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「日本にいる時より幸せ」有力紙が米移住の元皇族発言を引用。眞子さま結婚 米で一斉報道

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

眞子さまと小室圭さんの結婚が、宮内庁により正式に発表された。同時に眞子さまが複雑性PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断されたことも明らかになった。

アメリカでも1日、CNNブルームバーグロイターなど主要メディアにより一斉に報じられた。そして、2人が今後住むことになるだろうニューヨークでも、ニューヨークタイムズ、ウォールストリートジャーナルといった有力紙の記事も確認できる。

ウォールストリートジャーナルは「Japan’s Princess Mako to Marry as Palace Blames Media for Her PTSD」(眞子内親王はメディアの批判によってPTSDを発症し、結婚へ)という見出しで、眞子さまに関する記事を初めて報じた。

同紙は「日本のスクラッピー(ちぐはぐ、とっちらかったなどの意)な週刊誌やそのほかのメディアによる報道が繰り返されてきた。それらは(小室さんの)父親の自殺を含む家族のことを調べ上げ、最近では帰国時のポニーテール姿を批判した」など、これまでの背景を紹介。

また結婚自体については「基本的人権の問題であり他人が干渉してはならない」とするコメントを引用し、記事を結んだ。

最近の動きについて静観していたニューヨークタイムズも、眞子さまの結婚について報じた。「A Princess Is Set to Be Wed. But It’s No Fairy Tale.」(プリンセスが結婚へ。しかしそれはおとぎ話ではない)という見出しで、この結婚が多難であることを示した。

同紙は眞子さまについて、「第二次世界大戦後に皇室に関する新憲法が日本で施行されて以来、一般市民と結婚する9人目の女性皇族」であると紹介。そして3人の女性 ── メーガン夫人、皇后雅子さま、元皇族の島津貴子さんの事例を引き合いに出した。

メーガン夫人

眞子さまの複雑な結婚問題とよく引き合いに出されるヘンリー王子とメーガン夫人の英王室離脱騒動(メグジット)と比較し、日本の皇室についてはこのように紹介している。

Japan’s staid royal family is low on star power and has largely avoided the dramas surrounding the British royals.

The family, the world’s oldest royal line, has served only in a ceremonial capacity since the end of World War II, and it tends toward carefully managed appearances and oblique statements.

日本の皇室は堅実で(よくゴシップになるような海外の王室と比べて)スター的なパワーが低く、英国王室を取り巻くようなドラマ(騒動)を大幅に避けてきた。

皇族・王族としては世界最古であり、第二次大戦後に儀式的な役割(国の象徴)のみを果たし、(公の場に出る際は)どのように映るかといったことやその発言について、慎重に統制されてきた。

このような背景を踏まえ、眞子さまと小室さんについては「ヘンリー王子とメーガン・マークルのように、(王室の内情を暴露した)オプラ・ウィンフリーの番組に出演したり、Netflixと契約を結んだりする可能性はほとんどないだろう」とした。

皇后雅子さま

皇后雅子さまについては、「ハーバード大学とオックスフォード大学で教育を受けた元外交官」と紹介し、「男子の世継ぎ問題について、世間の注目と徹底的な精査(世間からの監視)を避けた(乗り切った)ことはあまりにも有名である」とした。

島津貴子さん

さらにニューヨークタイムズは、元皇族の島津貴子さんについて、1965年と66年に朝日新聞に掲載されたインタビューを引用し、以下のように紹介した。

銀行員の夫の駐在に伴い2年間住んでいた米ワシントンD.C.での生活について、島津さんが「市民として何の精神的な圧迫がない」「人目にたたず、ひっそりと暮らせた」「平和な日々」「日本にいる時よりも幸せ」というニュアンスの言葉を述べたことについて触れた。

またニューヨークタイムズは、眞子さまが一時金の受け取りを辞退したことについても触れている。

「受け取った方が良い」というニュアンスの小見出し(Keep Your $1.4 Million)と共に、「日本の法律では、眞子内親王は新生活を始めるための一時金を受け取る権利があるにも拘らず、放棄しようとしている。放棄する皇族は、第二次大戦以降初である」とした。

同紙曰く「retreat」(撤退、逃避行)先としてのニューヨークでの眞子さまの考えられる活動についてはこのようにも報じている。

「留学先の英国レスター大大学院で博物館学で修士号を取得しており、東大博物館で働いてきた実績もあることから、ニューヨークのアートシーンで仕事をしていくことができるだろうとの憶測がある」

「ニューヨークへようこそ」地元の声

ツイッター上では、所詮ゴシップだと茶化したような意見も少なからず見受けられるが、ニューヨークタイムズのこの記事へ直接届けられた読者からの反応には、2人の結婚やアメリカ移住を歓迎する声が多いようだ。

ここではいくつかの声を拾って、本稿を締めるとする。

  • 眞子内親王自身が自分の道を選択したことはとても良いこと。支持します。おめでとうございます。そしてようこそ。

  • 眞子と圭はニューヨークで平和な日々を送り、これまでよりはるかに幸せになるでしょう。

  • お二人の幸せをお祈りします。そしてアメリカにお二人を迎えることをとてもうれしく思います。私たちの遺伝子プールは少し薄くなっているので、アメリカ市民になることを歓迎します。ここにいてください。

  • 魅力的な若いカップルが恋をし、時代遅れの官僚的な規則の中で頑張っている。愛してはいけない理由などどこにもない。ニューヨークへようこそ。我々ニューヨーカーと同様に(この街で生きることに)感謝の心を持っていただければ幸いです。圭のポニーテールについて、彼はとてもハンサムなのでどんな髪型も似合うでしょう。二人の子どももきっとかわいいでしょう。

  • このカップルに幸あれ。彼らはニューヨークに溶け込み、うまくやっていくでしょう。(英国人の)故デヴィッド・ボウイとイマン(・アブドゥルマジド夫妻)もこの街に溶け込んだ。この夫婦でさえニューヨークでは誰もわからない(誰も気にしない、存在感がない)くらいに溶け込んだのだから、眞子さまたちも同様に溶け込むでしょう。(追伸)私はポニーテールが大好きです。

  • 少し前にニューヨークタイムズは、残酷な性差別があることで結婚を控えている日本人女性の特集をしていた。眞子内親王が愛する人と一緒にいることを選択したことや来米を決めたと聞き、嬉しい気持ちです。日本と比較してアメリカでは妻となる者ははるかに自由に働き、夫は家事を平等に分担しています。お二人の幸運を祈っています。

  • 皇族の権利を放棄するのは簡単なことではない。そして彼女の人生を悲惨なものにしたタブロイド紙へ。他人の個人的な生活に首を突っ込むのを止めて、何か真剣な題材について書いてください。

  • 一時金については、今後そのような大金が提供されることはないだろうから受け取った方がいい。同胞があなたについてどう考えているか、アメリカでは誰も気にしない。あなたが本当にそのお金を望まないのであれば、価値あるところに寄付したらいい。

  • 一時金を辞退したことについて、愚かだと思っているのは私だけですか?彼女はニューヨークがとてもとてもお金のかかる街だということを、これから知っていくことでしょう。

(Text by Kasumi Abe) 無断転載禁止

ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

米国務省外国記者組織所属のジャーナリスト。雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、有名アーティストのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をN.Y.に移す。N.Y.の出版社でシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材。日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。福岡県生まれ

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