ノルウェーファッションの課題 作り手を悩ませる、安全路線思考とEU非加盟国であるが故のデメリット

トム・ウッドのジュエリーは日本でも人気急上昇中 Photo:Abumi

文化大臣(右)が持つ靴は「Aurlandskoen」 Photo:Abumi
文化大臣(右)が持つ靴は「Aurlandskoen」 Photo:Abumi

14日、オスロにあるノルウェーデザイン&建築センターDogAで、ファッション業界者のためのカンファレンス「ニードルワーク&テクノロジー」が開催された。

テクノロジーを用いた新しいビジネスモデルを発表・分析しあう場で、会場には多くのノルウェー人業界関係者が訪れた。

オープニングには、リンダ・カトリーネ・ホフスタ・ヘッレラン文化大臣とオスロ市長が登場。ファッションイベントに政治家が来る光景は、ノルウェーらしい。人口520万人という小国のため、ブランドの拡大には、国からの後押しが必要という認識がこの国にはある。

会議では、北欧や業界関係者同志で協力しあうことの重要性、ネットビジネスの大切さが強調された。だが、これは毎年話していることなので、もう一歩踏み込んだ新しいテーマがなかったことが、個人的には残念だった。

PR下手なノルウェーファッション? Photo: Asaki Abumi
PR下手なノルウェーファッション? Photo: Asaki Abumi

イベント期間中には、オスロに事務所を設ける複数のノルウェーブランドを訪問。誰もが同意していたことは、「ノルウェーはまだまだファッションで遅れをとっている」ことだった。スポーツファッションやウール素材、もしくはインテリアにはお金をかけるが、ノルウェー人は普段着にお金を使わない。日本のようにはっきりした四季がなく、長い冬が「定番のファッション」をつくりだしていることも原因している。国内で成功することに力を注ぐよりも、国際市場を目指したほうが、ノルウェー人デザイナーにとっては得策だともいえる。

カトリーネ ハメル(Cathrine Hammel)、ノルウェージャン・レイン(Norwegian Rain)、トム・ウッド(Tom Wood)は、ノルウェーから飛び出し、日本で成功しているブランドの代表だ。

Holzweiler店内を案内するトォルスタッド氏 Photo:Abumi
Holzweiler店内を案内するトォルスタッド氏 Photo:Abumi

安全路線を好むノルウェー人

ノルウェーブランド「Holzweiler」は、すでに高島屋などで販売中。高品質のスカーフからスタートし、ウール素材のポンチョなどを幅広く手掛ける。

ブランドマネージャー、トビアス・アレクサンデール・トォルスタッド氏はノルウェーの課題を語る。「デンマークやスウェーデンでは、創造性豊かなデザインも消費者に受け入れられるけれど、ノルウェーでは時間がかかる。安全路線を好み、みんなと同じような恰好をしがちなのがノルウェー人。冬が長いので、分厚い、どっしりしたマフラーは人気があっても、薄いスカーフとなるとフェミニンすぎるとためらう人もいる。女性はトレンドを楽しむけれど、ノルウェー人男性はまだまだファッションで遊ぶ人が少ない。人口が増えれば、変わるだろう」と話す。

EU非加盟が、デザイナーたちの国際進出の壁に

すでに国外で成功を収めているHolzweilerだが、ノルウェーでは政治家からの援助はどうしても必要なものなのか聞いてみた。

「そうだね。ノルウェーはEUに加盟していないから、国外に出ようとするとき、どうしても大量の書類と向き合わないといけない。EU加盟国との競争で遅れをとってしまう。その分、政治家がデザイナーを助ける必要がある。ファッション業界のためには、ノルウェーはEUに加入するべきだと思うよ。ノルウェーよりも、スウェーデンにオフィスを置いたほうが金銭的にも節約できる現状があり、もったいない」と説明した。

今回のようなカンファレンスが必要とされる理由も、ビジネス拡大方法がわからずに、苦戦する作り手が多いからともいえる。今後の活躍を期待したいところだ。

Photo&Text: Asaki Abumi