なぜ森保監督はタジキスタン戦後に「私に原因がある」とコメントしたのか?
プレー強度の高さと攻守の切り替えの速さをベースにすえる森保ジャパンで、特にダブルボランチにはポジションを押し上げながら、自分たちを経由する攻撃で相手の守備を剥がすプレーが求められる。デュエルで圧倒的な強さを誇る遠藤と、ポルトガル移籍後で急成長した守田の組み合わせがファーストチョイスになったのもそのためだ。 「(川辺)駿とは初めて組んだので、そのへんのバランスはもう少し上手くやらなければいけなかったと感じています」 川辺と組んだダブルボランチを橋本がこう振り返れば、得意とする前線への飛び出しから相手キーパーから味方へのパスをインターセプトし、無人のゴールへワンタッチで押し込んだ川辺は、失点した後のチームの様子をこう明かした。 「テンションというか、モチベーションといったものが下がるかなと思いましたけど、チーム全体として『次はやらせない』とピッチ内で声をかけ合っていました」 不在だった主力選手たちと同じプレーをしろとは望まれていない。今後へのテストも含めて起用された選手たちにはチームのコンセプトを実践した上で、自分の色を出す仕事が求められる。その意味では時間の経過とともに攻撃陣と絡みだし、そろってゴールを決めた橋本と川辺の思考回路の変わりようはポジティブな要素と言っていい。 それでも、最大の収穫は吉田や酒井、遠藤、大迫、長友、そして本来のU-24代表に専念しているDF冨安健洋(ボローニャ)との間に存在する距離を、激しい闘志で向かってきたタジキスタンとの戦いを通じて各々があらためて認識した点にある。 前半にプレーした南野、後半に投入された鎌田や守田との差に対しても然り。その上で課題を明確にして、目指すべきステージを明確に設定する。90分間を通じて誰よりも声を出し続け、チームメイトたちを鼓舞し続けた昌子は努めて前を向いた。 「追いつかれて下を向いたりして、自分たちからさらに悪くするのはよくないので。多少はパスがずれようともどんどん繰り返して、しっかり合わせていくのが近道になる」 11日には舞台をノエビアスタジアム神戸に変えて、名古屋で選手および監督として活躍したドラガン・ストイコビッチ監督に率いられるセルビア代表との国際親善試合に臨む。森保ジャパンにとって初めてとなるヨーロッパ勢との対戦で、チーム力をさらに上げていくために必要な意識の高さとリバウンドメンタリティーの強さが問われてくる。 (文責・藤江直人/スポーツライター)