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老人ホームが学生寮に?高齢者と若者の交流促進へ ノルウェーの政党が提案

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会役員
高齢者と若者のホームシェアを政治家が提案(ペイレスイメージズ/アフロ)

安い宿泊料で学生は老人ホームに滞在し、高齢者は若者と交流できる。そのような取り組みをノルウェーの野党・最大政党の労働党が提案した。

国営放送局NRKによると、同党の副党首であるタジク国会議員は「学生と高齢者は共にチームとなり楽しい時間を過ごし、職員はその時間を他の労働作業に費やすことができる」とテレビ局に回答。

試験的プロジェクトとして実行できるように労働党は提案する予定。同議員によると、オランダでは同様の取り組みがなされており、安く宿泊できる代わりに月30時間の高齢者との交流が条件となっている。

与党で第二の規模の政党である保守党はこの提案に関心を示している。一方、「高齢者にとって安全な環境であることが大事で、不足している学生寮の代案が目的となってはならない。どのような学生が老人ホームに入居するのか管理も必要」と保守党のアシュハイム氏はNRKに話す。

ノルウェーでは現在増加する学生の数に比例して学生寮の数が足りていない。18日のNRKの報道によると、首都オスロだけでも6551人が現在空き室待ち。

ノルウェーに頼る場所が少ない留学生が第一優先として割り当てられる仕組みのため、ノルウェー生まれの学生は学生寮に入りにくい状況も生まれている。

筆者の知人の大学生は、以前老人ホームでの空き室に宿泊していたことがあったが、「若い人がいるのは楽しい」と現場の高齢者の方々は口にしていた。

夏休みに増加?ノルウェーでの高齢者の孤独問題

Text: Asaki Abumi

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会役員

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信15年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。ノルウェー国際報道協会 理事会役員。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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