災害時、住宅確保どうする? 熊本地震きっかけに県内の不動産会社が強固に連携。現在も高齢者や低所得者、ひとり親等への住まい支援つづく 熊本県賃貸住宅経営者協会
熊本地震が発生! 不動産会社がコールセンターを設置して住まいの支援にあたる
不動産会社が連携して活動するようになったきっかけは、2016年に発生した熊本地震でした。被災した人たちは今まで暮らしていた自宅が被害を受けたため、今後の生活に不安を抱えながら避難所で過ごしていました。また、障がいのある人が避難所で過ごしにくいなどの課題も見られました。避難所の暮らしは、体力的、精神的にも負担が大きく、被災時の住まいの問題は「緊急性を要していて時間との勝負だった」と言います。 「まず、仮設住宅に入居するには罹災証明書が必要です。しかし多くの問い合わせがあるなか、自治体の職員自身も被災しているので、人的対応が追いつきません。被災した人たちの心身の健康や日々の暮らしを考えれば、仮設住宅への移行など、早急な対応が必要ですが、行政の担当者だけでは手が足りませんでした」(大久保さん、以下同)
震災直後、県からの要請を受け、連合会の熊本県支部の代表を務める不動産会社が、自社の会議室に被災者のためのコールセンターを開設。発災から10日後には電話とFAXによる相談の受付を開始したそうです。さらにはこの対応に、全国各地から多くの不動産会社の社員がボランティアとして協力し、みなし仮設受付窓口の設置、避難所への出張相談など、県や市と連携して次々に必要な支援を行いました。 「私もほぼ毎日コールセンターに詰めている状態でした。なかには、自身も仮設住宅に入居しながら支援にあたった人も。地震が起こったのは4月だったので、その年に新規採用された行政職員や不動産会社の社員も支援に奔走しました。後で振り返ると、その時に入社した人たちが一番離職率が低かったようです。みんな、自分たちがやらなければ住まいの支援が行き届かないという強い思いがあったのだと思います」 連合会の職員のほか全国各地からのボランティアも含めて1日15名以上が対応に当たり、約6カ月の間に受けた電話は約7000件、そして実際に相談対応したのは4000件以上にのぼったそうです。
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