左派より1議席少ない右派がスウェーデン政権樹立を模索へ 極右勢力を排除できるか

右派4党(写真)は、極右よりも左派との対話を望む Photo:Abumi

スウェーデン総選挙後、新政権のかたちは、いまだに見えてこない。

選挙結果(3ブロックとも、議会で過半数を得られていない)

  • 左派ブロックは144議席
  • 右派ブロックは143議席
  • 両派から連立を否定されている、スウェーデン民主党は、62議席

新たな国会議長は右派ブロックから(極右の投票が決め手)

9月24日、新しい国会議員を迎えた議会では、新たな「国会議長」を任命する採決がおこなわれた。

結果、右派ブロック、穏健党のアンドレアス・ノーレン氏が、国会議長に。

極右・スウェーデン民主党から、支持された故の結果だった。

左派ブロックの首相が不信任に(極右の投票が決め手)

9月25日、第1党の社会民主労働党のロベーン首相は、右派ブロックと極右から、不信任を投じられた。

ロベーン首相 Photo: Asaki Abumi
ロベーン首相 Photo: Asaki Abumi

国会議長が右派に政権樹立を提案

10月3日、ノーレン国会議長は、各党の党首との話し合いを重ねた後、穏健党のウルフ・クリステルソン党首に、首相候補として、新たな連立政権を探るように提案した。

国会議長は、「連立政権づくりができそうだ」と判断する党首を、「4回」提案することができる。

国会議長の提案が4回失敗すれば、再選挙

首相候補らが新政権づくりをできない状態が4回続けば、再選挙となる。

再選挙という形は、どの党も避けたがる。

最終的には、どこかの党が妥協をして、ブロックを動くこととなるだろう。

しかし、3ブロックとも、選挙期間中に有権者に約束した今のブロックからは、頑なに動こうとしていない。

右派VS左派、既存の右派・左派VS極右

左派ブロックよりも1議席足りないが、勝者として首相になる気満々のクリステルソン党首(穏健党) Photo: Asaki Abumi
左派ブロックよりも1議席足りないが、勝者として首相になる気満々のクリステルソン党首(穏健党) Photo: Asaki Abumi

右派ブロックである穏健党の国会議長が、右派から首相候補を最初に指名したことは、驚きではない。

だからこそ、国会議長が、どの党出身となるかは、重要だった。

右派と左派ブロックは、未だにスウェーデン民主党との連立や協議を否定している。

クリステルソン党首は、今のままでは新政権づくりができない。「不信任にさせておきながら」、ロベーン首相に、連立協議をするつもりだ。

ロベーン首相が、素直に協議に応じないであろうことは、明白。

3人の首相候補

首相候補として、現地メディアで頻繁に取り上げられているのは3人

  • クリステルソン党首(中道右派・穏健党)
  • ロベーン現首相(中道左派・社会民主労働党)
  • アンニ・ルーフ党首(中道右派・中央党)

中央党のルーフ党首は、右派ブロック政権樹立で、穏健党のクリステルソン党首が首相となることを希望している。

妥協の結果、中央党の党首が首相となる可能性はゼロではない Photo: Asaki Abumi
妥協の結果、中央党の党首が首相となる可能性はゼロではない Photo: Asaki Abumi

しかし、右派と左派が極右と連立を拒み続け、どの党も妥協しない場合、新たな「中道ブロック」ができる可能性もある。

中央党がリーダーとなり、自由党(右派)、社会民主労働党(左派)らと、妥協して連立し、「妥協政権」をつくるかもしれない。

もしくは、右派の穏健党とキリスト教民主党の2党が、極右のスウェーデン民主党と組み、新たな右派ブロックを作るかもしれない。自由党と中央党は、右派ブロックにいるが、スウェーデン民主党との連立を徹底的に拒んでいるからだ。

妥協我慢合戦

今のところ、妥協する様子を見せない各党。

誰かが妥協し、今のブロックの在り方を変えなければ、税金と時間を浪費することになる再選挙が待ち構えている。

極右は、スウェーデン議会の背景を変えた

スウェーデン民主党の集会にて、水色の上着を着ているのがオーケソン党首 Photo: Asaki Abumi
スウェーデン民主党の集会にて、水色の上着を着ているのがオーケソン党首 Photo: Asaki Abumi

「極右政党が躍進」と、国際的に注目を浴びたスウェーデン民主党は、第三政党でありながら、今も対話を拒まれ、蚊帳の外だ。

ネオナチに起源を持つ党へ、これ以上の権力を与えまいとする動きは強い。

それでも、スウェーデン民主党が62議席も占めているからこそ、右派と左派は連立政権をつくれずにいる。

ポピュリストの波は、「既存政治や議会のかたちを変える」という意味では、すでに影響を及ぼしている。

Photo&Text: Asaki Abumi