにはブロックチームがいて、軽蔑的なコメントや発言がないか調べていますからね。
罵り、意地悪なことを言い、あたかも知っているかのように振る舞い、これらのことをすべて言おうとするなら、あなたはブロックされ、ブロックが解除されることはないでしょう。

インスタグラム@shamandurek

一連の発言に対して、ノルウェーの医療関係者や子どもの教育や問題解決に携わる専門家、育児経験のある保護者からは「あまりにもクレイジー」「有害な考え方」「頭がおかしい」とメディアやSNSで批判は殺到している。

一方で「多くの信者を持つ公人」でもあり、「ノルウェー王室の一員になる人」の影響力を心配して、「子どもの行動問題を霊のせいにすることで、親が本来必要な助けを求めることを避けることにつながる可能性がある」リスクも指摘されている。

同氏はこれまでに宗教関係者、医療従事者などからも批判を受けてきたが、今回の件で「子どもの教育に携わる専門家」「保護者」など新しい批判層を開拓中だ。

「ノルウェー人はいつもそう」とノルウェー人を批判する発言により、また新たにメディアとの対立に火蓋が切って落とされた。

今後は現状を傍観中のノルウェー王室に対する反応に注目が集まるだろう。

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会役員

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信15年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。ノルウェー国際報道協会 理事会役員。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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