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選挙でみる「北欧デザイン」とは?観光客が記念撮影する優秀作品も 北欧ノルウェーの政党スタンド

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会役員
オスロ観光局の情報案内所にも見えるが、実は? Photo:Asaki Abumi

北欧ノルウェーでは、統一地方選挙がもうすぐ行われる。

にぎやかな選挙期間中、各地の道路で通行人の注目を集めているのが、選挙スタンド・選挙小屋だ。

特に首都オスロでの各党のスタンドのデザインは、見ていておもしろい。

選挙運動スポットは各地にあるため、場所や時間帯により、スタンドのデザインや無料配布する選挙物も異なってくる。

過去に、現地メディアの「選挙小屋ランキング」でも表彰されたのが、左派社会党の「オスロ」とデザインされたスタンドだ(冒頭写真)。

あまりにも際立つデザインのため、記念撮影して、SNSのインスタグラムなどに写真を載せる観光客が毎年いる。

党員がいる間はソファや無料のコーヒーなどもある。言葉がわからない観光客には観光局のカフェに見えるかもしれない Photo: Asaki Abumi
党員がいる間はソファや無料のコーヒーなどもある。言葉がわからない観光客には観光局のカフェに見えるかもしれない Photo: Asaki Abumi
労働党と緑の党のスタンドの間を歩く市民。選挙風景は自然と日常のシーンの一部になっている Photo: Asaki Abumi
労働党と緑の党のスタンドの間を歩く市民。選挙風景は自然と日常のシーンの一部になっている Photo: Asaki Abumi
道路通貨料金システムに反対する政党。車でドカンと登場して、伝えたいメッセージを明確に Photo: Asaki Abumi
道路通貨料金システムに反対する政党。車でドカンと登場して、伝えたいメッセージを明確に Photo: Asaki Abumi
場所によって党のデザインも違う。グリーネルロッカ地区の労働党は丸い。未成年者も選挙運動に参加できる Photo: Asaki Abumi
場所によって党のデザインも違う。グリーネルロッカ地区の労働党は丸い。未成年者も選挙運動に参加できる Photo: Asaki Abumi
カール・ヨハン通り、中心部の大通りの労働党 Photo: Asaki Abumi
カール・ヨハン通り、中心部の大通りの労働党 Photo: Asaki Abumi
中央駅からすぐ側の広場にある労働党。もはや選挙オフィスのような規模。赤い大きなソファクッションや無料のコーヒーなどを置いて、カフェのように Photo: Asaki Abumi
中央駅からすぐ側の広場にある労働党。もはや選挙オフィスのような規模。赤い大きなソファクッションや無料のコーヒーなどを置いて、カフェのように Photo: Asaki Abumi
極右「進歩党」は党のロゴマークであるリンゴを大きな風船にして存在感を強調。後ろの男性は若い政治家で、若者を狙うイメージ戦略 Photo: Asaki Abumi
極右「進歩党」は党のロゴマークであるリンゴを大きな風船にして存在感を強調。後ろの男性は若い政治家で、若者を狙うイメージ戦略 Photo: Asaki Abumi
創造性が働いていたのがグリーネルロッカ地区の保守党。左側の「T」の文字は地下鉄駅のマーク Photo: Asaki Abumi
創造性が働いていたのがグリーネルロッカ地区の保守党。左側の「T」の文字は地下鉄駅のマーク Photo: Asaki Abumi
首都ではどの場所に新しい地下鉄駅を作るかで、右派・左派でもめている。「保守党が仕切っていたら、ここに駅を作ります」とアピール。多様性ある性の支持もすると、虹色の旗も Photo: Asaki Abumi
首都ではどの場所に新しい地下鉄駅を作るかで、右派・左派でもめている。「保守党が仕切っていたら、ここに駅を作ります」とアピール。多様性ある性の支持もすると、虹色の旗も Photo: Asaki Abumi

勇気があるというか、「え?」と驚かせたのが、カール・ヨハン通りでの「緑の環境党」。ボランティア党員が足りないようで、党員が大抵の時間はいないスタンドに。

環境党の不思議なスタンドは、よく見るとオスロ中心部の地図となっていた。「車の出入りを規制したい場所や自転車道路が欲しい場所にシールを貼ってね」作戦。記憶には残るが、党員と政治の話はできないし、ボランティア党員が足りないのは「大丈夫?」とさえ思ってしまう。それでも首都では権力を握れるという余裕の表れか Photo: Asaki Abumi
環境党の不思議なスタンドは、よく見るとオスロ中心部の地図となっていた。「車の出入りを規制したい場所や自転車道路が欲しい場所にシールを貼ってね」作戦。記憶には残るが、党員と政治の話はできないし、ボランティア党員が足りないのは「大丈夫?」とさえ思ってしまう。それでも首都では権力を握れるという余裕の表れか Photo: Asaki Abumi
グリーネルロッカ地区での緑の環境党。たまに人がいる。無料配布グッズはなし Photo: Asaki Abumi
グリーネルロッカ地区での緑の環境党。たまに人がいる。無料配布グッズはなし Photo: Asaki Abumi
「緑の環境党が首都で権力を握った結果、この4年間で、道路はこんなに変わりましたよ」と写真で説明。ビフォーアフター写真は印象に残る。この党は車の数を減らしたい Photo: Asaki Abumi
「緑の環境党が首都で権力を握った結果、この4年間で、道路はこんなに変わりましたよ」と写真で説明。ビフォーアフター写真は印象に残る。この党は車の数を減らしたい Photo: Asaki Abumi
オレンジ色でカラフルな政党。実はこの「アリアンセン」政党は、与党で極右の「進歩党」よりも極右で、あまりにも差別的だとされている。通行人と口論している光景も。とはいえ、これもこの国の民主主義の姿 Photo: Asaki Abumi
オレンジ色でカラフルな政党。実はこの「アリアンセン」政党は、与党で極右の「進歩党」よりも極右で、あまりにも差別的だとされている。通行人と口論している光景も。とはいえ、これもこの国の民主主義の姿 Photo: Asaki Abumi

夜も静かに選挙運動

各党の選挙小屋は、扉を閉じてからも、ユニークで個性的なデザインとなっている。党員たちはほとんどが無償労働のボランティア。夜もずっと立っているわけにはいかない。

党員がいなくても、選挙小屋のある場所を通り過ぎるだけで、どの党なのか簡単に分かるように、公約パンフレットを置き、メッセージが伝わるようにしている。

まるで子どもの家のような、「赤党」 Photo: Asaki Abumi
まるで子どもの家のような、「赤党」 Photo: Asaki Abumi
環境政策に強いことを強調するなら、緑色で。自由党 Photo: Asaki Abumi
環境政策に強いことを強調するなら、緑色で。自由党 Photo: Asaki Abumi
車を規制しない社会とトランプ大統領の支持をするアリアンセン党 Photo: Asaki Abumi
車を規制しない社会とトランプ大統領の支持をするアリアンセン党 Photo: Asaki Abumi
グリーネルロッカ地区での緑の環境党。閉じた小屋は、まるで子どものお絵かきみたい。自然を守ることを表明するデザイン Photo: Asaki Abumi
グリーネルロッカ地区での緑の環境党。閉じた小屋は、まるで子どものお絵かきみたい。自然を守ることを表明するデザイン Photo: Asaki Abumi
選挙運動が盛り上がっている頃は、党員や支持者は各党のロゴがデザインされた服を着て、街中を普段から歩いている。保守党のこの犬は、党が無料配布する、首を暖めるネックウォーマーをつけていた Photo: Asaki Abumi
選挙運動が盛り上がっている頃は、党員や支持者は各党のロゴがデザインされた服を着て、街中を普段から歩いている。保守党のこの犬は、党が無料配布する、首を暖めるネックウォーマーをつけていた Photo: Asaki Abumi

街をにぎやかに、色鮮やかにする政党。北欧デザインといえば、日本では家具や食器が有名だが、選挙運動でも北欧デザインのかけらを見つけることができる。

Photo&Text: Asaki Abum

文・写真:あさきあぶみ

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会役員

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信15年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。ノルウェー国際報道協会 理事会役員。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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