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選挙って楽しい!マリン首相「民主主義を祝おう」フィンランド選挙小屋

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会役員
フィンランドの都市タンペレでの選挙小屋 筆者撮影

「民主主義をお祝いしましょう!」

4月2日のフィンランド国政選挙の前日、首都ヘルシンキの公園でサンナ・マリン首相が演説で発した一言だ。

国政選挙ではマリン政権は敗北し退陣することに。現地でのマリン人気は好調だったが、連立する政党らは議席数を伸ばせなかった 筆者撮影
国政選挙ではマリン政権は敗北し退陣することに。現地でのマリン人気は好調だったが、連立する政党らは議席数を伸ばせなかった 筆者撮影

北欧の選挙をみていると、選挙や政治に対するイメージはガラリと変わる。

日本に住んでいた頃は政治に全く関心がなかった筆者でさえも、政治に関する記事を書くようになるくらいに変わったくらいだ。

「選挙って楽しめるんだ」「みんなが笑顔だ」

フィン人党の選挙小屋では立候補者と市民がチェスをしていた ヘルシンキ、筆者撮影
フィン人党の選挙小屋では立候補者と市民がチェスをしていた ヘルシンキ、筆者撮影

「選挙や政治は楽しめる」「市民が笑顔だ」

北欧が筆者に与えてくれた最高のカルチャーショックだ。

今年のフィンランド国政選挙期間は、首都ヘルシンキとマリン首相の故郷タンペレの2か所で1週間を過ごした。

現地での楽しそうな選挙期間の様子を写真でお届けしたい。

タンペレの選挙小屋。お祭りの屋台にしか見えないほどの賑わいだった タンペレ、筆者撮影
タンペレの選挙小屋。お祭りの屋台にしか見えないほどの賑わいだった タンペレ、筆者撮影

北欧選挙の取材で、ぬいぐるみのかわいいパワーを導入している政党を初めて発見した タンペレ、筆者撮影
北欧選挙の取材で、ぬいぐるみのかわいいパワーを導入している政党を初めて発見した タンペレ、筆者撮影

観光客も未成年も子どもも、誰もが選挙小屋を訪れる。支持しているかどうかは関係なく、気軽に立ち寄れる空気が出ているのが選挙小屋だ。子どもたちはクッキーをもらって笑顔で去った タンペレ、筆者撮影
観光客も未成年も子どもも、誰もが選挙小屋を訪れる。支持しているかどうかは関係なく、気軽に立ち寄れる空気が出ているのが選挙小屋だ。子どもたちはクッキーをもらって笑顔で去った タンペレ、筆者撮影

選挙小屋で筆者が好きな背景は、自転車でたまたま立ち寄る市民の多さだ タンペレ、筆者撮影
選挙小屋で筆者が好きな背景は、自転車でたまたま立ち寄る市民の多さだ タンペレ、筆者撮影

ヘルシンキ、筆者撮影
ヘルシンキ、筆者撮影

複数の政党の選挙小屋が集合するため、まだ投票先に迷っている市民は各政党から公約冊子をもらったり、同じ質問をして比較することができる ヘルシンキ、筆者撮影
複数の政党の選挙小屋が集合するため、まだ投票先に迷っている市民は各政党から公約冊子をもらったり、同じ質問をして比較することができる ヘルシンキ、筆者撮影

フィンランドにはソーセージを配る政党が必ずいる。行列となるが、並ぶ市民は支持者とは限らない。単にソーセージが欲しいだけ ヘルシンキ、筆者撮影
フィンランドにはソーセージを配る政党が必ずいる。行列となるが、並ぶ市民は支持者とは限らない。単にソーセージが欲しいだけ ヘルシンキ、筆者撮影

立候補者の番号と名前が刻まれた風船をプレゼント。風船は子どもに人気がある ヘルシンキ、筆者撮影
立候補者の番号と名前が刻まれた風船をプレゼント。風船は子どもに人気がある ヘルシンキ、筆者撮影

投票日が近いとあって、市民は候補者を決めようと、選挙小屋でいろいろと質問し、候補者の案内や公約の紙をもらいにくる タンペレ、筆者撮影
投票日が近いとあって、市民は候補者を決めようと、選挙小屋でいろいろと質問し、候補者の案内や公約の紙をもらいにくる タンペレ、筆者撮影

立候補者や大臣などと立ち話で政治のおしゃべりができる空間。女性政治家の多さは北欧ならでは 筆者撮影
立候補者や大臣などと立ち話で政治のおしゃべりができる空間。女性政治家の多さは北欧ならでは 筆者撮影

手品を催す政党も、子どもが一番喜んでいた。目の前にいる人が有権者かどうか関係なく、子ども楽しめる空間に配慮されている ヘルシンキ、筆者撮影
手品を催す政党も、子どもが一番喜んでいた。目の前にいる人が有権者かどうか関係なく、子ども楽しめる空間に配慮されている ヘルシンキ、筆者撮影

ヘルシンキ、筆者撮影
ヘルシンキ、筆者撮影

ペッカ・ハーヴィスト外務大臣の演説中、NATO加盟申請に貢献した彼に「よくやった」とグッドサインをする人も 筆者撮影
ペッカ・ハーヴィスト外務大臣の演説中、NATO加盟申請に貢献した彼に「よくやった」とグッドサインをする人も 筆者撮影

まだ雪が降っていたフィンランド。外は寒く、コーヒーをもらって飲んでいる人もたくさんいた ヘルシンキ、筆者撮影
まだ雪が降っていたフィンランド。外は寒く、コーヒーをもらって飲んでいる人もたくさんいた ヘルシンキ、筆者撮影

選挙小屋は特定の候補者や政党の応援や演説を聞こうと市民が張り切ってやってくるよりは、各地で開催されているから「たまたま」「ついでに」立ち寄っている人が多い ヘルシンキ、筆者撮影
選挙小屋は特定の候補者や政党の応援や演説を聞こうと市民が張り切ってやってくるよりは、各地で開催されているから「たまたま」「ついでに」立ち寄っている人が多い ヘルシンキ、筆者撮影

北欧諸国ではなぜ市民が政治への関心が高いのか。

様々な要素が重なり合った結果だが、政治家と気軽に政治のおしゃべりができて、各政党が同じ場所に集合している「選挙小屋」という空間は、市民と政治の距離を縮めている要因のひとつであることは間違いない。

何より、本当にお祭りのような雰囲気で楽しいのだ。選挙や政治を楽しめる空間づくりが上手だ。

北欧選挙の取材中、選挙小屋で時間を過ごしていると、筆者はたくさんの元気を充電できる。これがあるから北欧選挙の取材がやめられない。

日本でも「日本若者協議会」が日本で初めての選挙小屋の空間を提供したばかり。

東京新聞 日本でも「選挙小屋」を! 若者が政治家と対話、料理や音楽も 東京・下北沢で25、26日「民主主義ユースフェス」

このような素敵なカルチャーショック体験が日本でも広まるといいなと、心から思う。

Text: Asaki Abumi

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会役員

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信15年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。ノルウェー国際報道協会 理事会役員。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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