なぜ森保監督はタジキスタン戦後に「私に原因がある」とコメントしたのか?
そのなかで特にGK権田修一(清水エスパルス)と、最終ラインの右から山根視来(川崎フロンターレ)、中谷進之介(名古屋グランパス)、昌子源(ガンバ大阪)、佐々木翔(サンフレッチェ広島)とすべて国内組になった守備網に開始9分で綻びが生じた。 左サイドからDFマヌチェフル・サファロフに上げられたクロスに、逆サイドから飛び込んできたMFエフソン・パンシャンベが強烈なヘディングを一閃。日本代表史上で最長となる、9試合連続無失点を継続していた権田の牙城に風穴を開けられた。 出場4試合目にして初先発を果たした、MF古橋亨梧(ヴィッセル神戸)が3分前に奪った先制弾を振り出しに戻された失点は、日本が2次予選を通して初めて許したゴールでもあった。そして、場面を巻き戻していくといくつものミスが重なっている。 まず右サイドで山根が身体を張って相手のクロスを阻止し、前方の古橋へつなげた。しかし、古橋は自陣の中央でいとも簡単にボールを失い、さらに攻撃から守備への切り替えも遅い。というより、ボールを運ぶ相手を後方から見ているだけだった。 右サイドからクロスを上げられるも混戦となり、ボールを味方へつなごうとした昌子の耳に、自らが瞬時に描いたプランとは異なる指示が響いてきた。 「クリアと言われて慌ててクリアして、それがちょっと中途半端になってしまった」 さらに左タッチラインの外に出なかったボールを拾ったサファロフには、ほとんどフリーの状態で正確なクロスを上げられた。マークしようと原口がスライドしていったが、プレッシャーを与えるほど間合いを詰めてはいなかった。 加えてペナルティーエリア内にはタジキスタンの選手4人に入り込まれ、そのうち大外のMFムハンマジョン・ラヒモフはフリーだった。そうした状況で右サイドから走り込んできたパンシャンベに対して、山根のマークが後手を踏み続けてしまった。 これだけミスが続いてしまえば、必然的にゴールを奪われる確率は高くなる。 「無失点のまま試合を終えて、全勝を継続するのが理想ではありました。ただ、いつかは失点するときが来るというか、戦っていけば失点もありえると思っている」 先のU-24代表とのチャリティーマッチを含めて、今年に入って5試合目で初めてA代表が喫した失点をこう振り返った森保監督は、同点とされた後の選手たちの一挙手一投足を注視。その上で努めてポジティブに90分間を総括した。 「どのような反発力や継続力を見せられるのか、といった点で戦い続ける選手たちの姿を確認できた。失点は嬉しくないけれども、チームの経験値としては悪くなかった」 試合は前半40分に南野のワールドカップ予選における7試合連続ゴールで勝ち越し、後半6分には橋本、25分にはMF川辺駿(広島)が代表初ゴールで共演した。もっとも出場11試合目で歓喜の瞬間を迎えながら、橋本は反省の言葉を忘れなかった。 「前半は攻めあぐねていた時間帯もあったし、ボランチとしての位置取りを含めて、もう少し前へ厚みを持たせられたと思うので。そこは自分の課題だと思っています」