なぜ森保監督はタジキスタン戦後に「私に原因がある」とコメントしたのか?
試合後のオンライン会見の第一声で、日本代表を率いる森保一監督は自らを責めた。ミスが多く、チームとしてなかなか機能しなかった原因を問われた直後だった。 「私に原因があると思います。なぜかと言えば、選手をたくさん変えたからです」 タジキスタン代表に4-1で勝利した、7日のカタールワールドカップ・アジア2次予選第7戦。無観客のパナソニックスタジアム吹田のピッチへ、先発で送り出された11人の合計キャップ数はキックオフ前の時点で「176」だった。 先月28日のミャンマー代表との同第6戦(フクダ電子アリーナ)の合計数が「528」だったから、いかに顔ぶれが様変わりし、なおかつA代表でプレーした経験が少ない選手たちが多勢を占めていたのかがわかる。指揮官はさらにこう続けた。 「誰が出てもプレーのイメージがすぐに合うのが理想ですけど、相手チームのプレー強度の高さもあり、そのなかで全体練習が一度というところでパーフェクトに合わせるのは難しい。ミスが多くなるとある程度予想したなかで、試合を通じてクオリティーを上げようと、選手たちは粘り強くトライしてくれたと思っています」 途中出場の5人を含めて、メンバーを大きく変えた背景にはもちろん理由があった。 ミャンマーに10-0で大勝した日本は6戦全勝として、2試合を残してグループFの首位通過を決めた。そして、ミャンマー戦をもって東京五輪のオーバーエイジ候補、MF遠藤航(シュツットガルト)、DF酒井宏樹(オリンピック・マルセイユ)、キャプテンのDF吉田麻也(サンプドリア)を東京五輪世代のU-24日本代表に合流させた。 タジキスタン戦ではさらに、左足内転筋に違和感を訴えたFW大迫勇也(ヴェルダー・ブレーメン)が欠場。歴代2位の124キャップを誇るDF長友佑都(マルセイユ)、主軸に定着しつつあるMF鎌田大地(アイントラハト・フランクフルト)、MF伊東純也(ヘンク)、MF守田英正(サンタ・クララ)もリザーブに回した。 結果としてタジキスタン戦は、森保ジャパンで先発メンバーの大多数を占めてきたヨーロッパ組がわずか3人、MF南野拓実(サウサンプトン)、MF橋本拳人(ロストフ)、ゲームキャプテンを務めたMF原口元気(ウニオン・ベルリン )という布陣になった。 「不測の事態が起こるかもしれないので、選手層の幅を広げ、より高い頂点を目指す目標を持ちながら、その時々に合った選手を選んで勝利を目指していきたい」 9月にスタートする予定のアジア最終予選、その先の来秋に待つワールドカップと、今後は対戦相手のレベルが一気に上がっていく。同時に依然として続く新型コロナウイルス禍で、特にヨーロッパ組の招集に制限がかけられる可能性もゼロではない。けがのリスクも常につきまとう。だからこそ、森保監督は6月シリーズを底上げの時期にあてた。