ノーベル平和賞にコロンビア大統領 ノルウェー現地での反応は?推薦者はまたあの政治家。トラブルも発生

記者の質問に答える委員長 Photo: Asaki Abumi

7日、ノルウェーの首都オスロで、ノーベル平和賞の受賞者が発表され、コロンビアでの内戦終結に尽力してきたサントス大統領が選ばれた。

<ノーベル賞>平和賞にコロンビア大統領…内戦終結に努力

日本ではあまり紹介されていない、現地での様子を記そうと思う。

世界各国から報道陣が集まる Photo: Asaki Abumi
世界各国から報道陣が集まる Photo: Asaki Abumi

コロンビアでの和平への取り組みは、平和賞の有力候補として過去にも名前が挙がっていた。しかし、今月に行われた国民投票の結果で、合意が否決されたことから、ノルウェー国内では落胆の声が際立っていた。

そのため、「だからこそ、平和活動への後押しになれるように、平和賞を授与するべきでは」という意見は、多数の報道機関で紹介されていた。

和平合意に積極的に協力していたノルウェーのブレンデ外務大臣(保守党)も、ノルウェー国営放送局NRKでの特番で、「残念だ」と落胆ぶりを顔にだしていた(ちなみに、現ノルウェー・ノーベル委員会の委員長は保守党の元党首)。まさか、それが実現するとは、メディア関係者もここまで予想してはいなかったのかもしれない。平和賞発表後、NRKは数日前のコロンビア和平合意特集を再放送した。

委員会からの受賞連絡に、電話で「オーマイゴッド」と驚く大統領

ノーベル平和賞、今年はなぜ受賞者予想が難しい?

ノルウェーとコロンビアでは7時間の時差がある。NRKはサントス大統領に電話をしたが、大統領室の代表者に「コロンビアは夜中の4時です。大統領は寝ています。8時になったらまた電話をしてください」と言われる。

委員会の秘書ニョルスタ氏は、発表後、寝ぼけている大統領と電話で短く話したとNRKに回答。「平和協議への励みになる重要な賞だと、感謝していた」と語る。委員会からの電話に「オーマイゴッド」と驚く大統領の生音声が、委員会のフェイスブックにアップされている。

平和賞の推薦を2度実現させた人物は、ノルウェーの政治家

会場で配布された、英語とノルウェー語の発表文 Photo:Asaki Abumi
会場で配布された、英語とノルウェー語の発表文 Photo:Asaki Abumi

また、サントス大統領を委員会にノミネートしたのは、国会に席を置くノルウェーの小政党・左派社会党SVで、指揮をとったのは同党のヘイッキ・ホルモス国会議員だったことを、SVが公表した。同党は、左翼で、人権問題や貧困格差の解消に最も熱心な党とされ、オスロ市長ボルゲン氏も所属。難民危機の際も、受け入れを制限しようとする右翼与党政権を激しく批判した。

同党は、今年の1月31日に、委員会宛てにコロンビア政府、コロンビア革命軍FARC、そして内戦の犠牲者という3代表に平和賞を推薦していた。平和賞は、3人まで同時に受賞が可能。

昨年に平和賞を受賞した「チュニジア国民対話カルテット」を推薦した人物も、同党のホルモス氏だった。これにより、同氏の推薦は平和賞を2度実現させたことになる。来年は、誰を推薦するのだろうか?

現地メディアが発表前に誤って速報

「技術的なミス」とSNSなどで謝罪するNRK Photo:スクリーンショット
「技術的なミス」とSNSなどで謝罪するNRK Photo:スクリーンショット

また、平和賞が発表される現地時間11時の約3時間前にトラブルも発生。NRKが誤って、違う候補者を受賞者として発表。イラン核合意に尽力した2人の人物だ。約5秒間もニュース番組でテロップを流してしまった。

NRKは「技術的なミス」とすぐに謝罪したが、後の祭り。現地メディアが一斉に、「NRKがノーベル・タブー(禁忌)をおかす」と大々的に報じる。ノルウェーでは情報リークがよくあり、特に平和賞においては2014年までは定番となっていた。民間放送TV2の司会者で、かつてNRKで勤務していたアリル・リーセ氏は、自身のツイッターで、「私がNRKの報道番組で働いていた時は、誰が平和賞を受賞したか、少なくても前日までにはわかっていました。今でもそのようですね」とコメント。

ちなみに、ノルウェーでは、デジタル化により、速報がより重視されるようになった結果、報道局が誤って情報を流すということは珍しくない。

平和賞授与式は、12月10日、オスロ市庁舎で開催される予定。

Photo&Text: Asaki Abumi