極右=怖い?移民・難民政策に厳しいノルウェー与党・進歩党は、非人間的で冷酷か

過激発言で批判されやすいノルウェーの「極右」 Photo:Asaki Abumi

極右は実際どういう人たち?

難民問題が昨年より騒がれる中、欧州で記録的に支持率を伸ばし始めているという各国の「極右」。日本語で「極右」と表現されがちなこれらの政党は、ポピュリストや右翼ポピュリスト政党ともいえるのだが、文字数のためか、ネット記事で見かけるタイトルでは「極右」という言葉が目立つ。

欧州で、その極右が高い支持率を誇り、「与党」となっている国がノルウェーだ。首相が率いる保守党の次の位置に立つ進歩党は、ノルウェーでは異色政党として見られている。減税や、市場の自由化などの政策は、「老人と金持ちのための政策」とも皮肉られやすい。特に、移民・難民の受け入れに最も厳しい政党であるため、立場が異なる人々の中には「非人間的な政党」と、嫌悪感を抱く人もいる。

ちなみに、進歩党自身は、自らをリベラル政党としているが、そのように描写するメディアはいないだろう。リベラル政党といいながら、なぜ移民・難民の受け入れに厳しいかについてだが、単純に説明すると、彼らを受け入れることで、自分たちの生活が自由(リベラル)でなくなるからという言い分だ。

外国報道「連続テロ犯が党員だった、反移民政党」

外国メディアは、進歩党を「反移民政党」 と書くことが多い。ノルウェーでも、いまだに「極右」という表現方法での寄稿・批判記事が、大手報道機関では目立つ。また、2011年にテロ事件を起こしたアンネシュ・ベーリン・ブレイヴィーク容疑者が、一時期、進歩党の党員となっていたことは、いまだに外国記事で引用される。

「怖い」イメージが持たれがちな進歩党。国際社会が抱きがちな「優しい、幸せな平和の国ノルウェー」のイメージとは対照的でもあり、現に、ノルウェーを代表する男女平等優遇政策などの解体を望んでいる。2013年の国政選挙以降、このような政党が与党であり、支持されているという現実は、興味深い。

ノルウェー極右の副党首にインタビュー

党の青年部の集会に顔を出す運輸・通信大臣 Photo:Asaki Abumi
党の青年部の集会に顔を出す運輸・通信大臣 Photo:Asaki Abumi

進歩党の第二副党首であり、運輸・通信大臣であるヒェーティル・ソールヴィーク=オルセン氏に、直接インタビューをした。同氏は、進歩党の次期党首候補ともいわれており、国の道路建設などのリーダーである。

記者によっては、極右政党の発言を伝えることは、プロパガンダ拡散につながるとして批判的になる者もいる(左寄り政党の発言報道は、なぜプロパガンダ拡散と心配されないのかは不思議ではある)。反対に、外国メディアに深くインタビューされることがない進歩党だからこそ、考えは聞いてみる価値があるのではないか。はたして、彼らの言い分は、ノルウェーでいわれるほど、非人間的で非常識なのか?

  • 進歩党は、厳しい移民政策として知られているが、日本人などの移民や外国人労働者については、どう思っているのか

「日本は、さらに厳しい移民政策をお持ちですよね。進歩党の中には、相手が移民だからというだけで、移民に反対だという党員はいないんです。ただし、自活できない人にドアを開放して、入国させるような移民政策には懐疑的」。

「最初から社会福祉を必要とするような状態は、サステイナブルではありません。あまりにも多くの人が、福祉制度を利用しようとする。それにも関わらず、社会に貢献できないとすれば、バランスがとれていないシステムとしかいいようがありません。それが意味するものは、その人たちが救われるために、私がもっと働き、もっと税金を払う。もしくは、どこかで歯止めをかけるしかないのです」。

福祉制度に甘えず、自活できるのであれば歓迎する

「我々は、難民申請者や難民に対しては厳しい政策ですが……。移民に対しては、自活できて、社会で他者と交流し、税金を払い、仕事をし、語学を学べるのであれば、あなた方を歓迎します」。

「私もアメリカに5年間住んだことがあります。英語を学び、私にとっては関係のないナショナルデーでも、アメリカの独立記念日を尊重しました。この日にノルウェー国旗を掲げようとはしませんでした」。

※進歩党は、ノルウェーのナショナルデーに、他国の国旗を掲げる外国人がいることに否定的。

「人々がノルウェーに来て、仕事をすることは、良いことですし、むしろとてもワクワクすることだと思います。交換留学生も来ます。あなた方のような外国人を好きではない、ということではありません。ただ、社会補助を受けるのであれば、誰もがその条件を満たす必要があるということです」。

  • 非人間的だと描写されやすいことについて

「ははは、理屈にあっていない表現だとは思いますね。進歩党の中にも、ボランティア活動に参加したり、貧困国のために募金をする人がいます。移民の受け入れにおいては、日本やアメリカのほうが、もっと厳しい。しかし、ノルウェーでの議論では、“すべての人を助けなければいけない”という考えになってしまいがちです。でも、システムを機能させるためには、どこかで制限する必要性がでてきます。自分の家に、見知らぬ外国人を何人も1日で受け入れられないでしょう?……たまには、それもいいかもしれませんが。家族がいれば、経済的にそういうことも言っていられないでしょう」。

ノルウェーは移民政策においてナイーブすぎた

「ノルウェーは小さな国。人々も互いに親切に共存しています。しかし、システムを悪用しようとする人もでてきてしまう。どこかで、制限をかけなければいけません。そのことにおいては、ノルウェーは多少ナイーヴな国であったでしょうね」。

  • 外国メディアが「極右」と表現することについて、誤解をうけやすいと感じることはないのか?

「極右という表現には同意はします。ノルウェーの政党を比較するときには、我々は極右となりますが、欧州の政党と比較すると、進歩党は中央あたりですよ。日本の人にとっては、進歩党は極右とは説明しにくいでしょう?  その国で、他の政党がどれだけ左寄りかで、政党色は異なって見えます」。

「アメリカに住んでいた頃、私は2大政党の間に立っているような気分でした。移民に厳しいというだけで、極右とされることには、不公平だとは感じます。欧州の中でも、ノルウェーがリベラルすぎるのです。遠い地にいる外国メディアが我々を深く取材できずに、極右と表現してしまうのは、わかりますが……」。

高い支持率を維持する与党にも関らず、特殊な目線で見られる進歩党。発言は確かに過激だ。だが、移民に懐疑的な発言をするだけで、冷酷な人間というレッテル貼りがされやすい社会の空気があったからこそ、その受け皿として進歩党は支持されている。

「極右」政党の欧州での台頭は、ドナルド・トランプ氏と並べられ、「恐ろしい傾向」として報道されがちだ。だが、進歩党が、ノルウェー連続テロ犯と結び付けられることが単純すぎるように、各国の「極右」政党を、同じようにまとめられるものなのか。極右といえど、ノルウェー隣国の極右・スウェーデン民主党とは、進歩党は同じようにみられることに強く反発している。大量の難民申請者の受け入れに否定的な発言をするだけで、「非人間的、冷酷、身勝手」と思われてしまう風潮に問題はないのか。

運輸・通信大臣の言葉は、はたして非人間的だったろうか。

Photo&Text: Asaki Abumi