500人以上の催しは中止・延期へ ノルウェーの新型コロナ対策
ノルウェー公衆保健研究所は、10日の時点で、新型コロナウイルスの感染者は277人となったことを発表した(ノルウェーの人口は530万人)。
このうちの193人は外国での感染。ヴィーケン県での感染者は86人と最も多く、首都オスロでは51人と2番目に続く。
全国各地の感染者の状況を速報で流すVG紙によると、この記事を書いている11日15時の時点では、感染者の最新の数は440人だと報道されている。
公衆保健研究所は、「大幅に感染が拡大されている地域」から入国する全ての人に対して、14日間の自宅待機を勧奨している。
8日には、14日間の自宅待機を推奨する国には日本も含まれていたが、9日には日本は対象国からは解除された。
「大幅に感染が拡大されている地域」とはどこか?
公衆保健研究所の公式HPでは、「大幅に感染が拡大されている地域」の対象国が常にアップデートされている。
現時点では、「中国の湖北省、イラン、韓国、イタリア、オーストリアのチロル」。
公衆保健研究所がいう「自宅待機」とは、外出は可能だが、「職場や学校には行かない」、「公共交通機関は利用せず、旅行も避ける」、「他者に接近しそうな場所に行くことは避ける」ことを意味する。
10日、同研究所は、新たな対策として、以下を推奨している。
- 室内で500人以上の人が集まる行事は中止または延期
- 屋外で500人以上の人が密接に接近する行事は中止(劇場、オペラ、映画館、コンサート、学校での食堂や集合場所、大学や職場が含まれる。教育機関での授業や巨大なホールでの仕事は含まれない)
- 100人以上が集まる公共行事はリスク評価をして、自治体からの承認が必要
- 勉強会、セミナーなど、保健機関や社会的に重要な役割を果たす職種の人の参加は、注意深く検討する
- 重要人物の出張やイベント参加は、雇用者が検討する
- 可能であれば、身体的な参加ではなく、スカイプ会議やインターネト上でのセミナーを検討する
- 行事の主催者は、感染の可能性がある人が参加しないように注意をし、衛生管理を徹底する
無観客のスキーW杯
ノルウェーでは感染者が出始めた頃、スキーワールドカップ(W杯)でのオスロ大会が、無観客でおこなわれると発表された(5日)。
主催者側は、観客ありで実行する姿勢だったが、オスロ市の決定で無観客に。この頃は、行事の自粛はノルウェーではまだあまり見られていなかった。
オスロ大会は異例の無観客ではあったが、クロスカントリースキーを観戦できる自然への出入りは規制できないために、感染を気にしない市民は結局集まっていた。警察によると、例年よりは少ないが、1日で4000~5000人は来ていたとされている(公共局NRK、アフテンポステン紙)
首相「試されている時」
10日、ソールバルグ首相は記者会見で、経済的ダメージが大きい企業や医療機関への支援案を発表。「コロナウイルスによって、私たちは試されている」と首相は感染拡大のために努力をすると話した(公共局NRK)。
同日、公衆保健研究所は500人以上の人が集まる行事の中止や延期を推奨する記者会見を開く。
結果、全国各地の行事の主催者が、中止や延期の発表を次々と始めている。
オスロ大学は授業をデジタル配信
11日、オスロ大学はできる限り多くの講義を4月中旬までデジタル配信すると発表。
大学が主催する行事は中止となり、100人以上の参加者がいる授業はデジタル配信か中止に。大学職員には在宅勤務を勧めている。
ムンク美術館は休館
日本からの観光客も多いムンク美術館は、今日から2週間、一時的に休館となる。
「市民は危険性を理解していない」
一方で、オスロ大学病院の関係者は、このような対策はまだまだ甘いとしている。
「在宅勤務は義務化し、行事参加者は500人までではなく、最高50人までが推奨されるべき」、この状態でも外国へ旅行に行こうとする市民がおり、「人々は危険性を全く理解していない」という意見もある(公共局NRK)。
Photo&Text: Asaki Abumi